白金も金も玉も何せむに


シンカとカヤテの挙式の日、シンカは黒の燕尾服を着込み結晶堂内の霊殿前に佇んでいた。


結晶堂はケルレスカンが背負う白山脈の一端の崖が結晶化した堂の事を指す。

色取り取りの水晶や透明度の高い鉱石が全方位を覆い尽くしている。


多角的なそれらが正午の光を反射して方々に眩い輝きを放っていた。


しかし参列者が着込む黒い服も、シンカの燕尾服も光を吸い込み存在を大人しくさせていた。


そして輝く洞をミトリアーレに手を引かれカヤテは現れた。

その役目は本当は母がするものだった。しかしカヤテの母は彼女が物心付く前に病没している。

カヤテは先導を愛するミトリアーレに頼んだのだ。


黒の正装に身を包んだミトリアーレに手を引かれたカヤテは光を浴びて輝いていた。


白銀の衣装だった。丈は長く、足にまとわりつくように萎み、尾鰭のように足元だけ膨らむ下半身に、胴回りも身体に張り付き、卑猥にならぬ程度に胸元がくり抜かれている。


むき出しの腕や胸元には白金茸の銀胞子が叩かれきらきらと光を反射している。


その中で漆黒の頭部で結われた髪と鮮やかな紅が刺された唇が際立っている。

シンカは見惚れて動けなくなった。

カヤテはまさに赫いていた。


この様な場で漸くシンカは赫兵という名が腑に落ちたのだった。

ぽかんと口を開けたシンカを見て目を伏せて憂いを帯びた長い睫毛を見せていたカヤテが悪戯っぽく笑った。


シンカの側までカヤテは寄った。

彼女の髪にまで銀胞子は叩かれている。

夜空に輝く星に見える。


参列したシンカの親族も、カヤテの親族からも感嘆の声が上がっていた。

カヤテの手を引いたミトリアーレが近寄り口を開く。


「私達が守れなかったカヤテを貴方は救って下さいました。貴方以外に託せる人はおりません。カヤテをお願いします。」


シンカは無言で頷き手を取り、祭壇の前まで歩いた。


風信子鉱ヒヤシンスこうの輝く祭壇には頭程の大きさの一分の歪みもない黒い球体が置かれている。


黒曜石の球だ。


長い間人に撫でられ続けて丸く角が取れ、鈍く光を反射する球に2人で手を乗せた。


「・・・御霊よ、我等の願いを聞き届け給へ。その美しい珠の様に2人角を取り、その在り続けた時の様に長く2人過ごす事を望むもの也。」


「かっ、形在る物何も朽ちれど、我等の絆は死しても解れ途切れん事を願うもの也。我等の行く末が願わくば緩やかであらん事を願うと共に、えー、2人揃いて歩かずんば挫けし道も並び行ける様願うもの也。噛んだっ!あっ」


