第三章 徐々に『覇者』となっていく若き皇帝
第1話 寝取り・寝取られ
『百年、二百年生きてると、たまに見かけますよ。彼みたいに恐怖心とか、共感性とか、人として大切なモノを母親の胎の中に忘れて生まれる子供が。あれは一種の病気、障害みたいなモノです。見た目は普通の人間に見えますが、大切なモノを欠いて生まれるという点では、手足を欠損して生まれた人間と同じなんです。しかし……まあ、どういうわけか分かりませんけどね、あの手の人間は想像も絶する狂気的な罪を犯す一方で、大英雄や大商人になったり、するんですよね。そして、何故か人に好かれる。だからこそ、怖いんですけどね』
エルキュール帝について
―ミレニア・ペテロ―
「うーん、ルナリエ、あまり紅茶を入れるのが上手くないな?」
「……初めてだし」
「まあ、上達してくれるならば文句はないがね」
エルキュールは優雅に紅茶を飲みながら、スコーンを齧る。
ティータイム中だ。
ちなみに……
エルキュールは緑茶よりも、紅茶の方が好きだ。
「しかし……」
エルキュールはじろじろと、ルナリエを爪先から頭の先まで舐めるように見る。
エルキュールの嫌らしい視線を感じ、大きく開いた胸元をルナリエはお盆で隠す。
「隠すな。お盆をテーブルに置いて、手を後ろに組め」
「……はい」
エルキュールの命令を聞き、ルナリエはしぶしぶ手を後ろに組む。
ルナリエは顔を赤らめた。
現在、ルナリエが着ているのはティトスがデザインしたメイド服である。
胸の大きいルナリエに似合うように、胸元を強調し、そして谷間が見えるデザインになっている。
ルナリエの青い髪と、紫の瞳に合わせて、生地は白を基調としながらも各所に青と紫の染料が用いられている。
スカートは限界まで上げられていて、少し歩くだけでスカートの中からパンツが覗いてしまう程だ。
エルキュールはニヤニヤと笑いながら、スコーンを食べようとして……
全部食べ切ってしまったことに気付く。
まだ、紅茶は残っている。
さて、どうしたものか……
と、考えてエルキュールは気持ちの悪い笑みを浮かべる。
ルナリエの背筋に冷たいものが走る。
「スカートをたくし上げろ」
「え?」
「だから、スカートを上げろと言っているんだ。分からないか?」
ルナリエは顔を真っ赤にした。
怒りと屈辱で顔を歪める。
「……下女の恰好をさせられるのは我慢できる。でも、これ以上は……」
ルナリエは仮にも、ハヤスタン王国の王女である。
小国とはいえ、姫君。
召使と同じ服を着せられるだけでも屈辱的なのに、これ以上自分に恥じをかかせるのか。
と、ルナリエは暗に抗議する。
が、暴君にそれは通用しない。
「あー、なんかハヤスタン王国が急に嫌いになってきたなあー」
「っく~!!」
ルナリエは顔を真っ赤にさせ、プルプル震えながらゆっくりとスカートをたくし上げる。
ガーターベルトと、青色の下着が姿を現した。
太腿を汗が伝う。
「絹製、青か。それに透けてるな。随分とエロいのを着てるじゃないか?」
「こ、これはあなたが!!」
「さて、何のことやら……」
ルナリエはレムリアに来る時に、ちゃんと自分の下着を持ってきた。
しかし、朝起きて着ようとクローゼットを開けてみたら……下着の中身が全て入れ替わっていたのである。
こんなことをするのは、エルキュール以外いない。
「も、もう……良いでしょ?」
「ダメだ」
そう言って、エルキュールは近くにあった羽ペンを持つ。
そして羽ペンの羽の部分で、
《以下、あまりにも過激なシーンのため18禁基準に引っかかりそうなので自主規制致しました。どうしても読みたいという方はわっふるわっふると感想欄に御書込みください。作者の気分次第でノクターンノベルズに投稿する(かもしれない)》
と、エルキュールが羽を動かそうとした時だった。
ドアが何者かに叩かれる。
エルキュールは羽を止める。
「誰だ?」
「トドリスでございます!! 至急、お耳に入れたいことが!!」
「今、俺は嵌められた恨みを発散するために、ルナリエ虐めに忙しいんだが、それよりも大切なことか?」
「ルナリエ様もそこに? ……ハヤスタン王国についてです。ええ、少なくとも現状においては陛下とルナリエ様の
エルキュールは溜息をついた。
そしてルナリエに命じる。
「そのメイド服を脱いで、服を着直せ」
「分かった」
ルナリエはいそいそと、着替えを始める。
