第36話少年期[26]広く高く厚い壁

四人が話し始めてから約十分程が経ち、ようやく作戦が決まったようだ。

四人はまるでこれから戦場に行くような顔をしていた。


(さてと・・・ブラッソが思いっきり手加減するとは言っても、どれくらいもつだろうな。俺的には三分も戦い続ければ上出来だとは思うんだが・・・・・・まぁ、そこらをどうするかは、あいつらの腕次第だろうな。ブラッソは得意ってわけじゃないけど魔法を無詠唱で使えるし魔法が使えるリル、マーレル、スレンが有利ってわけでもないからな)


「ゼルート、こっちの準備は大丈夫だよ」


スレンはまだ若干緊張しているようだが、その眼には確かな闘志が宿っていた。

へ~~あのザ・優男のスレンが随分良い漢の顔をするな。これは期待できそうだな。


「す、スレンの言うとおりだぜ! ゼルート、こちっはい、いつでも行けるぞ!!!」


ゴーランはスレン以上に緊張しているのか、時々言葉をつっかえており、手も震えていた。

う~~~ん、まぁ、戦うことは出来そうだな。それに震えだって俺が緊張による震えだって、勘違いしているだけで本当は武者震いかもしれないしな。


リルやマーレルも気合十分って言ったところだな。


「ゼルート、ヨニンノジュンビガデキタヨウダナ。ソロソロハジメルカ」


「そうだな、よし。それじゃあ適当に位置についてくれ。そして俺の掛け声とともに試合開始だ。それでいいな」


ブラッソと四人の方を見ると頷き返した。


(よし、両方ともいい感じだな。おし、それじゃ・・・)


「試合・・・始め!!!!」


俺の合図とともにゴーランとスレンが飛び出し、己の武器でブラッソに斬りかかった。

そしてリルとマーレンの二人が後ろで魔法の詠唱を始めていた。


まぁ、セオリーといえばセオリーな戦い方だ。ま、それが通用するかどうかは別だけどな。


「うおおおおおぉぉぉらああああああああ!!!!!!」


「はあああああぁぁぁぁぁああああああああ!!!!!」


ゴーランはまだ未熟ながらも全身の力を加えたロングソードでの一撃を、スレンは全身をばねのように動かし鋭い突きをエストックから繰り出した。


そして二人の攻撃は確かにブラッソの体に当たった。そう当たったが・・・・・・


「フム、オモッテイタヨリ、ズットイイコウゲキダ」


ブラッソの体には傷一つ、いや痣一つ出来ていなかった。


「なっ、!!!!」


「そんなっ!!!」


二人はこの事実に少なからず衝撃を受けた。もちろん大きな傷を与えるのは無理だろうとは思っていた。だが、血の一滴二滴ぐらいは流せると思っていた。

実質二人の攻撃は中々の物だった。F、Eランクの魔物であったら大ダメージを、もしかしたらその一撃で仕留められたかもしれない。

だが、相手は筋力、防御力が高いオーガ。しかもオーガの中でも亜種と極めてステータスが高い相手だった。


「ダガ、ソレクライデハオレニキズツケルコトハデキンゾ!!!」


ブラッソが二人を軽く蹴り飛ばすと二人は十メートル程吹き飛ばされた。

幸い着地には成功したが攻撃が思っていたより重かったのか手がしびれている様だ。


だが、二人が吹き飛ばされると同時にリルがストーンバレットを、マーレルがファイヤーボールを放った。

この二人の攻撃も低ランクの魔物ならば即死させることが出来る威力ではあるが・・・・・・


「ナルホド。マホウノホウモナカナカノイリョクダナ」


直撃したのにもかかわらず傷一つついていなかった。

そしてブラッソはニヤッと笑うと小さくつぶやいた。


「ナラ、ツギハコチラノバントイコウカ」






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