第5話幼少期[3]道中の出来事

「ふふ、随分と退屈そうな顔をしているわねゼルート」


母さんの言葉に俺は少しむくれながら返した。


「仕方ないじゃん。外の景色はずっと一緒だし何もすることないからつまんないよ」


母さんたちが近くにいるから魔法の練習することも出来ないからな。


すると母さんが魅力的な提案を出してくれた。


「そうね・・・よし、なら王都に着いたら何かゼルートの欲しい物を買ってあげるわ」


「母さんそれ本当!?」


母さんの言葉に俺はちょっとテンションが上がった。

まだ五歳ということで剣の練習は木剣しか使わせてもらえない。

なので本物の剣が欲しいな~~と最近思っていた。


「ええ、本当よ。けど、あんまり高い物はダメよ」

「うん、わかったよ母さん」


ふふ、楽しみが出来たから少しは退屈を我慢できそうだな。

剣がどれだけするのかはいまいちわからないけど業物とかでなければ大丈夫なはずだ。


なんて俺が王都に着いてからの楽しみを考えていると馬を操っている執事のレントさんが父さんを呼んだ。


「旦那様っ、大変です!!!」


「どうしたんだラント、魔物か!!」


父さんの声にラントさんが直ぐに状況を伝えた。


「はい、ワーウルフが五体程です!!」


ラントさんの言葉を聞くと父さんは勢いよく荷台から飛び出した。


「よし、ゼルート、父さんの戦いぶりをしっかりと見てろよ!!!」


「はい!!!」


うん、いつもよりテンションが高いな。

あれかな、父親特有の息子に良いところ見せることが出来るからいつもより頑張るぞって感じなのかな?

母さんは父さんを若干あきれ顔で見ている。


「しっ!!!!」


父さんは長剣を右手に持ちながらワーウルフに向かって走り出した。

陸上選手なんて比べものにならないほどの速さだ。しみじみこの世界が異世界なんだなと感じるな。


父さんはまず向かってきた一匹を噛みつきを躱し首と胴体の境目をスパッと斬った。

そして二匹が同時に飛び掛かってくると長剣を横に振りぬいた。


すると長剣から風の刃が飛び出し二匹のワーウルフを横に真っ二つにした。

そして残りの二匹が父さんに敵わないと思ったのか逃げようとしたがそれを父さんは見逃さず俺が全く目で追えない速度で二匹に斬りかかり気づいたら二匹の首が地面に落ちていた。


「父さんすっごい!!!!」


戦いを見ていた俺は思わず大きな声を出してしまった。

いや、本当に凄かった。まだ魔物との戦いを見たことがなかった俺にとってはそれほどまでに凄い戦いだった。

最後の父さんの動きなんてまさに風の様だった。


肝心の父さんは俺に褒められニヤニヤしていた。


「そうだろうゼルート! まぁ、父さんの強さはワーウルフぐらいじゃ発揮できないけどな」


ニヤニヤ顔の父さんは本当はもっとすごいんだぞ、みたいなことを言っていた。

でも父さんが言っていることは本当だと思う。いつか忘れたけど父さんが冒険者のランクがAだと聞いたことがある。

それに魔物の図鑑にワーウルフは群れると多少強くなるが単体だとそれほど強くないと書かれてあった。


それにしても・・・本当に凄かった。

あ~~あ、速く時間が経たないかな。



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