第132話少年期[124]・・・誰だっけ?

「ゼルート、あなたどこかの貴族とでも喧嘩したの?」


ガルスの家に行く途中、アレナがいきなりゼルートに失礼なことを言ってきた。


「いや、まったくそんな事してないんだけど。というか、なんでいきなりそんな考えが浮かんだんだ?」


「だって、ギルドに呼ばれるんじゃなくて領主様の家に呼ばれるのよ。あなたが何か問題を起こしたとしか思えないのよ」


アレナの言葉に続きルウナまで俺を攻め始めた。


「そうだな。ゼルートには悪いが、ゼルートは面倒ごとに自ら突っ込んでいく癖があるからな」


「・・・・・・・・・」


二人の言葉を聞いたゼルートは、言い返そうにも何も言えなかった。


確かにギルドに呼ばれるのと領主に呼ばれるのでは内容の大きさが遥かに違う。


(だが、今回は本気で何もやらかし覚えはない。いや、本当にマジでだ)


それでルウナが言った面倒ごとに自分から首を突っ込むってのは・・・・・・・・否定できないなゼルートだった。


(というか子供の時に盛大にやってしまったからな)


あの頃から結構顔つきも変わった自分を知っている貴族は、そんなにいないだろうとゼルートは思っていた。


「まぁ、否定できないところはあるが安心してくれ。この街に来てから貴族と喧嘩をしたことは一回もない!! だから余計に今回の呼び出しが怖いんだけどな」


ゼルートの言葉にアレナとルウナは前半は半信半疑に思ったが、後半には同意していた。


自分達もゼルートの仲間(奴隷)になってから、貴族とかかわったことは領主のガレス以外全くない。


何度か下心満載で絡んできた冒険者を気絶させたり、ボコったことはあったがその中に貴族らしい冒険者はいなかった。


「ま、行けばわかるさ。案外この前の緊急依頼でどういった戦いをしたのかを聞くだけかもしれないしさ」


ゼルートがそんなまずないであろうことを言うと、二人の表情は少し和らいだ。


「そうね・・・・・・私達は何もやましいことをした記憶はないんだから、堂々としてましょう」


「そうだな。むしろオークキングを倒したことでギルドでもらったのとは別で、特別報酬が貰えるのかもしれないしな」


こうして領主の家に着くまでには皆明るい顔になっていたが、アレナだけは心の中は不安でいっぱいだった。


ゼルートがガレスの部屋の扉をノックすると、中から入っていぞと声があり、ゼルートは扉をゆっくり開けながらガレスの部屋に入った。


ガレスは入ってきたゼルート達を笑顔で向かい入れた。


「おお、良く来てくれた。とりあえず座ってくれ」


「わかりました」


俺が座るとアレナ達は一応奴隷という立場なので、ゼルートの後ろに立とうとしたが、ガレスが椅子に座っていいと言ったのでゼルートの隣に座った。


それからはゼルートが言っていた通り、この前の緊急依頼での戦いの内容を話すことになった。


どういった技、魔法を使う敵がいたのか。成長をした魔物は成長する前と比べてどれほど強くなったのか。相手はどんな戦いかとをしてきたのか。


話を聞くたびにガレスは子供のように話に食いついてきた。


その様子を見てゼルートは、な初めてガレスを見たときの印象から少し変わった。


なんというか、こういった話を好む男なところもあるんだなと感じていた。


そして三十分程お菓子をつまみながら話していると、途中でガレスが真剣な顔つきになった。


「さて、ゼルートよ。少し訪ねたいことがあるのだがいいか?」


「え、ええ。構いませんがどういった事でしょうか・・・・・・」


ガレスの言葉を聞いたゼルートは少し緊張し始めた。


隣にいるアレナはもしかして!? といった顔を、ルウナはなぜかワクワクした顔をしていた。


「お主はどこでアゼレード公爵家のミーユ嬢と知り合ったのだ?」


ガレスに質問されたゼルートは、ガレスの言った人物が誰なのかさっぱりわからなかったのが、ミーユという名前を少しずつ思い出した。


「アゼレード公爵家と言うのはわかりませんが、ミーユという女性はこの前あったオークションで会いました」


ゼルートはその時の内容は簡単にガレスに話した。


話を聞き終えるとガレスは、どこか納得のいった顔をしていた。


「そうか・・・・・・だが、だからといって・・・・・・いや、あの方ならばある程度の力は見抜けるか・・・・・・」


「? どうかしましたかガレスさん」


「いや、少し自分の中での疑問が解けたのでな。

さて、先程の話の続きなんだがゼルート、お主にアゼレード公爵家から二女のセフィーレ嬢の護衛の指名依頼が来ている」


「・・・・・・へ????」


予想していなかったガレスの言葉に、ゼルートはつい間の抜けた声を出してしまった。

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