第116話少年期[105]本当のバカに死を

ゲイルが最初に冒険者を助けてから十分程が経った。


「ふーーむ、どうやら今回の緊急依頼には力量が不十分な冒険者達が多く来ている様だな。Eランクの冒険者ではいくら数を揃えていても、連携がしっかりとれていなければオーク相手はきついというのに・・・・・・上位種となれば余計に勝てる確率は下がるのだが、強欲な者は自分の身が危険にもかかわらず、その欲は変わらないみたいだな」


ゲイルが助けようとした冒険者の中には、オークやゴブリンの上位種相手にボロボロにされているのにも関わらず、助けられた後に自分達と戦っていた魔物をとられると思ったのか、助けを拒否する冒険者がそこそこいた。


ゲイルは自分が倒した魔物は別にいらないと言おうとしたが、冒険者は基本自己責任だということを思い出し、その場から離れた。


だが、その後から冒険者の悲鳴等上がることもあった。


「あまり私には理解出来ないものだな・・・・・・死ねばそこまでだというのに」


ゲイルにとってゼルートの役に立つことや、仲間の従魔達と共に冒険することが幸せなので、欲深い冒険者の気持ちは全く分からなかった。


オークとゴブリンの集団を相手にし終えた後、まだ今回の群れの親玉が菅とを現さないので、今回の緊急依頼での別の目的を果たすことにした。




「さてと・・・・・・あのアホ共を始末するとしますか」


ゼルートは事前にどうやって自分を狙っている冒険者達を始末するかを考えていたので、直ぐに行動に移した。


「ここが丁度いいか」


ゼルートは今オークとゴブリン相手に冒険者が戦っている場所から、少し離れたところに来た。


もちろんゼルートを襲おうとしているバカな冒険者達も、しっかりとついてきている。


「この木でいいかな」


そう言うとゼルートはある程度しっかりとしている木の下に座り気にもたれ掛かり、寝た振りを始めた。


ゼルートを襲おうとしている冒険者達は、数分間ゼルートの様子を見て本当に寝たんだと確信した。


冒険者達の中の一人、ゼルートがギルドに初めて来た日にボコボコにされたCランクの冒険者、デブルはゼルートの寝ている様子をみて欲に塗れた笑みを浮かべた。


「はっはっはっは、バカなガキだぜ。調子になって仲間の元を離れてこんな誰も来ねえてこで休眠をとっているなんてよ」


「デブルの言うとおりだ。調子に乗っているルーキー程バカな行動をとるよな」


「ふふふ、あの子も運がないわね。ま、私たちその分良い思いが出来るのだから、精々抵抗せずに死んで欲しいものね」


「へへ、中の時間が止まるアイテムボックスか・・・・・・売ればどれだけの白金貨が手に入るんだろうな」


四人の冒険者は自分達が返り討ちに遭うなど、一ミリも思っていなかった。


ルーキーとしてはあり得ない実力を持っていることは分かっていたが、自分達が四人がかりで襲えば間違いなく殺せると思っていた。


だが、四人はこの後自分達の行動を後悔することになる。


四人組の冒険者はゆっくりゆっくりと足音を出さないようにゼルートに近づいた。

そしてゼルートとの距離が十メートル程になったところで足を止めた。


「よし、頼んだぞダード」


「ああ、任せてとけ。我が魔力よ・・・・・・」


デブルにダードと呼ばれた魔法使いはファイヤーランスの詠唱を始めた。


デブル達の会話を聞いていたゼルートは、ファイヤーランスに対してどう対処するか悩んだ。


(どうするかな・・・・・・ファイヤーランスぐらいなら簡単に対処できるしな。弾き返すことも出来るんだけど、それだとちょっとつまんないしな。ん~~~良し、この案で行くか)


丁度ゼルートの作戦が決まった時、ダードの詠唱が終わった。


「・・・ファイヤーランス!!!!」


ダードが放ったファイヤーランスはゼルートめがけて一直線に向かった。


そしてゼルートに直撃し、ゼルートが炎に包まれた。


「いよっしゃあああ!!!! 余裕かましてる割には大したことなかったな」


「ああ、まったくだ」


「ふふ、いい感じに燃え上がってるわね」


「へっへっへっ、速く焼き死なねえかな」


デブル達が待つこと五分、死体はもう完璧に焼けていて、顔は誰だか分からない程になっていた。


そして四人の冒険者の中で盗賊の役割をしているルーチという女がゼルートに近づいてきた。


「本当に、バカの子ね。目立たずに大人しくしとけば良かったのに」


そう笑いながらゼルートに近づく途中で違和感に気が付き、足を止めた。


よく見ると死体の大きさがゼルートと全く違っていた。


「ちょっと待って、あれってまさか・・・・・・」


ルーチが言葉を言い終わる前にルーチの両手、両足が切り裂かれた。

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