第96話少年期[86]領主様と面会

セイルとゼルートが決闘した日から数日が経った。


その間ゼルート達はギルドのクエストを受けたり、盗賊から助けた子供達の面倒をみたり、ルウナとアレナに絡んできた冒険者をボコって服以外剥ぎ取ってギルドの外に捨てたり等、平和な日を送っていたが今日それが崩れてしまった。


なぜかというと・・・・・・。


「初めましてだな。私はガルス・マーレンだドーウルスの領主だ。よろしく頼む」


目の前にいる体格が良い白髪が少し混じった強面な領主様に呼び出されたからだ。


(やっべーーー! ヤクザかよって言いたくなる顔だよこの人。ってそうじゃなくて俺なんかやらかしたか? 別に決闘でもちょっと男の尊厳をぶっ叩いたり、おちょくったりしてるだけで反則をしてるわけじゃないから、呼び出される事もないんだと思うんだけどな)


といった具合にゼルートは結構緊張しているが、ルウナは元王族という事もあって、緊張した様子は一切ない。


アレナも元Aランク冒険者故に、ルウナと同じように緊張した様子はなかった。


挨拶をしてきた相手に返答しないのはまずいと思ったゼルートは、緊張しながらも領主様に挨拶をした。


「ゼルートです。こちらこそよろしくお願いします」


領主様・・・・・・ガルスはゼルートの緊張している様子を察したのか、ゼルートに優しい言葉を掛けた。


「そう緊張することはないぞ。それに、お前はそうそう緊張するような奴ではないだろう。なぁゼルート・ゲインルート」


その言葉に俺はなんで俺の本名知ってんの!? とゼルートは思ったが、よくよく考えればこの街のギルドマスターが知っているのだから、領主であるガレスが知っていてもおかしくだろうと納得した。


(ってことは・・・もちろんあの話も知ってるってわけか)


二人はゼルートの名字から、貴族だということを知り驚いた表情をしていた。


「ゼルート、あなた貴族だったのね」


「まぁ一応な。貴族って言っても、親は元冒険者だしそんなに爵位は高くないしな」


「そう・・・・・・あなたの行動からしてまったく想像つかなかったわ」


(おいなんだよその言い方! ちょっと傷つくじゃねぇか。事実その通りだけどさ)


「はっはっは、確かに娘の言うととりだな。私もゼルートと貴族の子たちの決闘を見たときは同じように思ったよ。まぁ、なかなかに爽快感のある決闘だったので私は楽しませてもらったがな」


「・・・・・・ゼルート。どのような試合をしたのだ?」


ルウナが首を傾げながらどのような内容か、物凄く気になるといった表情でゼルートに聞いてきた。


ゼルートは頭をかきながら、全てを話さず大事な部分だけを答えた。


「あーーーそうだな・・・・・・別に大したことはしてないぞ。ただ単に相手のプライドを粉々に砕いただけだ。後、相手の家の財産を全て賭けの対象として貰っただけだ」


「二つ目思っていたより凄いな!?」


「ルウナの言うとおりね。凄いというか・・・・・・あなた鬼ね。相手の貴族落ちぶれコースまっしぐらじゃない」


二人の顔は驚きと貴族への同情を含んだ顔をしていた。


(だって仕方ないだろう。あいつらが父さんや母さんたちの悪口言ってきたんだし。というか目の前で勝手に決闘になったに止めようとしなかった貴族の親達も大概だけどな)


決闘が始まる前には決闘の賭けの対象が、各家の全財産だというのに口を挟まなかったが、決闘が終わって結果がボロ負けとわかったら王に対して文句を言う。

当時の事を思い出したゼルートは、改めて最悪な性格をしてるなと思った。


「まぁ、あ奴らはそれほどの暴言をゼルートに向かって吐いたのだから、当然の結果と言えよう。私としては寧ろあの場で殴りかからなかったのを褒めたいぐらいだからな。

おっと、本来の目的を忘れるところだった。お主に願いがあって呼んだのだ」


(ほっ、よかったお願いか。でも俺にお願い・・・・・・指名依頼みたいな真似するってことは重要な事・・・・・・なのか?)


ゼルートは不思議に思いながらも会話を続けた。


「お願い・・・・・・ですか。一体それはどういった内容ですか」


「つい先日兵士からの情報で、この街から東の方に三十キロ進んだところにある集落に、ゴブリンとオークたちが合計二百匹程いることが報告された」



ガレスさんの報告に元Aランク冒険者だったアレナ表情が強張った。


「モンスターが二百も集まっているの!? いやゴブリンとオークが一緒にいるのも驚きだけど二百もいるとなると・・・・・・」


「お嬢さんの思っているととおりだろう。オークキングかゴブリンキングのどちらか。いや、両方いる可能性がある」


ガレスの言葉に、ゼルートは口端をばれないように釣り上げた。


(久し振りに強い奴と戦えるな)

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