第140話少年期[130]楽しい会話?

馬車に乗り込みバーコスに出発してから二時間程が経つが、ゼルートはまだ一度も外に出て護衛の仕事をしていない。

錬金術師によって中身が見た目より広くなっている荷台の中で、ゼルート達はのんびりとしている。

理由はセフィーレがゼルートと話をしたいという単純な事だった。


セフィーレがそう言った時にローガスが口を挟まなかったが、もの凄い形相でゼルートを睨み付けたがゼルートはめんどくさかったので相手にしなかった。


ゼルート達は出発してから二時間程、セフィーレにオークとゴブリンの群れとの戦闘についての様子を聞かれた。

ゼルート達はもう情報としてはある程度知っているんだろうと思い、特に隠す事なく話した。

合計で何体程いたのか、上位種はどれ程いたのか。成長して普通より強くなった奴がいた。

ゴブリンキングとオークキングがどのような戦い方をし、どれほど強かったのかを説明した。

そしてセフィーレに質問されるたびに、ゼルート達はなるべく自分の考えがしっかりと伝わるように丁寧に説明した。


ゼルート達の説明を聞いたセフィーレ、カネル、リシアの三者の表情はそれぞれだった。

セフィーレの場合は自分もそのモンスターと戦ってみたかったという、先程ゼルートとローガスの摸擬戦をみた後と同じような悔しい表情をしていた。


カネルはミーユの様に少し自分も戦ってみたいという思いがあったが、ゼルートの話の中に出て来たオークキングが使った技、大剣から岩の破城槌を打ち出すということを、自分なりに出来るかどうかを考えていた。


リシアはまずオークとゴブリンという女の天敵の名前を聞いて、顔をしかめながら話を聞いていた。そしてオークキングとゴブリンキングの身体能力の高さ、使える技、スキルを聞くと自分達ならどう対処すれば倒せるのかを、眉間に皺を寄せながら考えていた。


「なるほど、オークキングがそのような技を使ったのか・・・・・・大剣から放つ岩の破城槌か。カネル、お前なら土の魔力でなく水の魔力を使って出来るか?」


ミーユの問いにカネルは少し考え込んでから答えた。


「そうですね・・・・・・、はっきりと断言はできませんが出来なくはないと思います。ただゼルート殿の話を聞いていた限り、技の威力にしては必要な時間が短いと思います。なのでまだ私の魔力操作の技術では威力は真似する事が出来ても、発動までに時間がかかります。なのでこれから魔力操作の鍛錬を積めば実戦で使えるようになると思います」


カネルは自分の仕える人に対して嘘はつきたくなかったので、正直に答えた。

ゼルートはこれがあの坊ちゃん貴族ならと想像して、心の中で笑っていた。


(これがあの坊ちゃん貴族だったら多分出来なくても見栄を張って出来ます!! って自信満々に言っていざ実戦で使ってみようとしたら上手くいかず相手の攻撃を喰らうんだろうな・・・・・・ぷっ、そ、想像しただけで笑えるな)


ゼルートは理由があってもいきなり目の前で笑い出すのは失礼だなと思い、必死で声に出して笑いたいのを堪えていた。


「そうか、出来なくはないんだな。ならカネルの努力に期待しておこう」


「はい!! 必ず期待に応えてみせます!!!」


セフィーレの言葉にカネルは絶対に応えようと思い、真剣な顔で大きく返事をした。

カネル自身も自分が考えている技が必要時間を短く発動できれば、戦略の幅が増えると思ったので必ず使いこなそうと思った。


そこで魔力操作で何か思い出したのか、アレナがゼルートに声をかけた。


「ゼルート、あなたが朝の訓練で魔力の球を宙に浮かして動かしていたのは、魔力操作の訓練じゃないの?」


「そんな訓練方法があるのか? 良ければ詳しく教えてほしいのだが」


ゼルートは自分独自の訓練方法は、あまり自分と基本的に関わらない人には教えたくなかったが、一応依頼主からの要望という事なので教えることにした。

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