第120話少年期[109]逃げることは出来ない

ゼルート達の前方からゴブリンとオークの上位種を引き連れた、ゴブリンキングとオークキングが現れた。


ゴブリンキングは通常のゴブリンより遥かに体が大きく、高さは二メートル半程ある。

全体の筋肉も通常種のゴブリンからは考えられないほどの太さだ。

持っている武器も高位の冒険者から奪った物なのか、一目で業物と分かる得物を持っていた。


オークキングは他の通常種や上位種と比べ、幾分腹の出っ張りが小さく少々筋肉質な体型をしている。

高さは三メートルに達するほどの高さ。この体型、大きさが魔物の一番のアドバンテージと言えるだろう。

そして常に魔力を纏っており、魔力量の多さが分かる。

持っている大剣は、どこにそんな大きなやつがあるんだと、突っ込みたくなるような大きさをしている。

到底人が使うような得物ではない。


そしてオークキングはなんと人の言葉を発した。


「ふム、おまえタチがおれたちのどうゾクを、たクさんコロしたやつラか」


オークキングの問いにゼルートはいつも通りの様子で答えた。


「たくさんかどうかは知らないけど・・・・・・まぁ、結構な数は殺したな。ああ、安心しろよ。オークの肉は旨いからな、最後はしっかりと食べるよ」


今回に限ってゼルートは相手を煽るつもりはなかった。本当に思ったことを言っただけだった。


だがそれは見事にオークキングの神経を逆撫でた。


「きさマあああァぁァァァああアアああ!!!! おレがオークキングトわかってイテそのヨうなざれごトをほざいていルのかあァアああ!!!!」


オークキングの怒りによりオークキングが身に纏っている魔力の量が膨れ上がった。


オークキングは額に大きな青筋を立てていた。

たったゼルートの一言で怒りが頂点に達した証拠だ。


「ああ、それぐらいわかってるよ。見た目が他のオーク達とは全然違う、し希少種かなって考えることも出来るけどなんて言ったらいいんだろうな・・・・・・器がちょっと違うって言えばいいのかな。とりあえずお前から同族を支配する力を感じたからオークキングだって分かったんだよ。

そんで、なんでお前はそれを知ったうえで俺がお前に喧嘩を売るような真似をするのかが聞きたいんだよな。

まず一つ目。さっき言った通りオークの肉は美味い。そして魔物はランクが上がるほど美味くなる。通常種でも美味いオークのキング種ってなるとそれはさぞかし美味いんだろうなって思ったから。

そんで二つ目は・・・・・・」


一旦言葉をきり、ゼルートは口端を吊り上げながら続けた。


「俺がお前よ強いから。負ける要素も一切ないからな」


と言い切った。傲慢でも過剰な自信、妄想でもなく、単なる事実だと告げた。

そのことにより、オークキングの怒りのボルテージはさらに上昇した。というか限界突破?


オークキングは得物を構え戦闘の態勢にはいった。

それを見たゼルートも構えをとった。


そしてお互いに同じタイミングで飛び出した。


「ころス!!!!!!」


「もう言葉は不要って感じだ、なっ!!!」


そして大剣と長剣がぶつかり合いゼルートとオークキングの戦いが始まった。







ゼルートとオークキングが戦っている隣では、まだゲイルとゴブリンキングは戦いを始めていなかった。


ゴブリンキングはオークキングと同じように言葉を発し、ゲイルに自分が思っている疑問を聞いた。


「おまエ、なんでニンげンなんカのしたにツいている? おまえホドのじつりょクしゃならばダレかにしたがはズトモいきテいけるはずダ」


ゴブリンキングの質問に、ゲイルは何を言っているんだこいつという目をしながら答えた。


「ゼルート様がそれほどの実力者であり、器の大きいお方だからに決まっているだろう。従魔になる理由など同族を人質を取られて無理やり等といった例外以外、それしかないだろう」


「・・・・・・・・・」


ゴブリンキングは視線をゲイルからゼルートに移した。


確かに強い。子供であの強さは異常だといっても間違いではないだろう。


だが自分達が負けるとは一切思っていない。自分と一対一では確かに敵わないだろう。


だがオークキングが相手となれば話は変わる。それほどまでに同じキング種であってもオークキングは自分より強かった。


だが目の前のリザードマンが嘘を言っている様にも思えない。

ゴブリンキングは自分達の運命が尽きたのではないかた思い始めた。

目の前の自分より強いであろうリザードマン。


そしてそのリザードマンより強い人間。


もしかすると本気で頭を下げ、許しを請えば従魔になるという形で許してもらえるかもしれない。

強い者に付き従うことは嫌なことではなかった。人格がしっかりとした者なら尚更だった。それが例え人間であったとしても。


だがそれはしなかった。


自分同族を率いる立場として、なによりキングとしてのプライド、誇りがそれを許さなかった。


「なるほド。たしかにソウかもしれなイな。だが、おれモにげるわけにはイカナい。ゴブリンのキングとシテおまエをたおす!!!!!」


「ふむ、良い殺気だ。これなら我も満足できるはずだ!!!!!」


その場からお互いが飛び出し、高威力の技を放った。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます