第152話少年期[142]嫉妬と恐怖の視線

ゼルートはセフィーレの後に着いて行き、たどり着いた場所を見て驚いた。


「これは・・・・・・宿、ていうよりはもはやホテルだな」


目の前にあるのは、前世程の大きなホテルではないが、この世界では十分に大きいとゼルートは思った。

何より、如何にも貴族用、豪商用といった雰囲気を醸し出している。


(あれだな、前世で言うところのビジネスホテルってところだな。基本、俺達みたいな冒険者が止まるところじゃないぞ)


ゼルートはあまり武器に頼らない戦いをするスタイルなので、見た目は低ランクの冒険者に見える。

アレナとルウナも基本的に見てわかるような豪華な装備は身に着けていないので、あまり高ランクの冒険者には見えないだろう。

その証拠にこの街に入ってから今、宿の中に入るまで何故あんな爵位の高そうな貴族にあんな低ランクの、しかも子供の冒険者が一緒にいるんだ、という目でゼルート達は見られていた。


アレナはそういった目で見られるのは別にどうって事ないが、この後でセフィーレと別行動になった時にそこそこ権力のあるバカがゼルートに悪絡みしないかとても心配だった。


(ゼルートをあまり一人で行動させない方が良いわね。私達だけに迷惑がかかるならいいけど、今回の場合はセフィーレ様にも迷惑が及ぶはず)


アレナはチラッとゼルートを見ながら、とても頼りにはなるがトラブルを起こしやすい主だなと思った。


ソブルが宿屋の責任者に説明してからセルート達は一旦、自由行動となった。

ちなみに今日はダンジョンに潜らず、ダンジョンに潜るための準備日となった。


ダンジョンがある街なんだから珍しい道具があるだろうと思いながら、ゼルートはラルと一緒に街に繰り出した。

それを見てアレナは先程考えたことが心配なのでゼルートに着いて行き、ルウナはアレナと逆なことを・・・・・・ゼルートについて行けば何か面白い事が起こるだろうと思いながら、ゼルートに着いて行った。


セフィーレ達はギルドへの挨拶と、ダンジョンで必要そうな物を買うためにそれなり物がそろっている店に向かった。


ゼルート達の場合は、ゼルートが元々食料、寝泊り具、ポーション、解毒剤等、ほぼ完璧に揃っているので何かを調達する必要はなかった。


街中を歩いていると、ゼルート達は怯えられるような視線で見られていた。

それもそうだろう。テイマーという職業がそれほど珍しいわけではないが、ドラゴンは一般的には凶暴でかなりの強さを持っているので、一般人からは恐怖の視線で見られるのが多かった。


だが、普通の冒険者からはどうにかしてゼルートからラルを奪えないかと考えている者が少なからずいた。

ラルを奪おうとは考えなくても、ゼルートに絡んで恥をかかせてやろうと思っている者はかなりいた。


理由としてはまず、ゼルートが子供である事で実力が大したことはないくせに、ドラゴンをテイムしているのが妬ましいのがまず一つ。

そして思う一つはゼルートの傍にいるアレナとルウナの存在のせいと言えるだろう。

これも、なんであんな弱そうなガキがあんな良い女連れているんだ、といった完璧な嫉妬によるものだ。

アレナとルウナは二人とも美人であり、されぞれ違う魅力がありスタイルも抜群に良いので、街に入ってから何人もの男が目を奪われている。

中には彼女がいるのにもかかわらずアレナとルウナに見惚れ、彼女にしばかれている者もいた。


そんな周りの様子を見ながらゼルートはとりあえず今日一日は退屈しなさそうだなと思い、ニヤっと口端を吊り上げた。


アレナはそれを見逃さず見ていたので、思わず大きなため息を吐いてしまった。

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