第159話少年期[149]やっぱドワーフなら食いつくよな

マグラスが短剣を作ってくれると答えてくれて、ゼルートはホッと一安心した。ゼルートが予想していた職人気質の人は、そんな簡単に自分の依頼を受けてくれないと思っていたので、少し不安だった。


(いや~~~~~、良かった良かった。決め手はやっぱりラガールの牙だったかな。他の素材だったらAランクぐらいの魔物の素材を出さないと、頼みを聞いてくれなさそうだったしな。おっし、報酬はお金じゃなくあっちにした方が良さそうだな)


ゼルートはドワーフに対して交渉するときの、とっておきを短剣を作ってもらう報酬にすることにした。


「なぁ、マグラスさん。確か酒は大好きだったよな」


ゼルートの問いに、なぜそんなことを聞いたのか分からなかったが、マグラスは当たり前だろといった顔で頷いた。


「ああ、それは勿論じゃが・・・・・・それがどうかしたか?」


「短剣を作ってもらう報酬なんだけど・・・・・・俺が造ったとっておきのお酒じゃダメかな」


ゼルートの言葉のとっておきという言葉を聞いて、マグラスの目がキラリと光った。

ゼルートはこの世界に転生する前は未成年だったため、酒の味はまだ知らないが飲んでみたいという気持ちは強かったので、この世界に転生してから魔力量がそこそこになると酒造りに力を入れていた。

酒を造る知識はゼルートには全くなかったが。創造のスキルのおかげで何とか製造機を造ることが出来た。


場所も基本的に誰も来ないであろう場所に造り、四苦八苦しながら結界を造り、念には念をと錬金獣をガードマンとしてつけている。

今からゼルートがマグラスに渡そうとしている酒は、ゼルート自身はまだ自分には早いと思って飲んでいないが、ラガールには好評だったのでかなり自信を持っている。


「ほほ・・・・・・お主が造ったとっておきの酒か。普通なら何を言っているんだと笑い飛ばすところだが、もう儂はお前さんならなんでもありだと思っておる。だが、お前さんはおそらくまだ酒をあまり多くの酒を飲んだことがないだろう。そこら辺は大丈夫なのか??」


マグラスの質問にゼルートは自信満々に答えた。


「大丈夫ですよ。確かに僕はまだお酒を飲んだ事はないですけど、雷竜帝ラガールが絶賛してくれましたから。絶対に美味しいはずです」


マグラスは自分より圧倒的に長生きしている雷竜帝が旨いというのなら、かなりの物だろうと思った。


「よかろう。儂はそれが報酬で構わん。だが今回短剣を造るにあたってエルフの錬金術師に手伝ってもらおうと思っている。せっかくの素材だ。儂一人だけ造って中途半端なものは造りたくはないからのう」


マグラスからの提案はゼルートにとっては寧ろありがたいことだったので直ぐに了承した。


「わかりました。それでお願いします。それじゃあ、その錬金術師のエルフさんには何を報酬にすればいいですか」


マグラスは少しの間唸りながら考え込みおそらく、といった顔で答えた。


「あやつはエルフにしてはかなりの酒飲みじゃからな。もしゼルートが儂が飲むような酒でなく、貴族が飲むよなワインなどがあればそれが良いのだが・・・・・・まぁ、もしかしたら普通に金をと言うかもしれんから、できればどちらも用意しておいてくれるか?」


「わかりました。どちらも大丈夫ですよ」


ゼルートが自信満々に答える様子を見て、マグラスはゼルートが色々な意味で規格外な冒険者だなと思った。


(全く、酒を造る子供の冒険者なんぞ聞いたことがないわい。世界中探してもゼルートだけじゃろうな。まぁ、その酒もあの雷竜帝が絶賛するのだから中々の物なのだろうな。それに貴族が飲めるよなワインまで・・・・・・ゼルートは商人にもなれそうじゃな。それに雷竜帝の牙に気を取られておったから気づかんかったが、あのアイテムバック、おそらく中の時間が完全に止まっているはずじゃ。どこで手に入れたかは知らんが・・・・・・いや、まさかあれもゼルートが造ったのか!!?? う~~~~~~む、直ぐに否定できない自分がいる事がまずおかしいが・・・・・・ふふ、恐らくゼルートはこれからどんどん名が知れていくじゃろうな)


マグラスはそう思いながら、ゼルート達と別れを済ませ直ぐに作業に取り掛かった。

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