第145話少年期[135]やっぱり暴走した

日が暮れてきたこともあり、ゼルート達は馬車を止め野営の準備をする事にした。

ゼルート達の野営の準備は五分とかからずに終わった。

簡単に言えばゼルートお手製のモンスターの素材を使ったテントを出し、ご飯の準備はゼルートのアイテムバックから取り出したこの前倒したオークの煮込みシチューと、ファットボアの串焼き、そしてゼルート達がお世話になっている宿の女将さん作ってもらったサラダを出して終わりだった。


その様子を見ていたセフィーレ達は唖然とした表情をしていた。ローガスまでもがゼルートがアイテムバックから取り出した湯気が出ている熱々の料理を見て、口をポカーンと開けながら驚いた表情で固まっていた。


アレナはそんなセフィーレ達の表情をチラッと見るとやっぱそういう表情になるよなと思った。


アイテムバックの中に入れた物は外の物同様、時間が経てば腐っていく。時間が経つのを遅らせることが出来る物もあるがもの凄く高い。だが、完全に中の物の状態が停止するアイテムバックとなると、この世に本当に数えるほどしか出回っていない。

ルウナもそのあたりは元王族なのでわかっており、セフィーレ達がそういった顔をしてしまうのも無理はないなと思っていた。


「ぜ、ゼルート君。そ、そそのあ、アイテムバックは。なななかのお、じ、時間がと、止まってるのかい? あ、あとそ、そそそれはどうやって手に入れたんだい???」


ソブルが若干キャラが壊れながらゼルートにアイテムバックについての疑問を聞いてきた。

ゼルートはこれに対してまたどうやって説明すれば良いのかもの凄く迷った。


(あーーーー、ちょっと迂闊だったな。あんまり爵位の高い人たちの前で見せるような物じゃなかったな。よくよく考えればこれ一つで国が動く騒動だもんな。まぁ、この国の王様はそんな事はしなさそうだけど、あのバカ侯爵やアホ伯爵みたいな性格をしてるやつらなら単独で俺から奪おうとしそうだしな。というか目の前の坊ちゃん貴族が既にそんなことやらかしそうな感じなんだけどな。

さて、なんて説明しようか・・・・・・まぁ、まずは俺が造ったってことは説明しない方が絶対に良いだろうな。うん、そんなことしたらラガールの件同様俺だけじゃなく、家族にまで迷惑がかかる。それは絶対にダメだ。マジでどうしようかな・・・・・・流石に今回は秘密ってことでいいかな)


ゼルートは全く説明が思いつかないのと、話の話題性が大きすぎるので秘密にすることにした。


「あーー、すみません。これをどうやって手に入れたかは言えません。あと皆さんが思っているようにこのアイテムバックの中は時間が止まってます」


ソブルはどうやって手に入れたかは是非聞きたかったが、その思いより理性が勝ち、問いだそうとすることを止めた。


「そ、そうだな。確かに簡単に人に話していいことではなかったな。すまん」


「いえ、分かってもらえて何よりです」


二人の会話にセフィ―レ、カネル、リシアも是非どこで手に入れたかを聞きたかったが、三人とも理性が勝ち思いとどまることが出来た。

だが一人だけ、というかやっぱりこの男は理性が欲望に負け暴走してしまった。


「ふざけるな貴様!!!! そのような重要な情報を何故私たちに説明しない!!!! 貴様一人が隠し持っていていい情報ではないんだぞ!!!! いや、それよりもまずそのアイテムバックを私たちに寄越せ!!!!! 貴様のような冒険者が持っていていいようなものではない!!!!!!! 私たち貴族の方が遥かに・・・・・・」


ローガスが暴走し続けるのに我慢の限界が来たのか、今まで少し強く言うだけでそれ以上は何も言わなかったセフィーレが、ローガスに大声でどなった。


「ローーーーーーガス!!!!!!!!! いい加減にしろ!!!!!! これ以上ふざけたことを言うな!!!!!!」


いきなりのセフィーレの怒声に、ローガスだけでなく他の六人までもが震えあがった。

ローガスも初めてのセフィ―レの怒声に戸惑ったが、直ぐに反論した。


「で、ですがセフィーレ様。もし中の時が止まるアイテムバックが手に入ればアゼレード家の立場が上がるのは間違いなく・・・・・・」


それは今のセフィーレにとっては言ってはならないものだった。(ローガス限定)


「ローガス・・・・・・あまり私を怒らせないでほしいな。お前は先程ゼルートが言ったようにアゼレード公爵家の顔に泥を塗ったばかりだ」


「そ、それは・・・・・・」


セフィ―レはローガスの言い訳を聞かずに続けた。


「これ以上アゼレード公爵家の顔に泥を塗るなら、私にも考えがあるぞ」


おおよそ貴族の子女の様な性格ではないセフィーレだが、家の事は常に考えており男勝りな性格も、貴族らしくしなければいけない場所ではアゼレード公爵の名に恥じないようにふるまっている。

そのようなセフィーレにとってローガスの態度は流石に我慢をするのにそろそろ限界であった。

セフィーレの中で、貴族の出なのだからこの性格は仕方がないのだろうという範囲を超えていた。


ローガスはセフィ―レの考えの最悪の場合を考えるとゾッとし、汗が止まらなかった。


「も、もも、申し訳あ、ありませんでした」


「・・・・・・次はないということをよく覚えておけ」


そう言いセフィーレはゼルートの方に向かった。

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