第108話少年期[97]二人の考え

ゼルートが魔法で即席の露天風呂を造り、三人・・・・・・正確には二人でボーイズトークで盛り上がっているころ、女性陣達もガールズトークで盛り上がっていた。


・ゼルートが遮音の魔法を使っているため、男性陣と女性陣はお互いの声が聞こえていない。


「ふ~~。本当っ、野営中にお風呂に入れるなんて贅沢よね私たち」


「うむ、気持ちよすぎて沈んでしまいそうぶくぶくぶく・・・・・・」


「は~~~~。アレナさんの言う通り、本当に贅沢ですね。ですが少々他の冒険者さん達に申し訳なく思いますね」


「はふ~~~~。私今とっても幸せです~~~」


アレナとルウナとミルシェはお風呂の気持ち良さに大満足している。

コーネリアも満足はしているが、自分達だけこんなに贅沢な思いをしてもいいのかと悩んでいた。


皆が極楽極楽となっているとき、ミルシェが不安に思っていることをアレナに聞いた。


「あの・・・・・・岩の柵があるから大丈夫とは思うんですが覗かれたりしないですよね?」


「ええ、それなら大丈夫よ。音はゼルートの遮音の魔法で外の連中には聞かれないし、何より希少種のリザードマン、ゲイルがいるから大丈夫よ。ルウナもそう思うでしょ」


「そうだな・・・・・・木の上から覗こうとしたしたりスキルを使って覗こうとしたら直ぐに気づいて阻止するだろうな。それに、まだ摸擬戦などをしていないから断言は出来ないが、ゲイルのステータスはおそらく同レベルのドラゴンニュートより高いはずだ」


ルウナの言葉にコーネリアとミルシェはまさかっ、と驚きの表情を浮かべた。


種族ごとのステータスを簡単に説明すると、人族は基本的にバランスが取れている。獣人は敏捷に優れている。エルフは魔力量、魔力が優れている。ドワーフは防御力が優れている。ドラゴンニュートは筋力が優れている、といった具合だ。


人族以外の種族が特化しているステータスが同レベルのモンスターに負けているということは、あまりない。もちろんAランク、Bランクのモンスターともなれば話は別だが、いくら希少種とはいえ元がCランクのリザードマンに、ドラゴンニュートがステータスで負けるとは普通なら考えられない。


だがコーネリアはAランク冒険者として長年培ってきた感覚により、ルウナが嘘を言ってないという事が分かった。


ミルシェもまだ冒険者になってからそこまで年月が経っている訳ではないが、両親がAランク冒険者ということで、多くの本物の強者と会ってきて強者が醸し出す雰囲気という物がなんとなく分かり、ルウナが本当の強者ということが分かるので、ルウナが嘘を言っている様には考えられなかった。


「本当にゼルートも中々に規格外だけれど、その従魔のゲイルも結構規格外よね」


「アレナの言うとおりだな」


「そうですね・・・・・・あっ、そういえば昔ですね・・・・・・」


「ほ~、それは凄いな。いったいどうやって・・・・・・」


そこからはお互いに過去に出会った珍しい従魔の話をしたり、冒険者ならではの会話で盛り上がった。


そして話は恋愛に変わった。


「そう言えばアレナさんとルウナさん、どちらがゼルート君の恋人なんですか? それとももしかして、二人ともゼルート君の恋人なんですか? それともお二人とも彼のことが好きだったりしますか?」


「そ、そうなんですかアレナさん、ルウナさん!」


コーネリアは冗談で言ったつもりだったが、アレナとルウナの二人ではなくミルシェが本当にそうなのかと勘違いしていた。


質問された二人は顔を隠したりなどはしなかったが、少し顔を悩ませた。


そしてアレナから自分のゼルートに対する思いを述べた。


「私は好きかどうかといわれたら多分好きだと思います。奴隷という立場でなかったら告白していたかもしれません。でも、今は私の友達が関係していたとはいえ、普通の人ならばとても払えるような額ではないお金を使ってまで、あの豚貴族から助けてもらった恩をしっかりと返すまではそういった事はあまり考えられませんね」


「私は・・・・・・そうだな。惚れてはいるだろう。だがそれはゼルートの強さに対してだ。もちろんあいつの優しさや、良いところは知っている。そしてまぁ・・・・・・いつも大雑把な私にも色々あってだな、そういった関係になってもいいのか分からないんだ」


アレナはまずは豚貴族から助けてもらった恩を返すのが先、ルウナは惚れてはいるがそれはゼルートの力に対して、そして自分の元の立場に関してゼルートともしそういう関係になっても大丈夫なのかと。


二人の答えに、コーネリアはまだ若い二人の考えが歳の故か可愛いと思えた。


ミルシェはまだ自分が一切恋などをしたことがないため、二人の考えに感嘆していた。


そこでアレナは今度はこっちのターンといった感じで質問した。


「そちらのダン君だったかしら? はどうなんですか。あの子くらいの年齢なら、浮いた話の一つや二つはあると思うんですが」


アレナの言葉に二人は苦笑いしながら答えた。


「えっと、ダンはその・・・・・・なんといいますか・・・・・・」


「は、母親離れと姉離れが出来ていないんですよ。あ、あははははは・・・・・・」


まさかの返答に、アレナとルウナも苦笑いするしかなかった。

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