第135話少年期[127]戦いは唐突に

ゼルート達がアゼレード公爵家からの指名依頼を受ける当日の朝。


ゼルート達は街の前で公爵家の次女、セフィーレとその従者四名が乗った馬車を待っている。


ゼルートが暇そうにボーっとしていると、アレナがゼルートに心配そうに声をかけて来た。


「ゼルート、ボーとしてるけど大丈夫なの? もうそろそろアゼレード公爵家の人たちが来る時間なんだから、しっかりしなさい」


「ん~~~、悪い悪い。昨日夜遅くまで色々考え事してたからな。な、ラル」


「そうですね。昨日はかなり遅くまで話していましたね」


さて、なんでまずここにラルがいるかというと、公爵家が試練様に使うダンジョンなら、ラルが満足できそうな魔物がいると思ったから呼んだ。


ラームを呼んでも良かったんだけど、見た目は普通のスライムなので公爵家の人に文句を言われそうなのでやめておいた。


ちなみにラルは体長一メートル程の大きさになっている。


今よりもった大きくなる事も出来るらしいが、あまり大きくなりすぎると色々不便なので今の大きさになってもらっている。


「まぁ、そこはいいとして。なるべくセフィーレ様や、その従者たちと喧嘩したりしないでよ」


アレナが最も心配してることをゼルートに注意したが、それをルウナが否定した。


「いや、それはどう考えても無理なんじゃないのか。ゼルートはまだ十二歳だ。見た目も年相応だからそのセフィーレ様は何も言わないかもしれないが、その従者が難癖をつけてきそうじゃないか?」


「・・・・・・は~~、それをないと言えないのが悲しい現実ね。仕方ないのかしら?

でもゼルート、決闘ごとになって勝負に勝ったとしても、相手の装備を剥ぎ取るようなことはしないでよ」


「・・・・・・・・・わかった。これから一緒に戦う相手の戦力を落とすのは良くないしな」


若干考え込んでから答えを出した。実際は服事ひんむいて皆に見せびらかすのも面白そうだと思ったが、ミーユさんに後から恥をかかすのも悪いなと思ったのでやめよう。


「・・・・・・ちょっと間が気になったけど、まぁいいわ」


「ふむ、お主なら貴族の位関係なしに相手をボコボコにするかと思ったが、そうでもなさそうだな」


「・・・・・・・というかなんでガレスさんがここにいるんですか? 書類関係のお仕事とか大丈夫なんですか?」


そう、これから依頼を受けるのは俺達なのに、なぜここにガレスさんがいるのかいまいちわからなかった。


「なんで私がここにいるのかわからないって顔をしているな」


「えっとまぁ・・・・・・そうですね」


「なに、簡単なことだ。公爵家なんて私より上の方が来るんだ。自らで迎えに行かないと後後やっかいな事になるからな」


「なるほど、そう言うことだったんですね」


等など談笑していると公爵家の馬車がやってきた。


というか・・・・・・荷台を引いているあの馬って普通の馬じゃないよな。


俺が荷台を引いてきた魔物の馬に興味を示していると、公爵家の次女セフィーレさんが降りて来た。

かなり綺麗な人なのか、周りにいる人達から歓声が沸いた。


そんなに綺麗な人なのかと思い、そちらに目を向けると確かに息をのむほど綺麗な人だった。


淀みが一切ないポニーテイルになっている金髪。


顔もミーユさんと似てキリっとした美しい顔だが、まだ年齢によるものなのかあどけなさも残っていて可愛くも見えなくない。


体つきも貧乳好きでなければ、どんな男も魅了しそうなほど豊満な体つきをしていた。


というか本当に十五歳なのか疑わしい。


すると俺と目が合った。


俺が今回指名依頼した人物だと分かったのか、こちらに向かってきた。


別段敵意は感じないので身構えないが、どんな事を言われても受け応えられるようにしようと思った。思ったんだが・・・・・・。


「ふむ、君がゼルートであっているかな?」


「はい、お、私がゼルートです」


俺の答え方がおかしかったのかクスっと笑った。


「ふふ、無理に敬語を使わなくてもいいぞ。それと一つお前に頼みがあるんだが・・・・・・私と戦ってくれないか」


「へぇ!?」


やっぱりしっかりと答えられなかった。

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