最終話~ミドル15(2)~

GM:それでは戦闘条件を公開しよう!


 エネミーは佐倉 厳蔵とゾォルケンの2体が1エンゲージに存在している。

 影裏と春見は1エンゲージに存在し、彼我の距離は12m。

 また、春見は視力が落ちた事により射程:視界のエフェクトは全て射程10m扱いとなる。


春見:つまり2mは近付かないといけないって事だね……。

GM:そういう事だ。


 戦闘終了条件は佐倉厳蔵のHPを一定値以下まで削る事。ゾォルケンの生死は問わない。

 また、先程のゾォルケンの登場は《Eロイス:さらなる絶望》扱いだ。

 そしてアンナのNPC効果を開示しよう。



アンナのNPC効果:クリンナップ時にダメージを負っている敵に15点のHPダメージを与える。


春見:さすがお姉ちゃん。有能。



GM:それでは戦闘開始!

 ラウンド1、セットアップ!

春見:セットアップで《アクセル》:セットアップ:<−>:自動成功:単体:視界:侵蝕1:結理君の行動値を+8!

ゾォルケン:《ワイルドグロース》《完全獣化》《進化の大爪》を宣言。更に「Dロイス:羅刹タイラント」の効果で更に攻撃力アップ。

 合計して攻撃力を+17!


影裏:やはりゾォルケンはキュマイラか。とすると──

春見:うん。カバーリングは可能性としてあるよね。

 でもこの攻撃力の上昇値は──

影裏:たぶんね。”そういう事”だろうさ。


GM:イニシアチブ、影裏 結理!

影裏:行くぜ! マイナーで戦闘移動。敵エンゲージに突っ込む。

 メジャーでコンボ:シャドウフレア:《コンセントレイト:ウロボロス》《原初の赤:災厄の炎》:メジャー:<RC>:対決:範囲(選択):至近:侵蝕7:攻撃力30

 対象は賭けだが……ゾォルケンは含まない! ご当主様だけに攻撃だ。

GM:──! 了解、判定どうぞ!

影裏:(ダイスころころ)達成値34だ。

厳蔵:回避に挑戦──達成値17。

影裏:ダメージは(ダイスころころ)44点!

厳蔵:装甲値で7点減少させ……37点のダメージ。

影裏:意外と回避の固定値も8あって、装甲値も7ある。

GM:ふふふ。歴戦の猛者とも言えるからね(なお寄る年波)



影裏:「まずは、抵抗力を奪わせてもらう……!」


 厳蔵に接近する影裏を、ゾォルケンは巨体に見合うパワーで邪魔をする。


影裏:「くっ、じゃれ合いじゃ済まんぞゾォルケン!」


 しかし影裏はそれを捌きつつ厳蔵に黒炎を叩きつけてみせた。


厳蔵:「ぬぅ、疾い……!」


 直撃を免れつつ一進一退する二人に触発されたかのように、


ゾォルケン:「────ッッ!」


 獣の咆哮が部屋に響く。



GM:イニシアチブ、佐倉 春見!

春見:マイナーで戦闘移動して2m前進! この距離なら、視える!

 メジャーでコンボ:蝶紋華パピリオ・マギカ:《コンセントレイト:バロール》《死神の瞳》《流血の胞子》:メジャー:<RC>:対決:単体:視界:侵食6:命中時、次回HPダメージ算出時にダメージダイス+7D、BS:邪毒を付与

 対象はお爺様!(ダイスころころ)達成値、34!


 厳蔵はドッジを試みるも、達成値が奮わず失敗。ダメージロールの増加と邪毒が付与されてしまう。



厳蔵:「不可思議な動きをしよる……今の一撃、遠巻きに撃てば良いものを」

春見:「……眼が限界を迎えているのです、お爺様。

 今の私は、ろくに眼が視えていないのです」


 厳蔵は一瞬、僅かに目を見開くもしたたかに嘲笑わらう。


厳蔵:「敵に己が弱点を教えるなど、舐められたものよな」

春見:「いかに歴戦のお爺様といえど、私はこの”眼”との付き合いが長い。この能力の扱いに関しては、私がお爺様よりも一歩上をいきます」


「これは、それを示す戦いです! 弱点を抱えようとも、お爺様を越えてみせます!」


厳蔵:「吼えるようになるものだ。やはりお主を、徹底的に鍛え上げるべきだったのだ。”眼”の囁き通りにな」


「邪魔言さえ入らねば、必ずやそうしたものを──!」


 アンナを睨むその目は、狂気に染まっているようにすら見えた。



GM:イニシアチブ、佐倉 厳蔵!

厳蔵:マイナーで《ダークマター》《過剰収縮》を宣言、判定ダイス-2個、攻撃力+20

 メジャーでコンボ:重牙律じゅうがりつ:《コンセントレイト:オルクス》《アニマルアタック》《覇皇幻魔眼》《黒の咆哮》:RC:対決:単体:視界:攻撃力59

 対象は春見、お前だ。達成値は(ダイスころころ)5だ。だが当たれば死ぞ。

春見:ドッジに挑戦!(ダイスころころ)達成値……18!



