第79話少年期[70]何事もなければいいんだが・・・

「ん~、ゼルートの奴遅いな。亜種や希少種ではなかったと思うんだがな」


ルウナはゼルートのことを心配している様子はないが、何か厄介な事でも起こったのかと考えていた。


ガンツも心配している様子はないが、試験管として目的地へのタイムロスは避けたかったので少々考え始めた。


「確かに見た感じ普通のスケイルグリズリーだったから大丈夫だとは思うが、一応今は試験中だからな~~~。どうすっかな~~~」


ガンツは今、試験管という立場なので、本来なら目的地への行くのを優先しなければならない。


まだゼルートとスケイルグリズリーが戦い始めてからそれほど時間が経っているわけではないが、かと言ってあまり他の試験を受ける者達を待たせるわけにもいかない。


ガンツが悩んでいるとセイル達のパーティーの回復役のミールが、ガンツに声をかけた。


「あの・・・もしスケイルグリズリーにやられていた場合はどうするのでしょうか? やはり今からでも助けに行った方がいいのでは・・・・・・」


ミールがゼルートがスケイルグリズリーにやられているのではないかと心配して、ガンツに助けに行った方が良いのかと聞いた。


「はっ! かっこつけて一人でスケイルグリズリーなんかに挑むからだ。今頃死んでるはずだ。まぁ、冒険者だからそこは自己責任だけどな。

これだとドウガンさんに勝ったのも、まぐれか卑怯な手を使ったのかどっちかだな」


セイルはここぞとばかりゼルートに悪態をついていた。


そのセイルをルウナとアレナは冷めた目で見ていた。


ルウナはこのバカは何を阿保なことを言ってるんだ、アレナは力の差を理解出来ないこいつは早死にしそうだな、といった感じの目をセイルに向けていた。


しかし二人とも今は試験中なのでここであまり足を止めるのは得策ではないと思い、ガンツにゼルートは後で必ず自分達に追いつくはずだから先に行こうと言おうかどうか迷っていた。


そこに・・・・・・。


「おう、待たせて悪かったな。今戻った」


ゼルートがなんともなかったかの様に戻ってきた。


「おう、その様子だとスケイルグリズリーに勝ったようだな」


「ああ、ほら、これがスケイルグリズリーの死体だ」


ゼルートは空いている場所にスケイルグリズリーの死体を出した。


ルウナとアレナとガンツは当然だなといった顔をしていた。


ローク、ラナ、ミールは信じられないといった顔をしていた。それもそうだろう。


Eランクの冒険者一人でスケイルグリズリーを倒すことなど基本出来ない。


Dランクの冒険者が三、四人で討伐する魔物だ。信じられないのも無理はないだろう。


しかしセイルだけはゼルートを絶対にありえないといわんばかりに睨み付けていた。


「首と胴体を真っ二つか、流石と言いたいところだが俺の感覚としては、もう少し早く決着が着くかと思っていたんだが何かトラブルでもあったか?」


ガンツの問いにルウナとアレナも同意的な目を向けてきた。


「ああ、それなんだけどこれ見てくれ」


そう言ってゼルートはマジックバックから、スケイルグリズリーの魔石を取り出した。


その魔石は通常の黒い紫色に加え、灰色が少し混ざっていた。


それを見たガンツはかなり驚いていた。


「まじかよ・・・・・・お前成長した魔物を相手にしてたのかよ」


「ああ、結構強かったぞ。まずはな・・・・・・」


ゼルートはガンツ達に成長したスケイルグリズリーとの戦いの内容を話した。


まずは、スケイルグリズリーが魔法を使ったこと。

その魔法を自分に纏ったこと。そしてただ暴れるだけでなく考えて攻撃してきたこと。

その説明を聞いたガンツ達の反応は様々だった。


「成長したのなら魔法を使うのはわかるが魔法を纏うか・・・・・・それだとCランク、いやBランクでもおかしくないな。

この試験が終わったら一応ギルドに伝えておくか」


ガンツはいつもとは違う真面目な雰囲気をだして、成長したスケイルグリズリーについて考えていた。


「は~~、ゼルートはいいな。成長した魔物なんてそんな簡単に見つからないんだぞ。

なぁ、頼む! 今度は私に戦わせてくれ」


ルウナは今度強そうな魔物が出てきたら、自分に戦わせてくれと俺に言ってきた。


俺もそこそこ戦闘凶だけどルウナもかなり戦闘凶だよな。

やっぱ獣人だから血の気が多いのか?


「色付きの魔石は久しぶりに見たわ。確か魔剣などを造るのにも使えたはずね。

やったわねゼルート! 売っても良し、魔剣等を造るのにも使って良しよ!」


アレナは今回得た魔石を、俺がどのように使うか気になるようだ。


ロークやラナ、ミール達は今回の一件で俺がドウガンを倒したということを認め始めたようだ。


だけど、セイルだけがなにやらブツブツつぶやいていた。


何事もなく終わりそうにはないな・・・・・・

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