第137話少年期[127]沸点低いな

俺と坊ちゃん貴族との摸擬戦が決まると、アレナはあまりやりすぎないでよといった目で、ルウナはどれだけ相手がボロボロになるのか楽しみにしている様な目で見て来た。


そしてお互い得物を持ち、お互い五メートル程離れた位置に立った。そして坊ちゃん貴族がいかにもダメな貴族の発言をした。


「ふっ、本当にみずぼらしい恰好をしているな。鎧は着ていない、武器もどこにでも売ってあるような長剣。本当に奴隷と従魔におんぶ抱っこなようだな。化けの皮が剥がれる前に降参してもいいんだぞ。地に頭を付けながら言えばな」


その言葉にゼルートは怒りを通り越して呆れた。相手の力をしっかりと計れないような実力しかないのだから今みたいな状況になっているんだろうが、何故相手の実力をしっかりと計れないのにあんなにも傲慢な、調子に乗った態度を取れるのか不思議でならなかった。


(まぁ、呆れたとはいっても、ムカついてるのはムカついてるからあいつの武器ぐらい勝負に勝った報酬としてもらおうかな・・・・・・いや、流石に今回は自重するか。ガレスさんの面子があるわけだしな。でも、しっかりとプライドはへし折ってやらないとな)


ちなみにこの坊ちゃん貴族の発言を聞いたアレナ、ルウナ、ガレスさんは三人ともあのバカ死んだなと思ったらしい。


坊ちゃん貴族の発言にセフィーレさんと他の従者三人はまたか・・・・・・といった困った表情をしていた。

おそらく今回のようなことをよく起こす常習犯なのだろう。


俺はとりあえず挑発をかました。


「お前こそ恥をかく前に降参した方が良いんじゃないか。アゼレード公爵家の娘の従者が自分がバカにした、たかがDランクの冒険者に手も足も出ずに負けたなんてことになったら、アゼレード公爵家の顔に泥を塗ることになるんだからな」


もちろん悪意をたっぷりと込めてだ。

俺の言葉を聞いた坊ちゃん貴族は顔をいい感じに赤くし、青筋を立てて怒鳴り散らした。


「き、貴様ーーーーーーーーー!!!!!!! そのふざけたことを言う口を二度と開けないようにしてやる!!!!!!」


(おいおいおいおい、貴族がそんなことを口走って良いのかよ。周りに誰もいないってわけじゃないんだぞ。それにこれ一応摸擬戦なんだからそこまでの事は出来ないだろ。ったく。どんだけ頭に血が上りやすいんだよ)


審判役をしているガレスさんが開始の合図をすると、坊ちゃん貴族は魔槍を構え相手の出方を見るような事はせず、勢いよく飛び出し完全に俺を殺すつもりで突きを顔面めがけて放ってきた。


確かにそこそこの速度はあり、おそらくCランク冒険者の上位ぐらいの実力はあるだろう。だが俺にとってはそこまで速さを感じないほどの突きだったので、特に表情を変えず体を少し動かして突きを躱した。


坊ちゃん貴族はその結果に驚いたのか、動きが少し止まった。

俺はその隙に攻撃してやろうかと思ったが、あっさりと勝負がついてしまったらつまらないので何もしなかった。

そして坊ちゃん貴族は直ぐに魔槍を手元に戻し今度は連続で突きを放ってきた。


それから最初の内は俺を殺す気満々なのか、顔ばかりを狙ってきたが中々決まらないのに焦りだしたのか上半身、全身と攻撃範囲を広げた。だが、俺には一切槍が当たること、触れることもなかった。


ちなみに俺は最初の位置からほとんど動いていない。


(ん~~~~、なんだかな~~~。あんだけ傲慢なことを言ってたんだからもう少し強いと思ってたんだけど・・・・・・完全に期待外れだな。まだ奥の手を隠しているのかもしれないけど、それを計算に入れてもあそこまで傲慢になれるほどの強さはないな)


そんな戦いの様子を見ている周りの表情は様々だった。

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