 厳蔵の背後にある"約束の瞳"から膨大なレネゲイドが厳蔵に流入し収縮される。


厳蔵:「避けてみせよ」


 凝縮されたエネルギー体を真っ直ぐ、しかし光にも似た速度で射出する。だが──


春見:「……避けるまでもありません」


 煌びやかに輝く魔眼から刻蝶こくちょうを生み出し、衝突させる。エネルギー体は余波すら発生せずに相殺された。


厳蔵:「クク、我が砲を消し飛ばすか」


 今度こそ目を見開き悦びに嗤う厳蔵を前に、春見は一歩踏み出す。まるで──


春見:「お姉ちゃんを悪く言わないでください。そのおかげで私は今こうして、この場に立っていられるのですから」


 ──睨まれた杏子を、庇うように。


アンナ:「──春見」


 ぽつりと呟かれた言葉の先は、無かった。



GM:イニシアチブ、ゾォルケン!

 マイナーで《破壊の爪》を宣言、攻撃力9の爪と牙を作る。

 そしてメジャーでコンボ:忠義の獣:《獣の力》:白兵:対決:単体:至近:攻撃力36

厳蔵:更に儂が《拡散する世界》を宣言する事で、対象:シーン(選択)、射程:視界と変更する。なに、20点程度のHP惜しくもない。



 攻撃態勢に入るゾォルケン──だが、その挙動に躊躇ためらいの色が見られる。

 家族として過ごした相手を前に、獣の本能以上の絆を感じているのだ。



GM:ここでオリジナルアイテム『忠犬の躊躇い』を使用、達成値に-5の修正がされる。

影裏:ゾォルケン……いい子じゃないか……。

春見:いい子だ……。ここはドッジに賭けてみようか。

影裏:うむ、賭けてみよう。


 二人は回避を宣言し、これに成功してみせた。



 獣は暴れ回る。まるで攻撃を行っているぞとアピールするかのように。

 壁に。床に。無数の爪痕を残してゆく。

 そして君たちの足元にもまた、おおきな傷跡を残したのだった。


春見:「ゾォルケン……」


 慈しみの表情で、彼の想いを受け取る。


影裏:「……ありがとよ。すぐに終わらせるからな、ゾォルケン」


 遠吠えを上げる獣──それは家族への、親愛の証かもしれなかった。



GM:クリンナップ!

 佐倉 厳蔵に春見から受けた邪毒によって15点。アンナのNPC効果で更に15点。

 合計30点のHPダメージだ!



 アンナは自らの手首を切り裂く。溢れ出た血は周囲を赤く染め上げ──小さな身体には大きすぎる程の鎌を創り出す。

 劇毒に喀血かっけつした厳蔵の視線が逸れた一瞬を見計らい、その背後へ回り一撃を見舞った。



GM:ラウンド2、セットアップ!

春見:《アクセル》:セットアップ:<−>:自動成功:単体:視界:侵蝕1:結理君の行動値を+8!


GM:イニシアチブ、影裏 結理!

影裏:決めに行こう。

 メジャーでコンボ:シャドウフレア:《コンセントレイト:ウロボロス》《原初の赤:災厄の炎》:メジャー:<RC>:対決:範囲(選択):至近:侵蝕7:攻撃力30

 対象はご当主様のみだ。

厳蔵:よかろう。来い!

影裏:達成値(ダイスころころ)78!

厳蔵:回避は……(ダイスころころ)ふん、失敗か。

影裏:ダメージロール!(ダイスころころ)

GM:これは……!



 なおも暴れ回るゾォルケン。そして同時に細かなエネルギー体が光速で飛来する。

 それを避けようと立ち回るうちに、次第に影裏と厳蔵の距離は離れていった。


影裏:「くそっ、間合いが遠い──!」

厳蔵:「影裏。貴様は慎重が過ぎるきらいがあったな。それが動きに如実に現れておる」


 エネルギー体を連続射出しながらも、それを隠れ蓑にレネゲイド凝縮が完了する。


厳蔵:「なればこそ。儂の知るお前ならば、この一撃を止める手段なぞない筈だ」


 射出されれば、間違いなく死ぬだろう。だが影裏は──


影裏:「……足元がお留守だぜ、ご当主様」


 厳蔵の知る昔の彼ではなかった。

 視線を落とした先には──厳蔵に重なるように伸びる、影。


厳蔵:「──ッ!」


 厳蔵がその意味に気付くと同時、足元に伸びた影からレネゲイドを喰らう黒炎が吹き上がる!

 黒炎が晴れたとき……そこにはレネゲイドを奪われ、戦闘能力を喪失した厳蔵が膝を付いていた。


厳蔵:「──人は、かくも成長するものか」


 影裏は静かに歩み寄り、見下ろして告げる。



「俺たちの勝ちです。……ご当主様」



厳蔵:「良い、成長を遂げてくれた……結理、春見」

影裏:「今の技はぶっつけ本番でしたけどね。けど、俺ならできると思って賭けた」


 その言葉に、穏やかな笑みを浮かべ。厳蔵は独りごちる。



「──雛鳥ひなどりというものは、いつの間にか巣立つのだったな」



 まるで、これまでを詫びるかのように、ゆっくりと、倒れ伏せた。




GM:ダメージロール104点、装甲軽減して97点ダメージ。

 一定値を84点オーバーして条件クリア……戦闘終了!

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