カヤテの顔が赤茄子や秋の林檎のように赤らんだ。

皆が笑っている。カヤテは人に好かれる女だ。馬鹿にした笑いではない。皆微笑ましく思っている。


祝詞を唱え終わると2人は向き合った。

カヤテの失言で些か張り詰めていた空気が弛緩しリンブが前列で口を蛸のように尖らせて次の接吻を冷やかした。


シンカは弟を睨みつつカヤテの両肩に手を置いた。


光輝く結晶堂で家族が見守る中2人は唇を合わせた。

初めて出会ってから4年の歳月が経っていた。




薄黄色の岩石で作られたクサビナ第二の都市ファフニーラ。

ファフニーラの下町の更に下卑た繁華街。

怪しげな娼館の最上階に数人の男が集っていた。


1人目、上座に座るのは外見的特徴の一切を隠した男。


2人目は若く精悍な色素の薄いアガド人。ファブニル一族のウラジロ・ファブニル。


3人目は槍を携えた魍魎素材の鎧を纏ったシメーリア人とネラノ人の混血の中年。青嵐のアシャ。


4人目は好々爺然とした小さな体躯のアガド人の老人。ウルド・ラドレック。


「始まりますね。我等一族は然るべき手続きの後軍を挙げます。夏の半ば、秋中月になるでしょう。」


ウラジロが告げる。


「俺の雨月旅団は夏下月にヘンレクを出てその頃ファフニーラ近郊で合流する。赤髪のウラジロと轡を並べられる事を楽しみにしていた。」


アシャがウラジロを見ながら好戦的に笑い告げた。


「グレンデルも中々やる。まさかリュギルをあのような手で動かそうとは。クサビナ宰相フランクラもほぞを噛んでいる頃だろう。」


宗主がくぐもった声で話す。


「グレンデルの者のにその様に知恵の回る者は・・はて。思い当たらんな。」


50年以上の間王剣流徳位を名乗り続けるウルド・ラドレック。

クサビナ貴族ラドレック家の先先代当主の兄でもある。


「グリューネの英雄オスカル・ガレの手腕だろう。同行もしていた様だ。」


宗主の声音には感情が感じられなかった。

怒りも焦りも何も無い。


「宗主様。他の面々は?」


アシャが尋ねる。


「ラングは天海山の里だ。あれも既に多くの同胞を失っている。体制を立て直している。名代として土長のイルカイがバラドゥーラで山渡りを率いて近隣の諜報活動を行なっている。」


「山渡りが何故?」


宗主にウラジロが尋ねる。


「詳細は聞いていない。・・・ロクアは遺体がスライ近郊の森で発見された。ヤニスもエシナで何者かに護岸騎士団諸共惨殺された。」


「エルキド閣下とツネル閣下は如何ですかのぉ?」


「メルソリアがきな臭い動きをしている。王女ダーラが長らく公的な場に姿を現していない。エルキドはメルソリアに備えている。ツネルもコブシからそうは離れられんだろう。」


「皆揃っては難しいみたいですね。それにしてもロクアの様にしぶとい男が。魍魎ですか?」


ウラジロは赤毛の長髪を総髪に纏めながら宗主に問うた。


「山渡りの報告では頸部を鋭い刃物で切断された形跡が見られたそうだ。」


「ヤニスは如何ですか?あれ自体は飛び抜けて腕が立つわけでは無いが、多くの猛者を従えていた。」


次にアシャが護岸のヤニスについて尋ねた。


「その猛者共々惨殺されていた。護岸のヤニス、陰剣のクチェ、雲狼ケルゴ、三面のオシェ。他にもラクサスのクロード将軍、ヘルガー、ウゴ、ニコラ、ギョーム、キリアン。並居る猛者が霊殿で戦闘の果てに一同に殺害されていた。」


「何と!?」


一同驚愕の表情を浮かべた。


「護岸騎士団は求心力を失い瓦解した。」


当然の成り行きと言えるだろう。


「何処ぞに・・我等の望みを潰さんと蠢く者が居るという事か。」


アシャは憎々しげに強く槍を握り締めた。


「何を情けない事言っとる。思い通りに進む企み程詰まらんもんは無いぞ!」


ウルドはかっかと陽気に笑ったが、その実彼の思想は享楽的の一言に尽きる。


武人たちがよく持つ剣や槍にかけた矜持やそれに基づく生死観念とは異なる別の価値観を持っていた。


ウルドは楽しそうだから戦に参じ、楽しそうだから宗主の元企てに興じている。


そんなウルドの皺にまみれた笑顔を見てアシャは顔を歪めた。


青嵐のアシャは齢41となるルーザースの傭兵団雨月旅団の団長である。


アシャは己の腕を頼りに仲間を集め、次第に傭兵団として成立する規模へと集団を膨らませ、そしてオスラクとリュギルの戦で活躍し、取り立てられる事となった。団員は加速して増え、今や1万に届く。


