第76話少年期[67]備えあれば憂いなしってな

「よし、今日はここで野宿だ!」


ゼルート達が出発してから途中に休憩をはさみながら七時間程が経っており、周りは暗くなり始めていた。


野宿の準備は、基本同じ昇格試験を受ける冒険者同士で協力し合うものなのだが、俺達のパーティーとセイル達のパーティーでどちらが優れているかを競っているので協力はしない。


ガンツもそのことはわかっているので、何も口を出さなかった。


そして夕食の時間になったんだが・・・。


「おいゼルート。なんでそんな出来立てのオークの煮込みスープや、クラッチバードの串焼きがあるんだよ!!」


ガンツがなんだその非常識は!! と言いたそうな顔で聞いてきた。

よく見てみると、セイル達は涎をたらしながらこちらを見ていた。

セイル達の夕食はどうやら干し肉と黒パンのようだ。

一度食べてみたことはあるけど、とても旨いとはいえなかったな。


「あれ、言ってなかったか? 父親が元冒険者だったからアイテムバックのお古を貰ったんだよ」


「な、なるほど。そういうことか。だが羨ましい限りだな」


そうなのか? Cランクの冒険者ならそこまで上等な奴じゃなければ一つくらいは買えると思うんだけどな。


「ガンツはCランクなんだから、Dランクのアイテムバックくらいは持っていないのか?」


ルウナがストレートにガンツに聞いた。

ガンツは頭をかきながら恥ずかしそうに言った。


「いや~~~、確かにそこそこお金は貯まるんだが、あんまり武器が長持ちしなくてな。武器の買い替えの出費が多くてなすぐになくなっちまうんだよ」


なるほど。確かガンツが使う武器は長さ一メートルくらいのアックスハンマーだからな。

かなり上等な奴じゃないと、手入れをしていても駄目になるのが早そうだしな。


「そうか、なら今度すぐに武器が壊れない方法を教えてやるよ」


「な! それは本当か!? いや確かにお前が使ってるロングソードってただの鉄の剣だよな。

だとしたら納得がいくな」


へ~、気が付くのが早いな。


まぁこれはただの鉄の剣じゃなくて、硬さを百パーセント活かした鉄の剣だから、そこらへんのとはわけが違うけどな。


「それはそうとガンツも一緒に飯を食うか? 前に奢ってやるって言ったろ」


「いいのか!? それなら俺も一つ貰うとするか!!!」


後ろでセイル達がガンツに非難の目で見ていたが、ガンツはそんなの知ったことかといった感じで俺が出した飯を食べ始めた。


ルウナは特に気にせず、アレナは元Aランクの冒険者だったので、試験監督がそれでいいのかという目で見ていた。


それから十分もしないうちに飯は食べ終えた。

何回かセイル達の方からお腹のなる音が聞こえたが無視しておいた。


ちらっと見ると女の子のラナとミールの顔が赤くなっていた。


俺は一瞬飯をあげてもいいかなと思ったが、競い合ってるのを思い出しやめた。


そもそもここら辺に食べれそうな動物や、木の実などを調べておけばいい話だしな。


「ガンツ、ワインもあるが飲むか?」


俺はもう一つのアイテムバックからワインを取り出した。


このアイテムバックは酒用のアイテムバックなので、中で時間が経つようにしている。


造るのにはなかなか苦労したけどな。未来の楽しみのためにワインを作るのはもちろん、蒸留酒を作るのも頑張ったからな。


ちなみに生産の継続はラガールに任せている。


ラガールはそこそこ酒が好きだったので、すぐに協力してくれた。


「おいおいおい、まだ十五にもなっていないのになんで酒なんて持ってるんだよ」


「な~~~に、将来の楽しみのために持っているだけだよ。それでいるのか? それともいらないのか?」


「ん~~できれば飲みたいんだが、流石に酔っぱらったらまずいしな~~」


どうやら一応試験監督としてそれはまずいと考えているのだろう。


「安心しろよ。知り合いに飲んでもらったけど、そんなに度数は高くないみたいだからな」


「そうか・・・よし! なら貰うとしよう!!!」




うん、やっぱり酒の魔力には敵わないらしいな。




それから寝る準備を始めだした。


俺は冒険者になる前に倒した魔物の皮で作ったテントを出した。


そして寝るときは基本パーティー内で交代で見張りをするものだが俺は土魔法でゴーレムを造りそいつらに見張りを頼んだ。


そこらへんでもまたガンツやセイル達にどんだけ非常識なんだよ! って感じの目を向けられた。


冒険者を目指し始めたのがかなり速かったんだから仕方がないと俺は思うんだけどな。

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