第一話〜ミドル5〜

 次はミドル5だ。シーンプレイヤーは引き続き春見。影裏の登場は任意だ。

 佐倉家での様子を再び描写していくよ。


春見:シーンイン! 侵食値9点上昇! くふっ(二度目)

影裏:出ておこう。シーンイン。侵食値4点上昇!


 これで影裏は68点、春見が78点となった。


影裏:10点差かぁ(白目)

春見:シカタナイネ(白目)


 春見と影裏の二人は、タクシーで佐倉家の屋敷前まで来た。回想シーンと同じような状況だが、今度は朝帰りまで追加されているね!



影裏:ああ、胃が痛むぜ(笑)

春見:朝チュン(笑)

GM:ということで、二人とも描写をお願いするよ。



春見:「……帰ってきたね」 隣の結理に向けて。

影裏:「……帰ってきたな。言い訳、どうすっかな……。

 よし、俺が春見を朝までカラオケに付き合わせた。これでいこう……って、ん?」

春見:「でも、それだと結理君が……あれ?」


GM:しかし、君たちはここで違和感を感じる。

 屋敷がやたらと静かなのだ。もちろん元々静かではあったが、今はいつにも増して、というところだ。

 昼間はたまに飼い犬が吠えることもあるが、今はそれすらない。


影裏:「……人の気配がないな。……なんだ? 嫌な予感がする」

春見:「……入ってみよう」

影裏:「……春見、俺の後ろに。離れるなよ」

春見:「う、うん……」


GM:屋敷の中へと足を踏み入れた二人。いつもなら誰かしらいるはずの居間にも、今は誰もいない。

とここで、背後から駆け寄ってくる音がする!


影裏:「っ!」 春見を庇いつつ振り返る!

春見:「っ!? 結理君!?」 驚きつつも、駆け寄ってきた姿を確認する。


GM:では振り返った影裏のお腹に、飼い犬のゾォルケン(ポメラニアン)が飛び込んでくる! わんわんお!

 というところで、知覚判定を行なってもらおう。


判定項目:違和感に気付け!

技能:知覚 目標値8


春見:8か……厳しいな。(ダイスころころ)

影裏:まあ、やるしかない。(ダイスころころ)


 結果、達成値は影裏が14、春見が8と二人とも成功した。


影裏:っしゃおらー!

春見:あっぶねぃ。


GM:それでは次のことに二人は気付けるだろう。

 ゾォルケンが飛び込んで来た影裏のお腹のあたりに、血が付いている。

 よく調べると、ゾォルケンの腹あたりにも血が付着している。

 しかし、ゾォルケン自身が怪我をしているわけではないようだ。


春見:Oh!?

影裏:ふぁっ!?


