第123話少年期[112]我が主は戦闘凶

ゲイルの長剣に水の魔力が多く集まっていき、ゴブリンキングが持っている魔斧にも毒と麻痺の力、そして斧術スキルマジックアックスによって、魔斧に付与それた火の魔力が徐々に大きくなっていった。


ただゴブリンキングの方は、残り少ない自分の命までも削って最後の一撃に力を込めているので、体の所々から血が噴き出している。


ほとんど瀕死と言ってもいい状態のゴブリンキングだが、その闘志は一切衰えていない。むしろ徐々に上がってきている。


「はア、ハァ、つ、つギが俺のサイごのウっ、・・・・・・いちゲキ二なルだろウ」


「そのようだな。己の命までもを削って放とうとしている一撃、考えただけで心が躍る」


ゲイルの言葉に、ゴブリンキングは呆れた目をしながら自分が思ったことを口にした。


「・・・まったクもッてせんとウキョうのよウなことをイうナ。もとかラそんなセイかクなのカ? それともおマエのアルじにかンかされタのか」


ゴブリンキングの問いに数秒の間、過去を思い出しニヤリと笑いながらゲイルは答えた。


「ふむ、どちらかと言えば後者だな。横でオークキングと戦っている我が主を見ればわかるだろう」


そう言われたゴブリンキングは、ちらっと自分達の隣で戦っている少年の姿を見た。


背丈はさほど大きくはない。むしろ他の冒険者と比べると小さい。だがそんな少年は自分より数倍の大きさがあるオークキングに一切臆することなく果敢に・・・・・・いや、獰猛な笑みを浮かべながら、こいつは俺の獲物だという表情をしながら剣術スキル、魔法を駆使しながら、時には素手で殴るなどしながら戦っている。


「なるほド、マサにせんとうキョウダな」


勇ましいという言葉より先に、その言葉が出て来た。


普通ならあの体格でオークキングに挑み、互角に戦うことは勇敢だと称賛されるところだが、ゼルートの目には必死さはなく楽しんでいる様子が写っていた。


ゴブリンキングの言葉にゲイルは苦笑いしたが、直ぐに真剣な表情に戻した。


「はっはっはっは、そうだろう。そこがゼルート様の良いところでもあるがな。さて、お喋りはここまででいいだろう」


ゲイルはゴブリンキングが言葉を交わしている間に、最大まで威力を高めようとしていることに気が付いていた。

それを指摘されたゴブリンキングは表情を変えず、構えを崩さなかった。


そして十秒ほどが経ち、先に地を蹴ったのはゴブリンキングだった。


「ガアアアアアァァァアアアアアア!!!!!!!」


魔斧には最大限にまで高められた毒と麻痺の力、そして火の魔力が込められていた。そして放たれた技は斧術スキルレベル六で得られる粉砕を上段の構えから縦に一閃、己のステータスの筋力値をそのまま力に変える技だ。


いくらBランクの魔物であっても当たり所が悪ければ即死の威力があるだろう。


即死まで行かずとも、多少の傷を付ければ麻痺によって体が動かなくなり、毒によっていずれ体力がゼロになり死に至るだろう。


「ぜああああぁぁぁああぁぁぁああああ!!!!」


ゲイルの長剣に纏っている水の魔力は刃の周りを高速で回転しており、まるで電動ノコギリの様になっていた。


その威力は、ミスリルなどの希少な金属でも斬り裂いてしまうほどの威力があった。


そしてゲイルはそれを剣術スキルの技・・・・・・ではなく細剣術スキルの技、刺突を放った。

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