第154話少年期[144]商人の情報網は恐ろしい

ゼルート達が串焼き屋のおじさんからこの街一番の武器屋を聞き、向かい出してからおよそ二十分程が経った。

今ゼルート達はメインストリートから外れた、暗い雰囲気の場所にいた。


ルウナは本当にこんな場所に街一番の武器屋があるのか疑問に思った。


「なぁゼルート、本当にこんな場所に街一番の武器屋があると思うか?」


実際、ゼルートもルウナと同じようなことを思っていたが、案外そうでもないかなと思い始めた。


(あの串焼き屋のおっちゃんが言っていた武器屋の店主が鍛冶師もやっている人だったら・・・・・・こんな雰囲気のところで店を開いているのはなんとなくわかるな)


アレナもゼルートと考えが同じ様な感じで、ルウナに説明をした。


「たぶんお店の店主が鍛冶師も一緒にやっている人なのよ、多分ね。そういった人って職人気質の人が多いからこういったメインストリートから離れていて、静かなところに店を構えているんじゃないかしら」


「ふむ・・・・・・なるほど。確かに分からなくもないな」


ルウナとしても何か集中してやりたいことは静かなところでやった方が、感覚的に良いという事は分かっているので理解する事が出来た。


「まぁ、それくらいの人の方が安心できるよな」


「?? それはどういうことなのゼルート」


ゼルートはそれが当たり前、といった表情でアレナの質問に答えた。


「中途半端な人だと、実力がない子供には武器を売らないとか言う奴絶対にいるだろ。冒険者相手に喧嘩売るのは俺は全然構わないと思うんだけど、そういう・・・・・・商業系の相手にはあんまり喧嘩したくないんだよな~~~~~」


ゼルートの答えにアレナは前半は、それはおかしいんじゃないか? と思ったが、後半にはもの凄く納得できた。


(私としては冒険者ともなるべく問題を起こしてほしくないのだけど・・・・・・まぁ、ゼルートの見た目と性格からしてそれは無理よね。ただ、後半の商業系とは喧嘩をしたくないというのは本当に分かるわ)


アレナが実際に知っている話で、実力はそこそこあるパーティーが調子に乗ってその街ではある程度有名な店の商品をもの凄く自分勝手な理由で半額か、半額以上の値段で値切ろうとした。

もちろん店はそれに応じなかった。冒険者達も衛兵が来たことにより店から直ぐに出て行ったが、その店の店長が同系列の店から冒険者が利用しそうな店すべてにその時の様子を全て伝え、その冒険者達を街で活動できないようにしたというのがある。もちろん実話だ。


そういった話も知っているのでアレナは出来ればゼルートに、商人相手には喧嘩をしてほしくないと常々思っていた。


「お、それらしい建物が見えてきたな」


ルウナがそう言うと、ゼルートは顔を前に戻し、どんな店かを見た。


立派な店・・・・・・というわけではなく、むしろぼろく見えるがゼルートは、むしろ店の店主の凄さを感じた。

ゼルートは店の前に立ち止まり、無言で眺めていた。


「ほら、感動して眺めるのもいいけれど中に入りましょう」


「アレナの言う通りだ。今のゼルートはアレナが声をかけなかったら日が暮れるまでそこでずーーーと、立っていそうな雰囲気だったぞ」


二人に注意されたゼルートは自分の悪い癖が出たなと思い、苦笑いになった。


「悪かったよ。おし、それじゃぁ中に入るか」


ゼルート達はドアを押し、武器屋の中へと入った。

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