エルキュールに見られるのは恥ずかしいが、今更であろう。
「ところで、ルナリエ」
「何?」
「何か、残念そうな顔をしているが……どうした?」
エルキュールはニヤッと笑って聞き、ルナリエは茹蛸のように顔を真っ赤に染めた。
「違う!!」
「全く……途中で降伏するならば、最初からやらねば良いモノを……無駄な手間を掛けさせやがって……」
ハヤスタン王国で親ファールス貴族の武力蜂起が発生した。
という報告を受けて、エルキュールは歩兵一個軍団と騎兵三個大隊、弓兵三個大隊を率いて鎮圧に向かった。
……が、しかし名将エルキュールが大軍を率いて、鎮圧しに来る。
という情報が反乱軍に流れたことで、反乱軍に雇われていた傭兵たちが蜘蛛の子を散らすように、三分の一が逃げ出した。
そしてさらに三分の一が、レムリア軍と向かい合った段階で尻尾を巻いて逃げ出した。
エルキュールは残りの三分の一を包囲殲滅しようとしたが、騎兵で両翼を包み込んだ段階で彼らが降伏してしまい……
結果、レムリア軍も反乱軍も殆ど死者無しで戦争が終わってしまったのであった。
皆殺しにしてやろう、という気持ちでやってきたエルキュールとしては何とも不完全燃焼であった。
現在は降伏させた兵士の武装を解除して縄で縛り、逃亡した反乱首謀者の捕縛をしているところであった。
「あの……処罰は穏便に……」
「できると思うか?」
「……」
ルナリエの嘆願をエルキュールは切り伏せる。
許せるものと、許せないものがある。
これは許せないものだ。
「今後、統治の禍根を残すわけにはいかない。親ファールス派は徹底的に粛清する」
「……そう」
ルナリエは溜息をついた。
ルナリエにとって大切なのは、ハヤスタン王国であってハヤスタン王国の貴族ではない。
助けられるのであれば助けたいが、しかし……
できないのであれば、諦めるしかないだろう。
そもそも情勢も読めず、自分の足を引っ張る人間を無理して助ける気は湧かなかった。
「しかしこのタイミングで反乱を起こすとはね。……まあ、確かにまだ俺とルナリエが結婚していない今しかチャンスがない、というのは理解できるが」
エルキュールとルナリエが結婚してしまえば、もはやハヤスタン王国のレムリアの属国化は避けられない。
しかしまだ婚約段階の今ならば、ギリギリ間に合わないこともない、かもしれない。
「皇帝陛下、反乱の首謀者を捕らえました」
「そうか、よくやった」
オスカルの報告を聞き、エルキュールは大きく頷く。
そしてルナリエの手を握った。
「一先ず、動機について聞いてみないとな」
「うん……」
エルキュールの前に三人の男が後ろ手を縛られて連れてこられた。
一人は若い
ハヤスタン王国の貴族について、さっぱり分からないエルキュールはルナリエに尋ねる。
「こいつらはどんな人間だ?」
「ハヤスタン王国で五本の指に入る有力貴族。名前は……」
「いや、名前はどうでも良いよ」
どうせ、これから殺す人間の名前を聞いても仕方がないだろう。
エルキュールはそう考え、三人に尋ねた。
「おい、動機について一応聞くだけ聞いておいてやる。言ってみろ」
すると三人は口を揃えて言った。
「「「ルナリエ姫をお助けするためだ!!」」」
「だそうだ、ルナリエ、お前人気者だな」
「……別に助けてって頼んでないし」
ルナリエは複雑そうな表情を浮かべる。
気持ちは受け取っておくけど……別に嬉しくない、どころか迷惑。
と、顔に書いてある。
が、三人はさほど気にしてないようであった。
若い
「貴様のような、残忍な男のところにルナリエ様を行かせたりはしない!! 我々がルナリエ様を守るのだ!!」
「別に守って、って頼んでないし……」
「だそうだぞ、ありがた迷惑というやつだな」
ルナリエとエルキュールは思わず口に出してしまう、
すると、若い
「貴様がハヤスタン王国を人質に、ルナリエ様を脅しているのだろう!! そしてルナリエ様を虐め、辱め……俺は騙されないぞ!! ルナリエ様!! 俺があなたをお助けします!!」
「「……」」
二人は思わず、顔を見合わせた。
二人の心境としては……
((まあ、強ち間違ってはいないけど、かといって合ってもいないような……))
というところである。
エルキュールがハヤスタン王国をダシにして脅し、ルナリエを虐めて辱めている……
というのは確かに事実であろう。
が、しかしあれは半分冗談みたいなものである。
エルキュールという男は現実的な為政者である。
