第142話少年期[132]何故バレた?

ゼルートが説明した魔力操作の練習方法についての話が終わると、リシアがおそるおそるといった表情でゼルートに質問してきた。


「あの、ゼルート殿。一つ質問してもよろしいでしょうか」


「はい、大丈夫ですよ」


ゼルートは何故リシアがすこし遠慮気味で質問してきたのか分からなかったが、とりあえず大丈夫と答えた。

この少し後に、ゼルートは何故リシアが遠慮気味で質問してきたのかが理解できた。というか納得が出来た。


「ゼルート殿の本名はゼルート・ゲインルートではないのでしょうか」


リシアの質問にゼルート、アレナ、ルウナの顔が固まった。


(嘘だろ、なんで俺の本名を知ってるんだ!!?? 確かに一応貴族の息子だけど貴族らしいところなんて一切見せてないぞ。それにゼルートなんてそこまで珍しくな・・・・・・いや、確かに珍しいかもしれないけど、だからって一発で本名を当てるか)


ゼルートはなるべく顔には出していないが、頭の中ではもの凄いパニックになっていた。

アレナとルウナもゼルート程パニックにはなっていなかったが何故ゼルートの本名をしているか、どこからそれを知ったのかその情報源を考えていた。


少しの沈黙が続いた後、ゼルートは隠しても仕方がないと思い正直に話した。


「はい、冒険者登録をしたときは名前だけで登録しましたが、本名はゼルート・ゲインルートです」


ゼルートの言葉を聞いてリシアは、やっぱりといった表情をしていたが怯えたような顔をしていなかった。

カネルは先程何故リシアがゼルートの本名を聞くような事をしたのか疑問に思ったが、ゼルートの名字を聞いた事でなるほどと思い、その後ゼルートの方をまじまじと見だした。

セフィ―レはいまいちわかっておらず、何故少し重い雰囲気になっているのかが分からなかった。


「リシア、ゼルートの本名がどうかしたのか?」


リシアはセフィーレがゼルートの名字を知らないことに驚いた。

ゼルートが子供の頃に自分より爵位の高い貴族の子供と決闘をしてボロボロにし、決闘前にした賭けの内容通り相手の貴族の全財産を貰った話は貴族の中ではかなり有名な話だ。

だがリシアはセフィーレが貴族のこういった話に基本的に興味がない事を思い出し説明することにした。


「セフィ―レ様、今から七年前に男爵家の次男と侯爵家次男一人、伯爵家の三男二人が賭けの内容を勝負に負けたら家の全財産を相手に渡す事にして決闘をしたのを覚えているでしょうか」


リシアの説明にセフィーレは自分の記憶をたどり少し考えるとリシアの話を思い出した。


「ああ、そういえばそのような話があったな。確か勝負とも言えない決闘だったそうだな。その馬鹿な貴族の子息三人は最後に醜態をさらしたそうだったな。あまりいい噂を聞かない家の者達だったか、らそれを聞いた時はもの凄くスカッとしたのを覚えている。その男爵家の次男はよくやってくれたと思ったものだ」


セフィ―レの言葉にリシアも苦笑いしながら頷いた。


「そうですね。私もその話を聞いた時はよくやってくれましたと思いました。そしてその時の男爵の次男がゼルート殿なんです」


リシアから聞いた真実にセフィーレはゼルートの方を向きながら本当かどうか聞いてきた。

聞かれたゼルートは嘘をつく理由がないので本当ですと答えた。


そしてゼルートはリシアに何故自分の本名が分かったのかを聞いた。


「まず、ゼルートという名前自体が珍しいというのもありますが、一番はローガスとの口論に一歩も引かず決闘ではローガスから一撃も喰らうことはなく完勝した事でしょうか。流れからして先程話した貴族との決闘と似ているので、ゼルート・ゲインルート本人なのではと思い確認させてもらいました」


ゼルートは説明を聞いてなるほどなと思った。二つの流れを改めて思い出すと、ほとんど変わらないなと感じた。

だがゼルートの内心はそれよりも昔の出来事について、三人が不快な思いをしていないということが分かったので良かったいう思いが大きかった。

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