最終話~ミドル19(2)~

 決意を固めた二人の元へ虚空から、京香とこの時代におけるプランナーが現れる。

 先に口を開いたのは京香だ。いつの間に調達したのか、彼女は制服から着替えていた。


京香:「二人ともお疲れ様。ごめんなさい、手伝えなくて」



影裏:制服から着替えて……ってこれ、いつものロリンナーの服装だよな。

春見:ちょっと前のマスターシーンの後に、わざわざ着替えたのかな……。



プランナー:「……ここに来るまでに、お互いが知ってる情報を交換してきたわ」

春見:「あ、お疲れ様、都築さん」


 二人に向け、労いの言葉をかける春見。


プランナー:「ありがとう。二人も、お疲れ様」

影裏:「二人とも、無事で何よりだ。しかし……」


 影裏の視線は京香に向けられた。


京香:「何かな」

影裏:「気のせい……じゃないよな。京香、何か雰囲気変わってないか」


 彼女は、にこり、と笑って答える。


京香:「それはきっと服を変えたせいだよ」


影裏:「……そうか。分かった」

春見:「うん。私も分かった」



 二人が何を理解したのか。それは今後の展開で明らかとなる。

 読者諸氏においては、ぜひ予想をしつつ楽しんでもらえたら、嬉しい限りだ。



影裏:「言うまでもないが、俺たちにできる事があれば……何だっていい、迷わず頼って来い」

京香:「──ありがとう。けれどこれは、これだけは、私たちでないとできない事だから」

影裏:「深くは訊かない。その代わり、俺たちは俺たちにできる事を全力でやる……それでいいな?」


 京香は頷く。それにプランナーは小さな溜息を吐くも、


プランナー:「私たち全員が、できる事を全力でやれば、きっと──ううん、必ず……勝てる。そうでしょう?」

影裏:「ああ。必ず勝つ」

春見:「…………うん、きっとそう。頑張ろう、都築さん」


 迷いなく、プランナーは頷く。京香もまた、それに続いた。


京香:「これから、春見ちゃんには時間を跳躍してもらう事になる。でも行先は元の時間じゃない」


「行くべきなのはもっと未来──奏 時貞が、本来いるべき時代だよ」


春見:「そこに跳んで……彼はそこにいるの?」

京香:「うん。彼は、必ずそこへ来る」


 それは確信に満ちた声音で。彼女に迷いが無い事が伝わってくるだろう。


影裏:「……いよいよ直接対決か」

春見:「次で全部終わるんだね」

プランナー:「違うわ、春見ちゃん」

春見:「え?」


 プランナーは、静かな決意を秘めて口にする。


「ここから始まるのよ。皆の、止まった時間が。……そう教えてくれたのは、春見ちゃんよね」


春見:「……ふふっ、そうだったね。うん、そう」


「彼を倒して、そして進もう。──私たちの時間を」


 彼女の言葉に、隣に寄り添う彼が答える。


影裏:「ああ。今更、気合いがどうこう言うつもりはない」


「やるべき事を、全力でやる。ただそれだけだ。行こう、決着を付けに」


 彼らはこれから、再び時を超える。

 奏 時貞が生まれた時代へ。及川が本来生きてきた時代へ。

 大切な人たちと共に笑える未来を、その手で掴み取るために──。

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