第52話少年期[42]己の命を削って

グロイアスの風の魔力が加えられた張り手により、吹き飛ばされ大地の壁に背を思いっきりぶつけたオークジェネラルを見て、俺は勝負あったなと思った。俺以外の人が見てもそう思えるだろう。


(俺が期待していた展開にはならなかったけど、最初のあの攻撃には驚かされたし、見たかいはあったな)


そう思いながら俺はグロイアスがオークジェネラルの手から弾き飛ばしたオークジェネラルの大剣を回収して戦いの結末を確認しようとした。


おそらく首を跳ねるか心臓を貫いて終わりだろう。

そう思ったが予想外なことが起きた。


「ブモォォ・・・・・・ブモオオオォォオオオオオオオオオオオ!!!!!!!!」


もう、後はとどめを刺されて終わりだと思っていたオークジェネラルが、大きな雄たけびた。

そしてオークジェネラルは両拳に炎を纏いグロイアスに向かって殴りかかってきた。


「・・・っは!! そう来るか、いいな、すげぇいいぞ。負けるなよグロイアス!!!」


グロイアスはオークジェネラルの炎を纏った拳に対抗しようと風を・・・・・・ではなく岩を纏った拳でオークジェネラルに殴りかかった。


(おし、ちゃんと属性に対する考えも反映されているみたいだな。風のままでいったら炎を大きくさせてしまうだけだからな)


そして最初の一撃、もちろん決めたのはグロイアスだった。オークジェネラルの右ストレートを左手で軽くいなし懐に潜りこみ、腹に重さが乗ったパンチを決めた。

さっきまでならこの一撃で決まっていた。だが今回はそうはいかなかった。

多少は後ろに吹き飛ばされたものの腹は貫いてなく、直ぐにグロイアスに殴りかかった。


「!!?? 嘘だろ、拳にはスタールタートルの甲羅を使ってるんだぞ。それに土の魔力で造った岩も纏っての一撃だ。それを喰らって直ぐに反撃に出るとか・・・・・・普通あり得ないだろ」


成長した魔物とはいえあり得ないことだと思い、俺は直ぐにオークジェネラルよ~く観察した。

よく見ると魔力を体全身に纏っているのが分かった。

それ事態には驚かなかった。魔力による身体強化ぐらい、出来ていてもおかしくはないランクの魔物だ。

俺はその量に驚いた。オークジェネラルなら一分・・・・・・いや、三十秒ほどしか継続しない魔力を使っている。

そして今なおグロイアスとオークジェネラルの攻防は続いている。

お互いに蹴り、拳、肘、膝、抜き手、頭突き等を様々な形に変え繰り出している。

最初は荒かったオークジェネラルの攻撃が攻防が続くことで、だんだん的確に攻撃してくるようになった。


まだグロイアスに攻撃は当たっておらずグロイアスはオークジェネラルに的確に決まっている。

そろそろオークジェネラルの魔力が切れ戦況が変わってもおかしくない。だが一向にオークジェネラルの攻撃は緩まない。むしろ激しさが増っしている。


「どういうことだ? そろそろ魔力切れで倒れてもおかしくない筈だ・・・・・・まさか!!!!」


俺は慌てて鑑定を使いオークジェネラルのステータスを見た。

すると状態に痛覚無効、そしてグロイアス攻撃を受けていない間も体力が減り続けている。

つまり命を削ってまで目の前の敵に勝とうとしているということだ。


俺はそれを知り打ち震えた。そしてグロイアスに嫉妬した。

外に出て魔物と戦うようになってから、自分の命を削ってまで自分を倒そうと向けってくる敵はいなかった。

大抵はそうまではならずに決着が着いた。


だから戦ってみたかった。自分の命を賭してでも俺に勝とうと向かって来る敵と。


そう思っているとグロイアスとオークジェネラルの戦いに終わりが迫っていた。




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