第118話少年期[107]弱すぎて萎えるな・・・・・・

「ウィンドカッター!!」


ゼルートが呪文を無詠唱で唱えると、ゼルートの前に約二十もの風の刃が生まれた。

それをゼルートはダードに向かって容赦なく、全ての風の刃を放った。


ダードは後ろを振り返りゼルートの魔法を対処しようとしたが・・・。


「なっ・・・・・・」


時すでに遅く、風の刃はダードを文字通り切り裂いた。よってダードの死体はほとんど原型がなくなっており、細切れになっていた。


その光景を見たデブルと仲間の男は最初は何が起こったのか、全く分からなかった。


ゼルートが突然消えるとダードの後ろに移動しており、その後何やら魔法を唱えると一瞬にしてダードを細切れにした。


どうやって殺したのかは分からなかったが、ゼルートにCランクの冒険者なら一瞬で殺せるということが分かった。いや、二人にとっては分かりたくなかった事実だ。


周りは分厚い大地の壁で覆われていて脱出不可能。そして中には冒険者の中で中堅に当たる自分達を一瞬で殺すことが出来る実力を持つ新人冒険者。いや、彼らにとっては悪魔とも言えよう。


二人はルーチと同じように命乞いをした。たとえ可能性がゼロであったとしても。


「な、なぁ。悪かったよ。本当に出来心だったんだ。だ、だからな、い、命だけは助けてくれ!!」


「お、俺もだ。本当に悪かった。こ、これからはこんな事一切しねぇから頼む、命だけは!!」


二人は地べたに頭をこすりつけて謝る。

ブライドや自尊心等を直ぐに捨て、土下座をしながら謝った。


この世界に土下座という言葉は存在しない。だが相手に頭を地面につけるということは、自分は完全に貴方より下ですと言っている事と同じとなっている。


二人はまだ新人冒険者の頃、先輩の冒険者等によく頭を下げていたが、地面に頭をつけることはなかった。


二人は内心なんでこんなクソガキに!!! と怒り狂っているが、これで自分達は殺されることはないだろうと思っていた。


だが、ゼルートに元々許すつもりは一切ない。そしてゼルートは心が読める・・・・・・とまではいかないが、相手の本音の感情等は読み取れるので、二人が本当に謝罪していない事は直ぐに分かった。


故にゼルートの非情さは変わらない。


「俺はさっき、俺を殺しに来る奴は魔物と一緒で例外を除いて殺すってみたいなこと言わなかったっけ。とりあえずさ、そんなみっともないことはしなくていいから、死ぬ覚悟でもしたら」


ゼルートは自分の感情を隠すようなことはせず、言葉を発した。


ゼルートの言葉に気の短い二人はプツンっ、とキレてしまい、敵わないと体はわかっているのにゼルートに襲い掛かった。


「ふざけんなよクソガキがあああああ!!!!!! ぶっ殺してやる!!!」


「生き地獄を味合わせてやる。覚悟しろよクソ野郎!!!」


このとき、二人の様子にゼルートは少し疑問を感じた。


(なんでこいつらさっきまで自分たちの仲間が俺に瞬殺されたのを見ていたのにあんな強気なんだ? あれか、恐怖で頭がおかしくなったってやつか。それなら納得ができるな。

にしても本当にこいつらバカだな。これ以上歯向かわず潔く死を受け入れるんだったら一撃で殺してやっても良かったのに・・・・・・とりあえずいたぶってやるか)


デブルは長剣を、もう一人はヤリを手にしてゼルートに襲い掛かった。


ゼルートはまず二人の武器を魔力を加えた斬撃で真っ二つにした。


二人にはゼルートの行動が目で追えず、武器が急に真っ二つになったことに戸惑い動きが止まった。


「なっ、俺の武器が・・・・・・」


「おい、どうなってんだ!! まだ買ってからそんなに日は経っていない筈だぞ」


当然ゼルートがそんな隙だらけの様子を見逃すはずもなく・・・・・・。


「アクアカッター」


無詠唱で魔法を唱えデブル左足と右腕を、もう一人にはその逆を切った。


二人はあまりの痛さに、子供のように大声を上げながら地面を転がりまくった。


「なああああ、痛ってえよおおおおおおおおお!!!」


「ああああ、お、俺の足が腕がああ、ぐあああああああ!!!!」


もはや二人は芋虫のように這いつくばることしか出来なくなった。


そんな二人を見たゼルートのいたぶってやろうという思いは消え、むしろ二人を憐れむ様になった。


(ああ、よくよく考えればこいつらに相手との実力差を感じ取る力がなかったから、こうなったんだよな・・・・・・は~~~、なんかもういいや、死体が残らないように全てを消すとするか)


「まぁ・・・・・・あれだ、もし次の人生があるなら、そん時は真っ当に生きろよ」

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