第149話少年期[139]大事な一工夫

「マグナム!!」


ゼルートはブレットの強化版、マグナムをカネルに向かって放った。

勿論殺す気では放っていない。だが当たればただではすまない威力はある。

そんなゼルートの攻撃をカネルは先程と同じように大剣の腹で受けた。


「ぐぅ!? ぐうううううう!!!!」


受け止めた魔力の弾丸は思いのほか重かったのか、簡単に弾き飛ばすことは出来ず、ずるずると後ろへ追いやられていく。


「はああああぁぁぁあああああああ!!!!」


カネルは力を振り絞り魔力の弾丸を弾き飛ばした。

弾き飛ばされ魔力の弾丸は地面に激突した。その場所は小さなクレーターが出来ていた。


カネルはまたゼルートがいつ攻めてきても対応できるように大剣を構えた。

カネル自身は魔法自体は苦手だが、貴族ゆえ魔力量はそこそこあるためまだ身体強化などの補助効果を解かずに済んでいる。


ゼルートはマグナムを放った後、長剣をしまいフロストグレイブを取り出して構えた。


(やっぱ、あの坊ちゃん貴族とは違うな。なら、少しぐらい本気で行くか)


ゼルートが持っているフロストグレイブはゼルートが子供の時に手に入れた魔剣だ。

今ではゼルートの切り札の一つになっている。


「ふーーー・・・・・・しっ!!!」


ゼルートは身体強化のスキル、魔力による体の強化、そして風の魔力を足から噴射し、一気にカネルに詰め寄った。


カネルはゼルートの速さが先程までと段違いと分かり、大剣で防ぐには時間がかからうと思いとっさに蹴りを繰り出した。

カネルの行動は正しかった。完全にゼルートの攻撃を防御しようと態勢に掛かる時間より、蹴りを繰り出すだけの方が時間は短かった。


だが、ゼルートはカネルの蹴りを左足で横に跳び躱し直ぐに右足で方向を戻し、まずは今は意識が少しだけ外れており握りが甘くなっている大剣を上に蹴り飛ばした。


「なっ!!??」


カネルは本当に一瞬の出来事に驚いているがゼルートは全く手を緩めなかった。

ゼルートはそっと、カネルの首にフロストグレイブを当てた。


そして上に飛ばされた大剣が地面に突き刺さり周りが静寂に包まれた。

カネルは少しの間目をつむり、ため息を吐いた。


「・・・・・・参った。私の負けだ」


カネルの降参の言葉をソブルはしっかりと確認し、結果を言った。


「勝者、ゼルート!!」


ソブルの判定の結果を聞いたゼルートはカネルの首からフロストグレイブを離し、一礼をした。


「ありがとうございました」


「いや、こちらこそありがとう。良い刺激になったよ。君と戦って学べることがたくさんあったよ」


カネルは本心からそう言った。

今回の戦いで自分が如何に戦いにおいて応用力がないか理解できた。

ゼルートがその場から予備動作なしに跳躍した事や、最後の攻撃の時の速さ。戦いの最中だったので何をしていたのかはいまいちわからなかったが、自分が考え着かないような事をしたんだろうと思った。


「俺もそう思うぞ。ゼルート君の動き、判断力は学ぶところが多かった。少し聞きたいんだがゼルート君は戦う時に、何か勝つための心構えみたいなものがあるのかい」


ソブルの質問にセフィーレやカネルも興味津々といった顔でゼルートの方を見た。


ゼルートはこれについては別に隠すことはないと思い悩まず話した。


「そうですね、まずは攻撃方法を単純にしないようにすることですね。同じことの繰り返しだと動きが戦うにつれて読まれやすくなると思うんで。後は何気ない行動に一工夫ですかね。カネルさんの攻撃を避けたときや自分が攻撃に移るときは少し工夫してましたから」


ゼルートの説明を聞いた三人はなるほどと頷き、ゼルートにその工夫を教えてほしいと詰め寄った。

ゼルートは特にさっきの工夫は特に隠すようなことでもなく、少し頭をひねって考えればわかるような事なので隠すことなく教えた。


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