アシャは更なる栄達を求めていた。


爵位と土地である。


宗主の計画に乗りファブニルと共にグレンデルとそれに参ずる貴族を破り、その土地を得る。

その為に人を集めルーザース内での信頼を高めて来た。


アシャは忘れない。己が幼かった頃を。

オスラクの寒村に生まれたアシャは日々の食べ物すら得られぬ困窮に苦しんでいた。


罔害と領主の搾取に怯える幼少期を過ごした。

決め手となったのは好意を抱いていた少女が官吏の目に留まり、領主に召し上げられた事だった。


少女は2ヶ月後に襤褸雑巾の様に村の門の前に打ち捨てられていた。

尊厳を踏み躙られた無残な遺体だった。

それでも村の者は何も言えないのだ。


アシャは彼らと己の違いを考えた。

彼等は貴族に生まれ、自分達は何も持たぬ下民に生まれた。それだけの違いだった。

貴族になれば誰にも虐げられずに生きられる。


アシャはそんな望みを持ち、腕を磨いた。

ある晩、村はだった一体の鬼に潰されてアシャは家族を失った。


それを期に諸国を渡り歩き、傭兵団に入り腕を上げて独立した。


宗主と出会ったのは30歳をいくつか過ぎ、部下が千を超えた頃だった。

当時から顔を隠した怪しげな男だった。

宗主はある晩酒を飲んでいたアシャの隣に掛けて望みを聞かれた。


酒に酔っていたのもあるが、何故かぺらぺらと己の望みを話していた。

男は似た目的を持つ者を集めて地位や領土を得るべく企みを行なっていると告げた。それまでに兵力を増強しろと。


アシャは言われた通りの努力を行った。

企みは4年前より本格的に動き始めた。

様々な立場の者を巻き込みグレンデル一族を貶める為の策が走り、到頭この最終局面へと辿り着いた。


数多の失敗に予想外の事態が起こった。


ミトリアーレを取り逃がしたこと。ベルガナがスライを落としラクサスへ軍を向けている事、ラクサス王城の陥落。リュギルとガルクルトの険悪化。エリンドゥイルの王家への不信。


様々な計画外の悪影響があった。

それでも引き返すことはできない。

例え計画の成功率が7割まで落ちても、同士が打たれても。


何よりも無残に死んだ両親や少女の為に。




カヤテとの挙式が終わり一同は大宴会を開催していた。シンカはしつこく稽古をせがむダフネをあしらいながら飲み食いする参列者の卓を巡り、酒を注いでは注がれて飲んでを繰り返していた。


グレンデル一族は力ある者を尊ぶ。

リン家には力ない者は1人もいない為両家は直ぐに打ち解け何人かはちょっとそこまで、と剣を持って出て行く始末だ。


ナウラがカネラに酒を注ぎまくった所為でカネラが泣き始めている。

父と娘でそんな物が遺伝するか、とシンカは妙に感心していた。


「・・・っ、ふ、ぐ・・・うぅっ、自分の背丈と同じ長さの木剣を振っていた、カヤテがっ!」


「何歳の話だ兄さん。」


ガリアが呆れつつナウラが並々と注いだカネラの杯と水の杯を入れ替えた。


「5歳だっ!」


堂々と叫ぶカネラは今日はもう駄目だろう。


「ガリアさん?此方をどうぞ。」


さらに呆れるガリアの隣にシャラが掛けた。

ガリアも時間の問題だろう。

隣の白銀の衣装を着ていたカヤテは楽しそうに親族達を見ていた。


「・・こんな日が来るなど、考えた事もなかった・・」


ぽそりとそんなことを呟いた。

カヤテにとって今はどんな気持ちなのか、シンカは想いを馳せる。


ずっとミトリアーレの隣に立ち力になり続けると考えていたはずだ。

その望みは閉ざされた。だが今、その危機に駆け付ける事が出来る場所までカヤテは戻ってきた。

その上で伴侶も得て、それを一族に祝って貰えている。


嬉しいのだろうか?きっとそうだという確信はある。


自分の為に親族や友人が祝ってくれる事は嬉しさもさる事ながら自分達の為に遠出してもらう事に申し訳無さすら覚えた。


しかし逆に考えてみれば、自分が逆の立場なら西南端のマルカだろうが、砂漠の向こうのグリューネだろうが、弟妹の為なら何処へでも赴くだろう。


一同は夜更けまで飲み食いを続けカヤテとの結婚式は幕を閉じた。

帰り、近々グレンデーラでも会合を約束してケルレスカンからグレンデル一族を送り出した。カネラの腰にははちゃっかりシンカが送った曲剣が佩かれていた。気に入ったらしい。




