第100話少年期[89]不幸な男の子

(さてと・・・・・・俺は単にあの女の子と目が合っただけで、俺は何もしていないのに勝手に女の子が後ずさっただけなのに、なんでいきなり俺の方に向かってくるんだよ。シスコンかよあの男の子)


自分に怒りの表情を浮かべて向かって来る男の子に、ゼルートは呆れていた。


(にしても何であの女の子いきなり後ずさったんだろうな。鑑定でスキルだけのぞかせてもらうか。

・・・・・・へ~なるほどな。そりゃ確かに俺を見たら後ずさるかもしれないな)


魔力が強いと魔法を主とする者に気配を感じ取られやすいとあって、ゼルートはいつも実力を隠す意味も含めて他、者に魔力を感じられないようにしている。


(でも・・・・・・魔力感知Aがあるなら話は別か。感知系統のスキルでそこまでランクが高いなら隠していても無駄か)


魔力の気配は、鑑定のスキルを使われたときに誤魔化すことが出来る偽装スキルでも無意味な故に、ゼルートの異常な魔力、魔力量は後ずさった女の子にさバレバレだった。


(そんでこちらに向かってきてる少年なんだけど・・・・・・どうしようか? とりあえず恥をかかすのは決定なんだけどな。そうだな・・・・・・よし、ここはシンプルに何もないところで転ぶにするか)


ゼルートは少年の足が丁度地面に着く瞬間に、氷魔法を使い床を周りから見えない範囲を凍らせた。


(男の子よ、盛大に転んで周りを爆笑させてくれよ)


「おい、そこのお前! 今姉さんに何をしうわっ!!!! ―――――いってええええええええ!!!!!」


(う、うん。ぶっ、な、ナイスだ男の子。見事なこけっぷりだ。おもいっきり地面にキスしたな


ゼルートは内心爆笑していたが、顔をポーカーフェイスにしてぎりぎり笑いをこらえている。


隣の二人は爆笑こそしてないものの、口を手で押さえ笑いをこらえていた。


それで周りの冒険者は・・・・・・もれなく全員爆笑していた。


(ま、相手に掴みかかろうとして何もないところでいきなり転んだらそりゃ笑ってしまうよ)


ゼルートが周りを確認すると、これから会議の進行役であろう年配の冒険者と男の子の家族も笑っていた。

男の子の父親は腹を抱えおもいっきり笑っている。


ゼルートはとりあえず転んだ男の子に手を出し心配そうに声をかけた。


もちろん悪意を込めて。


「おいおい、いきなり何もないところで転んで地面とキスしたみたいだけど大丈夫か?」


ゼルートの言葉を聞いた男の子は周りに笑われた事により顔が赤くし、ゼルートに掴みかかろうとしたが、ゼルートに自分の失態を言われさらに顔を赤くした。もはや完全にトマトだ。


男の子はゼルートが差し出した手をはじいた。


「だ、だだ大丈夫に決まっている。それにただ少し滑っただけで転んでなんかいない!!!」


男の子がそう言うと周りの冒険者達は口には出してないが全員、それを転んだっていうんだよ、っと心の中でツッコんだとゼルートは思った。


すると後ろから男の子の家族が来て、母親が男の子の頭を杖で殴った。


「ガっ!! って~~~~。い、いきなり何をするんだよ母さん!!」


「ダンがいきなりそこの少年に突っかかろうとしたからです」


母親に正論を言われた男の子はうっ、と言葉を詰まらせるが直ぐに反論した。


「で、でもこいつと姉さんの目が合ったらいきなり姉さんが後ずさったんだ! こいつが何かしたとしか・・・・・・」


「いい加減にしなさい!」


「っだ~~~!! そ、その杖でポンポン頭を叩かないでくれよ」


「あなたが無責任な行動をとるからです!」


(うっわ~~~絶対に痛いだろあれ。

鑑定はしてないけどあの杖魔力を高めるだけじゃなくて棍棒代わりにもなるやつのはずだ)


「おう少年。うちの息子がいきなり突っかかろうして悪かったな。ま、突っかかる前に盛大に転んだけどな。っと自己紹介がまだだったな。俺は魔導の戦斧のリーダーのグレイスだ。そんで今息子を杖で殴ったのが俺の妻、コーネリアだ。そんでその隣にいるのが娘のミルシェ、そしてそこで痛みに悶えているのが息子のダンだ」


(見たところワイルドだけど人懐っこそうな顔をしているグレイスさんがタンクで、いかにも神官って恰好をしてるコーネリアさんが回復役、そんで綺麗な水色の長髪の女の子が魔法を使った攻撃役、それで俺に突っかかってきた男の子が多分職業的に剣士ってところだろう)


確かにバランスの良いパーティーだなと、ゼルートは素直に思った。


「俺はゼルートだ、ランクはこの前Dになった」


ゼルートの言葉を聞いたグレイスとコーネリアは驚いた顔をしていた。


「ゼルートって、お前さんもしかして・・・・・・」


ゼルートの父の名前を言おうとしたグレイスに、ゼルートは手を出して言うなと合図を送った。


元Aランクアレナが知ってる事から、他の冒険者でも自分の父親の名前を知ってる人が多いだろうとゼルートは予想した。


この場でそれを言われてしまうと、Aランク冒険者の息子ってのついて回るという結果が考えられた。ゼルートとしはAランクの息子なのが嫌なわけではないが、色々と面倒くさくなると思った。


(それに詳しく知ってる奴なら、俺が貴族の息子なのがばれるしな)


「・・・・・・わかった。そうだな・・・・・・この後暇か? 少し話たいことがるんだが」


「わかった。楽しみにしてるよ」


それから周りが落ち着きだし、会議が始まった。

会議と言ってもあまり難しい話はなかった。


偵察役のパーティーを決め、向かう道の説明等が主だった。


それと会議とは全く関係がないが、ゼルートの後方からゼルートを狙うような視線を向けられていた。


(・・・・・・多分ギルドに来た初日に絡んできたCランクの冒険者どろうな。ったく。緊急依頼に参加するくせに何バカなこと考えてんだろうな。

ま、襲ってきたら試したい魔法があるしそれの実験台になってもらうとするか)

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