ルナリエがショーツを見せようが、逆らって見せなかろうが、別にハヤスタン王国の待遇を変えたりするようなことは基本的に無い。
そしてルナリエもそのことはよく分かっている。
利己主義的なエルキュールと、自己犠牲的なルナリエは性格が違うが……
しかし合理主義者であり、現実主義者であるという点では一致している。
ある意味、相性は良く、まだ知り合って日が浅いながらも互いのことをよく分かっていた。
……そこがカロリナがルナリエに強い嫉妬を抱いている点なのだが、その話はまた後で良いだろう。
「どうして俺がルナリエを脅していると、分かるのかね」
「そもそもルナリエ様は会ってすぐの男に夜這いをするような女性じゃない!! 貴様が辱めたのだろう!! 俺は分かるぞ!!」
(何で俺被害者なのに、こんなに加害者扱いされてるんだ? いい加減、可哀想だろ)
(仮にそれが事実だとすると、傷心の女性の目の前で言うのはどうなんだろうか……)
エルキュールとルナリエは顔を見合わせた。
何言ってるんだ、こいつ。
という点で二人の意思は一致している。
「君はルナリエのことをよく分かっていると? 婚約者である俺以上に?」
と、エルキュールが尋ねると……
「当たり前だ!! 俺はルナリエ様の幼馴染だぞ!!」
ピクリ、とエルキュールの眉が跳ね上がる。
自然と、口角がゆっくりと持ち上がっていく。
面白いことになってきた。
「へえ、ルナリエ。お前、こいつの幼馴染なのか?」
「……まあ、一応。馴染んではなかったけど」
何となく、こいつ面倒なことを企んでいるな……
と察したルナリエは、顔を顰めながら答えた。
エルキュールは満足そうに頷き……
「それだけの関係か?」
「それだけ?」
「昔、将来を誓い合ったとか」
「そんなことはない。……触れ合いは手を握った程度」
抱きしめ合ったこともないし、接吻もしていない。
全部、あなたが初めてだから安心して欲しい。
というニュアンスを込めてルナリエが答えると……なぜかエルキュールは残念そうな顔を浮かべる。
ルナリエは理解ができず、首を傾げる。
「他に何か、無いの?」
「……まあ、一応王配候補ではあった……かな?」
するとエルキュールは嬉しそうにニヤッと笑う。
ゾクリ、と悪寒がルナリエの背筋に走る。
良からぬことを考えているのは間違いなかった。
そしてエルキュールは若い
「もしかして……君はルナリエ姫のことが好きだったのかな?」
「な! そ、そんなことはない!! 俺はあくまで、忠義の上で……」
若い
もはや、その顔と反応を見れば答えは簡単に分かった。
こいつは、ルナリエの事が好きだったんだ。
エルキュールは晴れ晴れと、とても優しそうな表情を浮かべた。
そして若い
「君の気持ちはよく分かった。なるほど、暴君から思い人を救うために反乱を……うん、良い話じゃないか。安心したまえ、俺は確かに性格は悪いが……君の気持ちは理解した。だから……死ぬ前の君に一つ、プレゼントをしよう」
そしてエルキュールは一言、命じる。
「よーく、見ておけよ?」
そしてエルキュールはルナリエに向き直り……
「え? 何? ん!! ちょっと、ん、ぁん~!!!」
ルナリエの唇を強引に奪った。
手を背中に回し、抱き寄せ、ラピスラズリ色の髪を掴み、拘束して強引にルナリエの唇を蹂躙する。
舌を口内に侵入させ、ルナリエの感じやすい、弱点を徹底的に攻撃し、そして同時にルナリエの舌を唾液と一緒に吸い上げる。
「ん、ちゅ、んぁ、ふぅんぁ……」
「ちゅ、んふぅ、じゅる、んくぅ、ちゅ……」
当初は抵抗していたルナリエも、少しずつ抵抗を弱め……
そして自らエルキュールの口の中に舌を積極的に入れる。
かれこれ三分ほど、二人は深い接吻をする。
そしてエルキュールはようやく唇を離す。
二人の間に唾液の橋が架かる。
ルナリエは目をトロンとさせ、全体重をエルキュールに預ける。
全身に力が入らず、脱力し、目の焦点は合っていない。
そんなルナリエの顔を、少し強引に若い
そしてエルキュールはルナリエの耳を軽く噛むと……
「んぁ、耳は……ダメ……」
「じゃあここは?」
「首は……んぁ、らめぇだから……」
エルキュールは若い
ニヤリ、と笑みを向けて言った。
「悪いな、
そしてエルキュールは呆然とした顔の若い
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