第121話少年期[110]圧倒的な差

ゲイルの長剣とゴブリンキングの斧がぶつかり合い、金属音が鳴り響く


ゲイルの剣術スキル剛斬と、ゴブリンキングの斧術スキル粉砕が打ち合った結果は互角。


ステータス上ではゲイルが上だが力を抑えており、なおかつ技の特性上ゴブリンキングが放った粉砕の方が威力が高いため、お互い拮抗した状態になった。


ゲイルはそこから鍔迫り合いで押し勝とうとしたが、本能的に危険を察知してバックステップでゴブリンキングから距離をとった。


その様子を見たゴブリンキングは、自分の作戦通りにいかなかったことで舌打ちをし顔を歪めた。


ゴブリンキングの表情から、ゲイルは持っている斧についてある程度情報を得た。


「ふむ・・・・・・少しばかり厄介だな。あの斧、いや魔斧・・・・・・おそらく相手を何らかの異常状態にする効果があるはず。おそらく麻痺、毒、睡眠、精神作用・・・・・・はなさそうだな。あの表情からして相手が近くにいなければ効果を発揮しない。ん、これは・・・・・・」


ゲイルは自分の持っている武器に違和感を感じた。


「・・・・・・やってくれるではないか。武器の方も少し本気で行こうか」


そう言ってゲイルは鉄の長剣を捨て、腰に着けてあるマジックバックから新しい長剣を取り出した。

それは先程までゲイルが使っていた物とは違う長剣だった。


その長剣はゲイルが鉱石を魔法を使って固さの純度を最大限に活かして造った長剣だった。


使われた鉱石は魔鋼と言う魔力を宿した鉱石だ。固さは魔力を宿していない鉱石と比べると遥かに硬く、Cランク冒険者がその鉱石が使われている武器を愛用している。


デザインはゼルートのオリジナルにしてある。


(剣の様子からして毒で溶かされたといったところか。だか少し跡が変だな。剣が溶けて出来たドロッとした部分とは別に毒々しい色の液体? があるな。魔力を込めることで刃から相手を状態異常にする液体を飛ばすことが出来る・・・・・・と考えていいだろうな。それにあの魔斧の強度も中々だ。ゼルート様のためにあれは壊さずに持ち帰ろう)


ゲイルが戦いの最中に余計なことを考えていると、ゴブリンキングが先程より多く魔力を体と武器に纏い、ゲイルに襲い掛かった。


ゲイルも魔力を武器と体に纏わせ斬り合いに応じた。


ゴブリンキングは体術スキルと斧術スキルを持っているため、ある程度無駄のない動きでゲイルに攻撃を繰り出した。どの攻撃も重さがしっかりとあり、並みのBランクの冒険者では受けきれないほどの威力と速さがある。


狙いも悪くない。だが・・・・・・。


「グぅっ、なんといウぼうギョりょくだ。おれのコウげきヲそんなよユウなひょうじょウでうけるなンテ」


「こればかりは鍛錬の差としかいえないな。が、お前も中々厄介なスキルを持っているな」


「・・・・・・それガおれのとリエだといえるカらな」


ゲイルは魔鋼の長剣でゴブリンキングの魔斧を防ぎながらも魔力の弾丸・・・・・・ブレットでゴブリンキングを攻撃していた。大きさはそれほどないので、ゴブリンキングも体を無理やりずらしながら躱していたが、何発かは命中していた。


だがそれでついた傷が、十秒ほどで完全にふさがっていたのをゲイルは見逃さなかった。


(再生、もしくは回復速度上昇等だろう。本当に厄介だな。だが、その分長く楽しめるというものだな)


ゲイルから漏れた殺気を感じて、ゴブリンキングは大きく後ろに飛びのいた。


それから火魔法のファイヤーボール、ランスを唱えさらに斧術スキルのアックスブーメランを使い腰に着けていた予備の斧をゲイルめがけて投げつけた。


「ほう、魔法は初級だが威力は寧ろ他の冒険者等と比べると高い。そして我に狙いを定めて向かってくる斧。普通のいや、上位種のリザードマンではやられてしまうだろうな。

だが・・・・・・」


ゲイルはファイヤーボールをウォーターランスで相殺し、三つあったファイヤーランスは全て斬り裂き、自分にめがけて飛んできた斧は剣術スキルの斬撃を放ち粉々にした。


それを見たゴブリンキングはある程度予想していたた事だが、それを表情一つ変えずにやってしまうのを見て焦り始めた。


ちなみにゲイルは余裕たっぷりの表情をしている。


「連続でファイヤーボールとファイヤーランスを唱えるとは、詠唱速度も速い。もしかしたら高速詠唱持ちか? それに続けて斧術スキルでの攻撃。やはりキング種はそこら辺の魔物とは違うな。さぁ、次はどんな攻撃を繰り出すんだ?」


余裕な言葉を言うゲイルを見て、ゴブリンキングは改めたこのリザードマンに・・・・・・いや、リザードマン達と対峙したことを後悔した。


いいや、出会ったことを呪った。


正直今すぐにでも逃げ出したい。だがそれは出来なかった。


ゲイルの様子からしてまだ全力を出していないことは分かっている。


だから逃げようとしても、直ぐに追いつかれてしまうのは分かりきっていた。


ゴブリンキングはなけなしの勇気を振り絞り、もう一度飛び出した。

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