式の2日後、シンカと5人の伴侶は再び大山鷹の籠に乗って飛び立った。


左右の搭乗者はシンカとヴィダード、リンファ。残りが反対という組み合わせだ。

空ではヴィダードが怯えて仕方がないのでその様な配員となっている。


次には到頭エンディラに向かう。エンディラは正しく東の果てと言える。

グレンデーラからの直線距離はグリューネのイラ迄とさして変わりは無いだろうが、立ち塞がる白山脈、峻厳な青金山脈を迂回するともなれば森渡りの足でも1年を要するだろう。


一般人であれば2年はかかる。無事に進む事が出来ればの話だが。


シンカ達を乗せた巨大な鷹は圧倒的な速さで東へ向けて羽ばたいて行った。

4日目にはイブル川に匹敵する流域を持つアルアウラーダ川を越えた。


アルアウラーダとは葉脈という意味があるが、精霊の民が流域を葉の脈に見立て名付けたのだろう。確かに網状脈に見える。


大きな流れが合わさる中洲には規模の大きな村がぽつりとひとつだけ存在している。

反対の籠に向けて手信号を出す。


北のあの村がダゴタの里だ、と。

因みにダゴタの手信号は額の角を扱く様子で表現した。


5日目には右手、南の方角の青金山脈の剣山のような鋭い峰々を見つつ裾野の一つを飛び越えた。

険しく植物の生えない山だが、この山の下にはジャバールの民が住んでいる。


山の内を掘り返して下へ下へと掘り進み、掘り出した鉛を食べて生活している。

彼らは陽の光を疎い地上へは滅多に姿を現さない。


6日目の昼前にヴィダードが騒ぎ出した。上空からでは伺えないが、左手北方向には イーヴァルンの里がある。


「あなた様ぁ!見てぇ!あの泉!葡萄の房という泉なの!」


ヴィダードが指差した方向には陽光を反射する清らかな泉が小さく見えた。

確かに葡萄の房ような形をしている。


「イーヴァルンの女は彼処で水浴びするの!」


嬉しそうにヴィダードは指をさした。

7日目には南にエラム太湖からメルセテに流れる大河よりも長いアスル川が見えた。


アスルは根っこという意味で、山から眺めた川の全流域が引き抜いた草の根っこの様に見えるという説や大陸東の中央に広がり精霊の民の生活を根の様に支えているからという説がある。


