第122話少年期[111]全てを賭して

ゴブリンキングがもう一度ゲイルに挑んでから五分後、もう闘いに関しての素人が見てもどちらが勝つかは明らかだった。


ゴブリンキングはゲイルという格上を相手にしていることで急成長していた。

いや、そうせざるをえなかったともいえるだろう。

ゲイルと得物を交えれば交えるほど正確さが増し、体の動かし方も猛スピードで上達していった。


ただ、実際はゲイルがそうなるように誘導した。


だからこそ二人が戦っている最中は、互角に戦っているように見えなくもなかった。


ゲイルが上段から斬りかかろうとすれば体ががら空きなのを見逃さず斧術スキル、フォールブレイクで魔斧の横腹でゼルートを吹き飛ばそうとした。


実際この技は相手にダメージを与えるより相手を吹き飛ばすことを重視した技なので、自分の筋力なら少しは態勢崩せると思い魔法も既に詠唱を始めていた。


が、やはりそう簡単に上手くいかなかった。


ゲイルがゴブリンキングがフォールブレイクを使ったのを見るとニヤリと笑い、それを体で受け止めた。

ゴブリンキングの魔斧にはもちろん魔力が纏われており、振るった力ももちろん全力だった。


だがゲイルはそれをあっさりと受け止めた。

しかもその場から一ミリも動いていなかった。


ゴブリンキングは直ぐに後ろに飛びのき、詠唱を完了させ魔法を放った。

放った魔法はゴブリンキングが今出せる最強の魔法だった。

放った魔法はフレイムジャベリン。多数のフレイムランスを束ねて放つフレイムランスの上位版の魔法。


普通ならDランクの魔物は即死、Cランクでもそこそこのダメージを与えることが出来る魔法だった。


だがそれをゲイルはあっさりと斬り裂いた。


「ほう、先程まではフレイムランスが限界だったはずだが・・・・・・魔法のレベルが上がったのか。ふふ、やるじゃないか。だがそれでは我に傷もつけることは出来んぞ。水波斬!!!!!!」


ゴブリンキングが放ったフレイムジャベリンを、ゲイルは魔鋼の長剣に水を纏いフレイムジャベリンを真っ二つにした。


だがゴブリンキングは魔法を放った瞬間にゲイルの後ろに移動しており、斧術スキル重撃を使い渾身の一撃を放った。


だが、それを気づかないほどゲイルは甘くなかった。


「おお、今の一撃は良かったぞ」


「なァっ!!! か、かたテデだとォ!?」


ゲイルは手の空いている方の手で魔斧を受け止めた。


だが、先程のフォールブレイクのときとは違い、ゲイルをその場から数十センチ動かした。


「ほらどうした、動きが止まっているぞ!!!」


「がァっは!!!!!」


ゲイルの魔力を纏った正拳突きがゴブリンキングの腹にめり込み五メートルほど吹き飛ばした。


ゴブリンキングは何とか地面に上手く着地出来たが、ゲイルの正拳突きが思ったより効いたのか膝をついて血を吐いた。


「ごはッ、がアア、ぁうグっうアアああア!!!」


だがその痛みをゴブリンキングは気合いで跳ね返し立ち上がった。


だが、実際にダメージが消えたのではなく体力を残り僅かとなっており、その命は風前の灯火にひとしかった。


「・・・・・・残り僅かの命でありながら我にまだ挑むか。その心意気は立派と言えよう。よって、次の一撃で終わらせてやろう」


ゲイルの長剣に先程より多くの魔力が集まり始めた。


ゴブリンキングはもうどの道、この勝負に運よく勝てたとしても自分の命が尽きると悟った。


よって次の・・・・・・最後の一撃に己の全てを懸けることにした。


ありったけの魔力を魔斧に込め、魔斧の特殊効果の毒と麻痺を最大限にまで高めた。


それでも足りないと思い、ゴブリンキングは自分の命を最後の一撃を入れる分だけ残し斧術スキル、マジックアックスを使うために削った。


マジックアックス、斧術スキルレベル6で手に入る技であり、普通の斧でも基本属性のどれか一つだけ選びそれを武器に纏わせることが出来るだ。


その様子を見たゲイルは、本当に主であるゼルートが受ける緊急依頼に着いて来て良かったと思った。


「ふっ、正真正銘命を懸けた最後の一撃だな。ゼルート様に感謝しなければな。これほどの強さが籠った一撃はそう見れないだろう・・・・・・だが、我もゼルート様の従魔として負けてやるわけにはいかないのでな。ここの一撃で勝たせてもらうぞ」



ゲイルはより一層魔鋼の長剣に水の魔力を込めた。

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