第一話〜エンディング2〜

GM:さて、それでは他にやりたいシーンのある人はいるかな?


 隣で目元を拭うえるみんを尻目に、私はPLたちに問いかけた。


影裏:うーん、悩みどころ(笑)

春見:何で悩んでるの?

影裏:描写は思いついてる! 問題はやるか、やらざるか!

春見:やっちゃいなよ・YOU☆

影裏:よし、やろう! そっちの方が厄い!


 そんなやり取りを経て、シーンが作られた。刮目してほしい。


GM:轟木に尋ね、力を開放しても比較的安全な場所を聞き出した影裏は、独り、夜中に佐倉家を抜け出した。


影裏:「…………」 無言で右手を見つめる。

 脳裏に蘇る、キングタイガーの心臓の鼓動、体温。

 それらが失われていく感覚。

 それは、”殺し”の感触。

「俺は……俺は……っ! ああ、あああ、ああああああああ────!!!」

 抑えきれない殺戮衝動が、黒い炎となって噴き上がる。

「殺した……俺が! この手で! 人を殺した──っ!」

「あああああ、ああああああああああああああああッ!!!」

 黒煙が周囲を飲み込み、熱し、溶岩の吹き溜まりへと変えていく。

 ──こんなやり方ではダメだ。

 このままでは、ジャーム化すら時間の問題だ。しかし次の瞬間──、

 ぞぶり。影が蠢く。

 影のアギトが足元から立ち上がり、影裏自身を飲み込む。

「っ──! はぁっ、はぁ……はっ、はっ……!

 飲み込まれ、再び現れた影裏は己を取り戻していた。

「……俺は……? また、影が……勝手に……。

 ……なんなんだよ……。

 なあ! なんなんだよ、コレは! この力は! こんな、こんな──!」


 答える者のない絶叫は、夜明けも近い空へと、ただ虚しく響き渡った──。

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