第44話少年期[34]可能性

「まぁ、とりあえずスレン。お前にとってゴーランはどんな存在だ」


俺の問いにほんの少しだけ悩んだがスレンは直ぐに答えた。


「ゴーランは僕にとって大切な友達で、将来一緒に冒険する背中を預ける仲間で・・・・・・絶対に負けたくないライバルだよ」


スレンの答えは俺が満足するものだった。

今のゴーランに必要なのは、そういうことを真正面から言ってくれる友達、親友だ。


「ならもう答えは出ている。今お前が言ったことをそのまま真剣な顔で伝えてやれ。人が思っていることは言葉に出して伝えないと、案外わからないもんだ。だからそうだな・・・・・・今日はもう遅いから明日にでも伝えてやれ」


俺の言葉にスレンは頷き、さっきまでの不安そうな顔ではなく良い笑顔になっていた。

そしてスレンが立ち上がろうとするとき、スレンがふと思いついたような感じで俺に聞いてきた。


「そういえばなんでゼルートは言葉をかけないんだ?」


その言葉に非難の意味は含まれておらず、単純な疑問だった。

俺は頭をかき苦笑いしながら答えた。


「ほら、今日俺がゴーランに言った言葉とかを考えるとさ・・・・・・嫌味かよってなるだろ。それにお前にとってのゴーランと俺にとってのゴーランは違うからな。一つ目は同じだけど二つ目三つ目は違うからな」


俺の言葉にスレンは、少し悲しそうな表情になった。


「薄々気づいていたけど、ゼルートは僕たちと一緒に冒険者になって、パーティーは組まないんだね」


「ああ。まぁ、俺には俺のペースってのがあるからな。それはお前たちとのペースとは違うだろうからな。別に心配することはねぇよ。冒険者をやってればいずれどこかで会えるんだからさ」


「そうだね・・・・・・・・・・・・三つ目も、無理なのかな・・・・・・」


スレンの言葉にどう返していいか、俺は少し悩んだ。今の時点では断じてないといってもおかしくはないだろう。

だけどこいつらが今日見せた才能の片鱗を考えると、完全否定はできなかった。


「そうだな・・・・・・とりあえず今のところはそうはならないな」


「っ!!」


俺の答えにスレンは悔しそうな表情を浮かべた。

だが俺は直ぐに言葉を続けた。


「でも、五年後、十年後はどうなってるかはわからない。お前たちには確かな才能と、それを腐らせない努力を続ける力がある。お前たちの伸びしろはまだまだある。だから。いつかはそういう関係になるかもしれないな」


俺の言葉にスレンは口角が上がり、嬉しそうな顔になっていた。

だが、俺はニヤッと口端を吊り上げ不敵な笑みをうかべながら言った。


「けど、お前たちが成長してる間も、俺は成長し続けてるんだから。気を抜いていると一気に突き放すぞ」


スレンは一瞬目を丸くしポーカンとなるがスレンらしからぬ好戦的な笑みをうかべた。


「そうならないように、地面を這いずってでも追いかけるよ」


お互いにニッと笑うと一言二言交わしお互いに家に帰った。



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