第一話〜オープニング1〜

GM: お待たせ、オープニングシーンに移っていくぞ! シーンプレイヤーは影裏。春見も登場してほしい。だけど覚醒前だから登場侵食は上げなくていいよ。


影裏:わぁい!


GM: 場所はさきほど少女が見つめていたN市立高校。時間もマスターシーンと同時刻だ。

 君たちは昼休み、仲のいい4人組でお弁当を食べているね。


影裏:春見が作ってくれた弁当をもっさもっさ食べてます。

春見:「……結理君、どうかな? 美味しく出来てる?」

影裏:「ん、ああ。春見の飯はいつでも美味い。ありがとな」もっしゃもっしゃ。

春見:「……うん、どういたしまして」

京香:「結理君のお弁当、いつ見ても美味しそうだよね。さすが春見ちゃんって言うべきかな?」

春見:「ううん。私も最初は失敗ばかりだったから……。でも結理君は文句一つ言わずに食べてくれたんだ」

京香:「そうなんだ。ふふっ、なんか結理君らしいね」

影裏:「飯を残すと、あとで腹が減るからな。効率が悪い」照れ隠し。


GM: 3人が和気藹々と食べている中、桃矢は食が進んでいないようだ。


桃矢:「ああ。憂鬱だ……!」

春見:「……及川君、どうしたの?」

桃矢:「実はさっき職員室の前を通りがかった時、聞こえてしまったんだ」

影裏:「嫌な予感がするぞ、おい」

桃矢:「午後、抜き打ちテストをするらしい。しかも、その場で採点するらしいんだ」

春見:「……そうなんだ。何だか急な話だね……」

影裏:「生徒への嫌がらせとしか思えんな……」

京香:「テストかぁ。私苦手だなぁ……」

影裏:「あんなもん、教科書パラ読みして、そこそこの点数取ってりゃ文句も言われんさ」

桃矢:「結理は気楽でいいなぁ。僕は……。ああ、僕の沈みきった気持ちをなんとかしてくれぇ!」

京香:「うーん」顎に軽く手を添え、考え事をしている。

影裏:「ごちそうさまでした。お前は成績優秀だろう。なにをそんなに嘆くことがある」

春見:「はい、お粗末さまでした。……学年順位、じゃないかな?

 及川君ほど勉強できると、順位の維持も大変だろうし」

桃矢:「それもあるし、僕の家は研究職の家系でね。テストの点数が悪いと立つ瀬がないんだ」

影裏:「ああ、そういう。それは難儀な……」


GM: そう言って桃矢は、いつも以上に不恰好な弁当を一口つまむ。それは不恰好というより、むしろ乱雑に詰め込んだだけのようにも見える。ここ二週間ほど、彼の弁当はそんな感じだね。それ以前はもう少し見栄えのあるものだったはずだ。


影裏:ふむ? 「桃矢、今朝は忙しかったのか?」

春見:「及川君。そのお弁当は自分の手作り?

 最近、いつもとちょっと違うな……て感じがする」

桃矢:「む? ああ、恥ずかしい。実はそうなんだ。最近両親が研究室に籠もりっぱなしでね。

 あいにくと、僕は料理ができなくってね。どうしてもこんな見た目になってしまうんだ」

影裏:「お前も苦労してるんだな……。自分で料理してるだけでも凄いと思うが」

京香:「あ。閃いた!」


GM: それまで黙って何かを考えていた京香が声を上げる。


春見:「どうしたの? 都築さん」

影裏:「どした、突然」

京香:「あのさ、今日抜き打ちテストなんでしょ? だったら楽しい予定を増やせばいいんだよ!

 というわけで、カラオケいかない? 皆で!」

桃矢:「おお! カラオケ!」

春見:「カラオケ……。うん、いいんじゃないかな? 結理君はどう?」

影裏:「カラオケか。……まあ、別に構わんぞ、俺は」

京香:「じゃあ決まりだね! ふふ、楽しみだなぁ」

桃矢:「ああ。僕も楽しみだ! 俄然力が湧いてきたとも!」

影裏:「まずはテストが待ってるけどな。たまには遊びも悪くない、か」

春見:「うん、リフレッシュできそうでよかったね、及川君」

桃矢:「ああ! ご馳走様でした!」手を合わせながら。


GM: 先ほどまでほとんど手がついていなかった桃矢の弁当は、ほんの1分かからずに空となっていたのだった。


影裏:「現金な奴め。……そうだ、桃矢。抜き打ちテストの範囲なんかは聞こえなかったのか?」

桃矢:「ああ、危うく聞こえそうになったとも。

 でも聞いてしまったらズルだからね。耳を塞いださ!」

影裏:「なんだ、聞かなかったのか。範囲が分かってれば楽だったんだがなぁ」(苦笑)

 とか言いつつも、桃矢のフェアプレイの精神は認めてる感じ。

春見:「もう、結理君? それじゃあ抜き打ちの意味なくなっちゃうでしょ?」

京香:「そうだよ。ここは桃矢くんよくやった! って言うところだよ?」

影裏:「へいへい、ズルは良くないですねっと

 まあ、よくやった、桃矢」


GM:というところで、昼休み終了の鐘が鳴るね。

 次のシーンでは午後のテストをするよ!


影裏:わーい(白目)

春見:わぁい……。




 この時のGMはまだ知らない。そのテストに致命的な欠陥があることを。

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