第110話少年期[99]みんな心配性だな

出発してから三日目、ようやくオークとゴブリンが拠点としている場所の近くまでゼルート達はたどり着いた。

ゼルート達はその近くで拠点を作り、今回の討伐についての確認を行っていた。


だがゼルートにとって、あまり聞いていても為になることはなかったのでほぼほぼ聞き流していた。

今回の緊急依頼のリーダー役の人、ロウノスからの説明が終わると、グレイスがゼルート達のところにやってきた。


「おう、ゼルート。ちょっとだけ時間あるか?」


ゼルートはアレナ達の討伐中の行動の確認をとっておきたかったので、少し悩んだ。


「・・・・・・わかりました。三十分くらいでいいですか?」


「ああ、それで十分だ。ってことで悪いが、ちょっとゼルートを借りるぞ」


「わかりました。ゼルート、襲撃の時間には遅れないでよ」


「ああ、わかってるよ」


それからグレイスとゼルートは、周りに人がいないところに移動した。

そしてグレイスがゼルートに真面目な顔で質問をしてきた。


「なぁゼルート、お前人を殺したことはあるか」


「はい、Dランクの昇格試験が盗賊を討伐することだったんで。それにドーウルスに来る途中でも、盗賊団に襲われたときも人を殺しました」


「そうか・・・・・・今回の討伐でお前を狙おうとしてる奴がいるのは知っているか」


ゼルートは視線には気づいていたが、誰だろうと予測し始めた。ゼルートはドーウルスに来てから恨みを買った人たちを思い浮かべた。


「はい、結構ばればれな視線だったんで。それに相手も大体予想はついてます。多分ですけど僕がギルドに来た初日に酔っぱらって絡んできた冒険者だと思います。確か・・・・・・ランクはCかDだったと思います」


「そうか・・・・・・まぁお前のことだから心配はないと思うが、慣れている奴は本当に慣れている。注意しておくことに越したことはないはずだ。気を付けておけよ」


グレイスはまるで自分の子供を心配するように言った。


グレイスにとってゼルートは親友の息子、やはり他の冒険者と比べて気にかけてしまう。


「大丈夫ですよ、もし本当に襲ってきたらまとめて返り討ちにしますから」


「ふっ、そうか。余計なお世話だったな。よし、それじゃ早く戻るぞ」


「はい!」


全く関係のないことだが、ゼルートは会話中になんでグレイスとダンの性格がこんなにも似てないのかを考えていた。


「おかえりゼルート、どんなことを話していたの?」


「いや、そんな大した事じゃないよ」


(まぁ、話さなくても二人ならすでにわかってるみたいだしな)


「それより討伐中の確認をしたいんだけどいいか」


「ええ、大丈夫よ」


「もちろんだ」


「俺とゲイルは独単、アレナとルウナは基本二人で行動する。そんでゲイルには危ない状況になっている冒険者の援護にも回ってもらうことになっている。そんで・・・・・・ルウナはできれば上位種と戦いたいんだよな」


俺は苦笑いしながら訪ねると、ルウナは嬉々とした顔で頷いた。


「ああ、前回の昇格試験の時は全然強い奴と戦えなかったからな。オークの上位種とかならばそこそこ戦えるはずだ。まぁ、キングがいた場合はゼルートとゲイルに譲ろう」


(あぁ、約束は覚えてくれていたんだ。よかったよかった。後でそこらへんで揉めることになったらめんどうだからな)


ゼルートはルウナが約束を覚えていてくれた事に、ホッとした。


「アレナはルウナと一緒に戦いつつも、余裕があったら他の冒険者の手助けでいいんだよな」


「ええ、この街で長くやっていくんだったら、そういうところにも気を遣ったほうが良さそうだからね」


(冒険者も助け合いは必要だからな。それに恩を売っておけば後で良いことがあるかもしれないしな)


「そんで俺はさっき言った通り独単で動くから」


そう言うとアレナが真剣な顔で聞いてきた。


「私たちを狙っているバカ達はゼルートに任せていいのね」


「・・・・・・ああ、安心しろ。あんなアホ共に殺されたりなんて万に一つないからさ」


ゼルートがそう言うと、アレナは優しい笑顔で頷いた。


「ええ、わかったわ。でもあまり気は抜かないようにしておきなさい」


「そうだぞゼルート。バカは行き過ぎると何をしでかすかわからないからな」


「ははっ、そうだな。用心しておくよ」


ゼルートはルウナのジョーク? に苦笑いしながら答えた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます