第153話少年期[143]・・・・・・死んでほしくない

「ところでゼルート、街を散策するのは良いが具体的にどこに行くんだ?」


ルウナはゼルートが何かトラブルに巻き込まれそうな感じに対して気になっていたが、ゼルートがどんなところに向かうのかも気になっていた。


アレナも、自分達が・・・・・・主にゼルートの力で用意するものがほとんど無いのは知っていたので、少し気になっていた。


「とりあえず武器屋を見て回ろうかなーーーって思ってる」


「??? 何か欲しい武器でもあったのか」


ルウナはゼルートが武器に関しては困っているところをあまり見たことがないので、少し疑問に思った。

アレナもルウナ同様疑問に感じた。


(ゼルートは何時も使っているロングソードがあるし、それに確かフロストグレイブだったかしら? それもあるから武器自体には困ってはいない筈・・・・・・いや、魔法道具を集めるのが趣味だったかしら。なら確かに納得はいくわね)


ゼルートの趣味を思い出し納得したアレナだったが、少ししてゼルートの口から出た答えは少し違っていた。


「そうだな・・・・・・まぁ、まずは単純に魔道具を集めるのが趣味ってのはある。でも、それ以外にも理由があってな」


ゼルートの真剣な表情にアレナとルウナもおのずと真剣な表情で聞いていた。


「俺の父さん、ガレン・ゲインルートが治める土地は隣の国、ガーディアスとカステルの平地を渡りきればすぐ着くところなんだ」


ゼルートの言葉で短い年月でAランクまで上り詰めたアレナと、元王族のルウナは何となくゼルートの考えが分かった。


「もし戦争になった時に真っ先に兵士として駆り出される、ということか」


ルウナの言葉にゼルートはゆっくりと頷いた。

ゼルートの父親、ガレンは勿論、家の兵士達だって戦争に駆り出される。

ゼルートにとっては、外出するとき以外は絡んでいる時が多かったので、皆の事を家族のように思っていた。

なので、いくら人がたくさん死んでしまう戦争であっても、出来る限り生き残ってほしかった。


「そういうこと。だから少しでも、魔剣や魔槍、後は補助系の魔道具があればなるべく欲しいんだよ。強い装備を持っていればそれだけで死ぬ確率は下がるだろ。それに皆武器に頼って訓練をおろそかにする人たちじゃないからな」


ゼルートの考えにアレナとルウナは少し驚いたが直ぐに納得がいった。


二人はゼルートが家族をバカにされたことで、自分の家より爵位の高い人間に喧嘩を売り、容赦せず潰す人物なんだと思い出した。

そして、それなら仲間や家族、生きていて欲しいと思う人のためならば、自分の時間を削ってでもどうにかしようとするだろうと思った。


アレナとルウナは改めて自分達の主の優しさを感じ、頬が緩んだ。


「ふふ。本当にゼルートは優しいわね」


「そうだな。私達の主は本当に優しい人だな」


二人にいきなりそんな事を言われたゼルートは頬が一気に赤くなった。

殆ど不意打ちに近い状態でそんな事を言われゼルートは、どう返していいのか戸惑った。


「・・・・・・守りたいと思う物、人を全力で守るのは当たり前の事だろ」


ゼルートは二人から視線を逸らしながら言ったが、逸らした先に温かい目でこちらを見るラルの姿があり、何とも言えない気持ちになった。


それからゼルートは出店の串焼きを少しお金を多めに出し、この街で一番の武器屋を聞いた。

店の店主は話が分かるゼルートにニヤッと笑いながら大体の道を教えた。

そして三人はその場所に向かった。


ちなみにアレナとルウナは美人ということで一本ずつおまけを貰っていた。

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