第101話少年期[90]Aランクの二人とバーで

夜の十時ごろ、住民がほとんど寝静まっているころにゼルートはギルドの前にいた。

会議が終わった後にこの時間にギルドの前で待ち合わせと、グレイスにゼルート言われた。


ちなみにアレナとルウナは連れてきていない。


「おう、待たせちまったみたいだな」


「ごめんなさい。この人がさっきまで酔ってしまっていて」


「いや、大丈夫ですよ。自分もさっき着いたばかりなので」


(うん、やっぱりなんか似合わない二人だな。人懐っこい顔をしてるとはいえ巨漢の男とどちらかと言えば可愛らしい顔をしている神官さん。

はたから見ると美女と野獣に見えてもおかしくない気がするな)


「よし、それじゃあいいところを紹介するから着いてきてくれ」


「わかりました」


グレイスの後に着いて行った場所は、洒落たバーだった。


(なんていうか・・・・・・俺みたいな外見お子様なやつが来たら場違いな気がするんだけど)


ゼルートが自分の見た目を心配してると、コーネリアさんが声をかけてくれた。


「そんなに心配する必要はありませんよ。ここに来る人は、ギルドの酒場にいるような酔っぱらって絡んでくるような人ではありませんから」


「わ、わかりました」


そしてゼルート達はカウンターに座った。


それから直ぐにグレイスが酒を注文した。


「マスター、俺とコーネリアに軽いのを頼む。この子にはジュースを」


「わかった」


グレイスが注文してから一分程でワインが二つとジュースが一つ出された。


「ふ~~~、相変わらずここの酒は上手いな」


「ええ、そうね。ゼルート君の舌にも合ってるかな?」


「はい、なんていうか・・・・・・ジュースなんですけどちょっと苦味があるけど、またそれがおいしく感じます」


ゼルートの言葉を聞いた初老のマスターが、嬉しく感じたのかニヤッと笑っていた。


「そうかそうか、それはよかった。にしてもお前がゼルートか・・・・・・ガレンから貰った手紙で読んだ印象と結構違うな」


「・・・・・・どんな感じだと思ってたんですか」


ゼルートの質問にコーネリアさんが苦笑いしながら答えた。


「ガレンからの手紙には、王都で子供達のお披露目会に行ったゼルート君の決闘の話が主だったんです」


「おう、それで生意気な貴族のガキどもを挑発して上手いこと決闘に持ち込んで、貴族のガキ三人をボコボコにしたって書いてあったからもっとなんつーか、荒れてる感じかと思ってたんだよ」


(あ~~~、なるほど。その情報だとそう思われても仕方がないな)


ゼルートは肩を落とし若干落ち込んだ。

グレイスはそんなゼルートの様子を気にせず話を続けた。


「にしても、読んでてスカッとしたな俺は」


「? 貴族の子に何か恨みでもあるんですか」


グレイスは酒を一口飲むと苦虫を噛み潰したよう顔で話してくれた。


「ああ、まぁちょっとな。ほら、俺とコーネリアはAランクだから指名依頼で貴族の息子に稽古をつけてくれってのがあるんだが、大抵のガキどもは直ぐに根を上げて親にあることないこと吹き込むんだよ。そして依頼主と喧嘩になる。ま、ガルス様の名前を出せば大人しくなるんだけどな」


(確かに基本何不自由ない暮らしで育ってきたお坊ちゃんたちには、Aランク冒険者の指導を受ければすぐにリタイアしてしまうか)


「にしても結構悪戯好きでもあるんだな」


その言葉にゼルートは流石Aランクだな感心した。


(というか俺が転ばしたと分かっていて笑ってたのか。それはちょっと酷くないか? いや、元はといえば突っかかて来たあいつの自業自得ともいえるのか)


「なんだ、ばれていたんですね。でも僕は自分が悪いとは思ってませんよ」


「ええ、それはわかっていますよ。あの子は少し短期なところがありますからね。特に私やミルシェの事になるとになると周りが見えなくなるんです」


(おいおいシスコンのうえにマザコンかよ)


ゼルートはその言葉を心の中だけで言うつもりが、つい声に出てしまった。


「マザコンでシスコンってかなり重症ですね」


「んん? マザコンとシスコンってなんのことだ」


ゼルートはグレイスさんの反応をみてやってしまったと思った。


「あ~~~あれですよ、母親が好きな人をマザコン、姉か妹が好きな人をシスコンと呼ぶって随分前に読んだ本に書いてあったんですよ」


「ぶっ、ははは。なるほど、確かになんかしっくりくるな。確かにあいつはコーネリアとミルシェの事が大好きだから。でもそのせいで俺はあいつが将来結婚できるのかが心配なんだよな」


(確かにそれは心配だな。マザコンとシスコンこじらせて生涯独身って笑えないからな)


「そうですね・・・・・・ダンに好きな人でも出来たら安心できるんですけどね」


ゼルートはジュースを飲みながら当分治らないだろうなと思った。


仮に好きな人が出来たとしてもそのマザコン、シスコンなところを見られたら直ぐに破局するだろうと直感的に思った。


「そう言えばお前の隣にいた・・・・・・」


「あの二人は・・・・・・」


この後、ゼルートはアレナとルウナがパーティーメンバーになった経緯を話し、そのあとは二人がゼルートの父親と母親と一緒にパーティーを組んでいた時の笑い話等をゼルートに聞かせてくれた。


ただ、中には笑い話では済まない話もいくつかあった。

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