第113話少年期[102]死を賭した一撃

「さぁ、どこからでもかかってこいオークジェネラル」


「ブモオオオォォアアアアア!!!!!」


ルウナの軽い挑発に乗ったオークジェネラルは、全身に魔力を纏いルウナに突進してきた。


魔力の纏い方はまだ雑で全然なっていないが、それでもこの巨体でのタックル、喰らったら無事では済まないだろう。そのはずだが・・・・・・。


「ふん!!」


ルウナはその細い腕でオークジェネラルのタックルを止めた。


そのことに驚いたオークジェネラルは、もう一度力を籠め押し込もうとしたが、ルウナはその行動を嘲笑うかのように力を緩め、その場から飛びのいた。

オークジェネラルはその勢いを止めるか方向転換できるような器用さはなく、そのまま地面に顔から突っ込んでしまった。


「ブモガッ!!??」


そんなオークジェネラルの様子を見ていたルウナは、冷静にオークジェネラルの今の状態を分析していた。


「ふむ・・・・・・やはり成長した直後、またはしかかっている状態では魔力での体の強化はまだまだ粗削りか。まぁオークやゴブリンの集団・・・・・・いや、魔物同士でお互いの力を向上しあうといったことはなさそうだし、そこまで期待しないほうが良かったか。

はぁ~~、これならゼルートが昇格試験の時に戦ったスケイルグリズリーを、無理にでも変わってもらえば良かったかもしれないな・・・・・・」


ルウナは今対峙しているオークジェネラルに対して不満を漏らしていた。


その様子に、オークジェネラルは自分が侮られていると本能的に感じ取り、立ち上がって持っていた巨大な斧でルウナに攻撃を仕掛けた。

だがルウナはそのオークジェネラルの様子に嘆息し、ひらりと斧による攻撃を躱した。


それからオークジェネラルは何度も攻撃を仕掛けたが、ルウナはそれを全て躱し続けた。

その繰り返しが数分ほど続いたが、ルウナはそろそろ飽きたなと思い、オークジェネラルの攻撃を躱し腹に回し蹴りを決めオークジェネラルを吹き飛ばした。


ルウナに蹴り飛ばされたオークジェネラルは、数回バウンドしてから地面に落ちた。

それを見たルウナはため息を吐きながら、オークジェネラルに最後の挑発をした。


「は~~~~、まったくもって期待外れだな。

おい、オークジェネラル! もう一度言おう。死ぬ気でかかってこい!! 私は次の一撃でお前を殺す」


ルウナの言葉にオークジェネラルは恐怖を覚えた。相手の言っている言葉は全く分からない。だが、本能が言っている。自分はあの獣人に殺されると。


本当は今すぐにでも逃げたかった。だが出来ない理由が二つあった。


一つは相手は自分より圧倒的に速いので背を向けた瞬間に殺される。


二つ目は上位種としてのプライド故、敵から逃げるという行動をとれないこと。


そこでオークジェネラルは覚悟を決め、最後の一撃を決めにかかった。持っている得物に魔力をほとんど纏い、斧術のスキル技、粉砕を発動した。


自分の力量にもよるが、文字通り相手を粉砕する技。だがこの技には欠点があり、低レベルで得られる技にしては強力過ぎる故、反動で自分にもダメージを受けてしまう。


既にオークジェネラルの体はルウナから受けた攻撃により既にボロボロであり、この攻撃で仮にルウナに勝てたとしても、粉砕の反動で受けるダメージ死に至る。


ルウナはそのことが分かると、先程までつまらなさそうにしていた顔から、獰猛な笑みに変わった。


「なんだ、やれば出来るじゃないか!! そうだ、その一撃にお前の全てを賭けろ!!!」


そう言うとルウナは右手に炎を纏い、自分で生み出したオリジナルの技を使った。


(もちろん威力は抑えて)


「ブモモモオオオオオオオオ!!!!」


「炎狼拳!!!!!!」


オークジェネラルの文字通り命を懸けた一撃と、ルウナの炎の狼の頭部を纏った拳がぶつかり合った。

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