流域には多くの精霊の民の村落が存在しているが、今は青金山脈に隠されてミンダナ、パンタヤ、シアルガの鱗族の里が小さく見えるだけだ。


8日目の夕刻、到頭エンディラの里があるカタフ高地目前に漸く到着した。


「・・・・」


ナウラは若葉が芽吹き始めた木々の合間から夕陽に照らされる赤茶けた楯状地の一面を見上げていた。


「懐かしいか?」


そんなナウラの脇に歩み寄って声を掛けた。


「・・・貧しい里です。たまに見かける小さな獣や鳥を石を投げて殺して食べ、大きな鳥から身を隠して過ごします。私は満足に食べ物を食べた事は有りませんでした。」


「ナウラは大喰らいだからな。」


「・・・・私に失望して欲しく有りません。私は里の者に好かれて居ませんでした。何を言われるかも分かりません。」


表情は相変わらずだった。


「自慢の弟子で、妻だ。何処に出しても恥ずかしくない。」


「ナウラは友達居そうに無いものねぇ?」


シンカに被せる様にヴィダードが口を開いた。

辛辣な言葉だった。シンカの知る限りでは事実でも無い。さしものシンカも怒ろうと口を開く。


「でもぉ、私達がいるでしょぉ?」


シンカが言葉を発する前に続きを告げたのだった。

シンカは驚いてヴィダードの顔を見つめた。

いつもと同じ何処か茫洋とした眼差しでヴィダードはナウラを背後から見ていた。

ナウラは振り向く事なく頭を垂れた。


「泣いているのぉ?」


俯き動かぬナウラの顔を覗き込むとぴくりとも表情筋を動かさずに静かに涙をほろほろと流していた。


わたくしの所為?」


困惑するヴィダードの頭を撫でる。


「ナウラは実直で誠実だ。口は悪いが。お前を嫌う者など出会ってから見た事はない。お前の悪口を言う者が居たら俺が言い返してやる。」


言うとナウラは小さく頷いた。

そして振り返りヴィダードを抱きしめたのだった。


「な、何っ!?何ぃ?」


暫く騒いでいたヴィダードだったが肩に顔を埋めて静かに涙を流すナウラの背を抱いた。


「良かったね、ナウラ、ヴィー。」


片頬にぱんぱんに食べ物を詰めたユタがにこやかに笑いながら声を掛けた。

家族が居れば怖いものなど無い。

改めてそんな事を思った。




翌朝鷹に乗り四半里もの高さがある楯状地に上がるとエンディラを目指した。

小さく村落が見え始めると、警戒させない様鷹から降りて歩み始めた。


手土産の食料でシンカの両手は塞がる事になった。

ナウラの気は晴れたのか、思い悩んでいる様子は無かった。

村に近付くと槍を構えた男達が10人走り出て来て此方に穂先を向けた。


「止まれ!何者だ!」


1人が吠える。

男達は全員ナウラと同じく白髪で褐色の肌であった。


ユタとカヤテがきゃっきゃと騒ぎ立てている。

人の中では変わった容姿のナウラと同じ者たちを見て興奮しているらしい。

同じだ同じだとこそこそ話している。


しかし同じと言われてはシンカは業腹であった。


ナウラは栄養価の高い物を食べており肌つやも良いし、時折保湿用の乳液を塗ってやったり傷んだ毛先を切ってやったりしている。

同じにされては困る。


「・・アサド。私です。」


ナウラが笠を上げて顔を見せた。

40から70の間と思われる人間で言えば30程度の見掛けである。


「・・ナウラか!?」


アサドと呼ばれた男が叫ぶ。

他の者達も驚愕の表情でナウラを凝視した。


「生きていたのか?!」


「死んだとばかり。」


「なぜ戻って来たのだ?」


口々に声を掛けてくる。

シンカは一歩踏み出し口を開く。


「俺は人間だがナウラと導かれる事となった。ナウラを娶る為婚礼の儀を行いたい。里の長に面会は可能か。」


シンカが声を掛けると数人が目に見えてびくついた。


「・・何だ、この経は・・」


アサドが小さく呻く様に言葉を発した。


「私の伴侶のシンカです。・・村に入らせて貰っても?」


ナウラが言うと男達は道を開けた。

アサドに先導されてシンカ達は村に入り込んだ。

赤茶けた大地に穴が掘られている。

大きな蟻の巣の様だとシンカは思った。

鳥害や強風を避ける為だとナウラに聞いていた。


「ねえ。ナウラの生家は何処なの?」


リンファが尋ねる。


「・・・あちらです。今は妹が1人でか、或いは伴侶と住んでいるでしょう。」


ナウラの回答は硬い。妹の結婚に興味すら無い。或いはあまり触れたく無いと言う様子だった。


「アルラはまだ導かれてはいない。・・しかしナウラ。お前はこの男に導かれたのか?肌が白い。何処の民だ?」


「シンカは人間です。」


ナウラとアサドの間で続けられる会話を尻目にシンカはあたりの様子を伺っていた。

出歩く人々の身なりは正に清貧と言った様子で、装飾の無い麻の薄黄色の衣類を身に纏い生活していた。