影裏:「これ、血の跡……!?」

春見:「ゾォルケン!? 血が……ううん、ゾォルケンの怪我じゃないみたい、だけど……」


影裏:これさ、廊下に血の足跡とか残ってないかな。それを辿っていきたい。

春見:そうだね。歩いてきた跡とかわかる? 血の跡とかで。




 正直考えてなかったけど、まあ普通この状況なら辿るよな! とはいえ足跡は”マズい”から……。




GM:血の足跡はありませんが、ゾォルケンが歩いたときにできた血の跡は分かりますね。どこからゾォルケンが来たのかは分かりそうです。

影裏:よし。それを辿っていこう。

 ざわつく心を押さえつけながら、血の跡の先へ向かうぜ。

春見:こちらも着いていく形で向かうよ。


GM:では二人は血の跡が、厳蔵の寝室と鍛錬の間の二箇所に繋がっていることが分かるね。


影裏:まずは家族の安否ではなかろうか。

春見:私も同意見。


GM:君たちは先に寝室へと向かった。襖の向こうには人の気配があるようだ。


影裏:「春見、絶対に俺より前に出るな。……開けるぞ?」

春見:「う……うん」


GM:襖を開けると、厳蔵がアンナに傷の手当てをしているところに遭遇するよ。


影裏:「え……ご当主様……アンナさん!?」

春見:「お、お爺様。アンナさん!?」 傷に驚いて駆け寄る。

厳蔵:「む、おお。お前たちか。ようやく帰って来おったか」

影裏:「これは、一体何が……!?」

アンナ:「少々不覚を取りました。……その……」

春見:「……その?」

影裏:「…………」

厳蔵:「何の事は無い、ただの暴漢じゃよ。な、アンナや」

アンナ:「…………はい」

春見:「……傷は、大丈夫なの?」

アンナ:「これくらい、大丈夫です。春見様」

影裏:「……それで、賊はその後、どうしたんです? 警察に連絡は?」

厳蔵:「賊は逃げた。警察に連絡もせんでよいわ」

影裏:「怪我人まで出ているのに……」

厳蔵:「……影裏よ。いつか言おうと思っておったが──。

 お主は効率を考え過ぎるきらいがある。物事はもっと柔軟に考えた方がよいぞ」

影裏:「っ……はい……」 痛いところを突かれて黙り込む。

厳蔵:「ふん……。ほれ、もっとシャキッとせんか。みっともない」

 そう言いつつも、影裏に初めて笑いかける。

影裏:「え……あ、はい……」

春見:「……アンナさん、お母様は無事?」

アンナ:「はい、透さんは寝室で休まれています」

春見:「そう……ありがとう。ゆっくり休んでください。

 お爺様。その暴漢については、このままにしておくのですか?」

厳蔵:「そうじゃ、春見よ。暴漢は捨て置く。これは当主としての命令じゃ」

春見:「……分かりました。」

影裏:「……はい。一応、屋敷を見て回ってきます。構いませんか?」

春見:「……結理君?」

厳蔵:「良いじゃろう。ただし、騒ぎは起こさんようにな」

影裏:「気を付けます。では、ここは失礼します。アンナさん、後で見舞いに来ますね」

アンナ:「ありがとうございます。……鍛錬の間は、少し散らかっています。気を付けてください、影裏さん」

影裏:「……お見通しですね。気を付けます」

春見:「……私も行く。いいよね? 結理君」

影裏:「ああ。行こう、春見」


GM:そうして二人は厳蔵の寝室を後にし、鍛錬の間へとやってきた。

 襖を開けると、いつもよりは薄いが、レネゲイドを感じ取れる。また、床一面に血が広がり、壁には巨大な爪痕がいくつも残されている。

 見ただけで分かるだろう。普通の暴漢ではない。ここで起きたのは明らかにオーヴァード同士の戦闘だ。


影裏:「この気配……レネゲイド……!? それに、この爪痕も……普通じゃない」

春見:「……酷い」


GM:ではここで、二人には判定を行なってもらおう。


判定項目:部屋から採取せよ!

技能:調達 目標値9


春見:何を採取するんだろう……?

影裏:おっと、苦手な社会か……春見、任せた……(がくり)

春見:お任せあれ! 判定いきます(ダイスころころ)


 その達成値、なんと20! クリティカルしやがった(笑)


影裏:っょぃ

春見:ドヤァ……。

影裏:ドヤ春見かわいい(笑)


GM:ではこの判定の結果。

 部屋のあちこちから、白くて細い毛が採取できた。動物のものと思われるが、毛の長さ等がゾォルケンとは一致しない。


春見:ふむ?

影裏:白くて細い毛ですか。

GM:うむ。毛質は柔らかいね。

春見:ううむ……これだけだと何かは分かんないね。

影裏:今こそ 知識:毛 の出番なのでは……!?(笑)

春見:(持って)ないです。

GM:メタ情報だけど、これは後のシナリオの伏線だから、今はあまり深く考えなくて大丈夫だよ。

影裏:ふむ。謎と疑惑が深まったな。

春見:だね。


GM:そうして部屋を探索していた二人は、いつもの場所に”眼”が置いてないことにも気付けるだろう。


影裏:一大事じゃねえか(笑)

春見:それ一番大事な情報!(笑)


春見:「これって……毛? それに……」

 奥の家宝が置いてあるであろう場所を見る。

「……ない」

影裏:「おいおい、どこいったんだよアレ。

 大切なモノのはずだろ? なのに警察を介入させないって……まさか」

春見:「……」

影裏:「……春見、これは内緒話なんだが。

 この家の人間……特にご当主とアンナさん。

 二人はレネゲイドのことを知ってる可能性があるんじゃないか……?」

春見:「……そうなのかも……ね。びっくりだけど」

影裏:「……どうする。俺たちのこと……話すか、隠すか」

春見:「バレててもおかしくないかも。

 事故の情報が出回ってるなら、私たちがこうして無傷でいるのは明らかに変だし。

 でも……どうしようか。難しいね」

影裏:「……いや、それならさっきツッコまれてもおかしくはない。

 ……くそっ、どこまで知ってるんだ、あの二人……」

春見:「分かんない。分かんないよ……。

 私たち……どうすればいいんだろう……」

影裏:「……今は、隠しておこう。

 俺たちのことを教えると、護人会のことも言わなきゃならなくなる。

 それは多分、あの人たちにとってはマイナスになるはずだ」

春見:「……うん……分かった」

影裏:「もう朝だけど、少しでも寝た方がいい。……部屋に戻ろう」

春見:「……うん」



GM:二人は頼る場所も、信じられる人も失いつつある。そんな中ただ一人、お互いだけが頼みの綱だった。



 ……マスタリング、めちゃくちゃ下手だな。このままだとPLたちまで迷ってしまう。

 もっと誘導を強くしなくては。GMはそう心に決め、次のシーンを作っていく。

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