第86話少年期[76]圧倒的な力の差

ボーランのマジックアイテムの大剣と、ゼルートの魔力を纏った鉄のロングソードがぶつかり合った。


この時点でボーランの使っている武器が普通の武器であったのなら、ゼルートの一撃で折れていたがボーランの大剣は傷一つ付いていなかった。


(流石はマジックアイテムの大剣っていったところか。それと、右腕に着けている腕輪と靴も一応マジックアイテムだな。効果は鑑定眼で読み取っていないからわからないけど筋力と敏捷を上げるマジックアイテムだろうな。大剣の効果は多分属性付与か切れ味を上昇させるとかそんなところだろう。それに盗賊のリーダーだからか? しっかりとした剣術を使っている。元傭兵ってところか。まぁ、そんなことはどうでもいいか、なかなか楽しめそうだし、あいつが持っているマジックアイテムも一応欲しいしな。それじゃ、いっちょやるか!!)


ゼルートはバックステップでボーランから距離をとり、再び斬りかかった。


その速度にボーランも反応しゼルートの袈裟懸け斬りを大剣で受け止めた。

だが、元々のステータスの差によりボーランは二メートル程後ろに下がった。


「ちっ、まだ本当にガキだっていうのになんつー強さだ。一応これでも力には自信があるってのに、よ!!!」


後ろに下がったボーランも負けじと大剣をゼルートの脳天にめがけて振り下ろした。


本当ならその大剣っを避け、反撃に移れるゼルートだが、あえてその大剣をロングソードの側面で受け止めた。


「くそっ、なんだってんだよそのロングソード。俺の大剣みたいなマジックアイテムってわけじゃなくただの鉄の剣だってのに、なんで折れねぇんだよ!」



そう、ただの鉄の剣ならばボーランの一撃によって折れていただろう。だがゼルートの使っている剣はただの鉄の剣ではなく、ラーガルが住んでいる鉱山から抽出した硬さを百パーセント活かした鉄を、村の鍛冶師に鍛えてもらったものだ、それに加えゼルートの錬成された魔力を纏っている。


この剣に傷を入れたり折るのであれば、ゼルートの持っているランク六の氷の魔剣、フロストクレイブクラスの魔剣でなければ無理だろう。


「戦闘中にそんなことを考えていていいのか?」


「なっ! 消え・・・・・・がはっ!!!」


ゼルートはボーランの大剣を弾き、素早く横に移動し蹴りを加えた。


行動だけ聞くと、そんな簡単に見失うのかと思ってしまうが。ボーランとゼルートのステータスでは文字通り格が違う。


少し本気で移動しただけで、ボーランは目でゼルートのことを追えなくなった。

だがその一撃をあの一瞬で予測できたのか、それとも直感なのか大剣を盾にすることで防ぐことが出来た。


しかしその衝撃で、ボーランは数メートル程横に吹っ飛んだ。


「ぐ、く・そがあああ!!! 手前いったい何者だ。お前みたいな歳でそれほど強かったら、多少なりとも名が広まっている筈だ!!!」


ボーランの頭の中にはこの近辺で有名な冒険者。二つ名持ちの冒険者、騎士の名前、特徴などが入っていた。


だが目の前の少年ともいえる男の情報は一切ない。そのこともあってボーランの焦りは大きくなっていた。


「そうは言ってもな。俺が冒険者登録をしたのはここ一週間以内の話だ」


「なっ!」


その言葉を聞いたボーランは驚いた表情・・・・・・というよりは信じられないといった顔をしていた。


それもそうだろう冒険者に登録して一週間も経っていない奴が、盗賊を討伐してくるなんて聞いたことがなかった。


もっとも、ゼルートにとっては過去に何度か盗賊を殺したことはあるので、なんともないことだった。


「信じられるかっ! って言いたいところだがどうやら本当のようだな」


「へぇ、なかなか分かってるな。なら、もうお前が俺に勝てないってことぐらい分かってるよな。

それで、いつまで奥の手を隠しているつもりだ」


「・・・・・・」


ボーランは何も答えなかったが。ゼルートはボーランの大剣にかなりの魔力が宿っていることに気が付いていた。


主に魔法使いや神官が使うマジックアイテムの中に、魔力を充電できる物がある。


それにより魔力の少ない者でも、レベルの高い魔法を使うことが出来るようになる。


その魔力を充電できる効果がボーランの大剣に付いていた。


「俺は次の一手で決めるつもりだ。死にたくなければ本気でくるんだな」


ゼルートは自分の手の平と鉄の剣に魔力を集め始めた。


「ちっ!! そうだな。どうせ俺は死ぬんだろう。

なら最後ぐらい足掻かせてもらうぞ!!!!!!」


二人はともに技を繰り出す体制に入った。

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