一同にシンカ達を好機の眼差しで遠巻きに見守っていた。


大きな柵に囲まれた穴の前に辿り着くとアサドはその中に入っていき、暫くして顔を出した。


「中に入れ。俺はこのままアルラを呼びに行く。マギド、サミル、ヤジッド。この者達が良からぬ企みをせぬ様見張っていろ。」


矢継ぎ早に告げると走り去っていった。

サミルと呼ばれた20前半に見える男に続きシンカは穴に向かった。


穴はシンカが両手を広げた程度の大きさで、斜めに下へ掘り進められていた。

斜めの穴は緩やかな階段状で、土行法で掘られた為表面は滑らかだった。


左右の壁には赤地に様々な模様が描かれた布が飾られていた。

穴を降りきると同じ赤地の布で仕切られた入り口に辿り着く。

サミルに続き部屋に入ると長い眉で瞳の隠れた老人が1人、床の上の座椅子に座っていた。


「・・・本当にナウラか。息災だった様だ。」


「ご無沙汰しております。」


「今まで何処で何をしていた?」


老人はそうナウラに尋ねた。


「熱病で父と母が倒れて直ぐに里を出ました。東の浜で人間に誘拐され船で大陸の中央に連れ去られましたが、隣のシンカに助けられ、以来行動を共にしておりました。」


一行が下座に座るとナウラはそう返した。


「それで、婚姻と言ったか?そこの人間と?馬鹿馬鹿しい。里はいつでも人手不足だ。今日からアルラを手伝い里に貢献しろ。」


雲行きの良くない流れだった。

ナウラはシンカの手を取ると自身の頬に当てる。


「エンディラの女は導かれた後に伴侶以外の異性に触れられると石化します。シンカは伴侶です。」


ナウラの挙動に老人や3人の戦士は目を見開いた。


「・・長殿。この様な土地では人手の一つも惜しいもの。婚姻の儀に辺り結納品は我等の親族が別途持ち寄りますが、先ずは此方をお納め下さい。」


シンカは持ち込んでいた麻袋を戦士達に渡していった。

大量の食料や薬の類いである。


「・・これは・・・」


乾酪、腸詰、干物などの保存が効く食料を始め、油や布、糸や鉄鍋、蠟燭などの生活用品や酒等の嗜好品迄を持ち込んでいた。

長老の喉が鳴った。


「・・・。儂は・・・何を・・・。」


長老は暫く考え込んでいた。


「・・ナウラ。お前はどうしたいのだ?」


「シンカと共に生きます。止められても振り払うでしょう。」


長老にそう答えた。


「・・・シンカとやら。ナウラは・・この里で余り良い環境に無かった。実の親に好かれず、里の者にも避けられていた。何時も1人で崖の淵に立ち、遠くを眺めている子供だった。あんたにはこの子が今何を考えているか分かるか?」


「・・・怯えている。大方仲を裂かれたらどうしようとでも考えているのだろうな。」


「・・・そうか・・そうか・・・・。だが、儂には分からん。小さい頃のナウラを儂は不気味だと思っていた。だった5歳の子供が無表情で大人の様な言葉遣いで儂らと話す。皆不気味がったのだ。・・・だが、あんたらにはこの子が何を考えているか分かるのだな?」


「ナウラは言葉や感情に表情や声音が追い付かない。厳密に言えば微動はしているが。それだけで他の誰とも中身にそう差はない。それだけの話だ。」


ナウラの表情を見ながらシンカは告げた。


「・・貧しさは心を歪める。儂は御導きを歪める様な事を言った。そしてこの食料を見て、更なる結納品の事を考えてナウラを嫁がせる事に利を見出した。こんなものは里の者を人攫いに売るのと同じ事だ。」


大きく溜息をついた。

背後から人の気配が近づいて来た。2人分の足音だ。


現れたのは先のアサドと初見の女性だった。

端正な顔立ちの者しか見受けられないエンディラの民達だったが、その中でも輪をかけて美しい女だった。

目、鼻、口の形がナウラそっくりだった。


「姉さん。」


似てはいるが所々はやはり異なる。

それは眉の形であったり唇の厚さだったりする。


「アルラ。息災でしたか?」


尋ねるナウラの声音にはアルラという妹を気遣う色は少なかった。


「そうね。特には。結婚と聞いたけど。そこの人間が相手なの?」


不思議そうな顔でアルラはシンカを見た。


「では改めて。ヴァルドの末裔、シンカと言う。」


ふとシンカは思う。自分とナウラと2人だけなら分かるが他の4人は彼等にはどう映っているのだろうと。

'

きょろきょろと周囲を見渡す黒髪に耳垢を小指で穿り吹き飛ばす三白眼。

退廃的な雰囲気を醸し出しつつ枝毛を探す茶髪に微動だにせず1人の男を見つめ続ける金髪。

シンカは恥ずかしくなった。


ナウラの友人と捉えてもらえれば良いかと割り切って考えるのをやめた。


「・・・ヴァルド?聞き覚えがない。人の種族の一つか?」


「その様なものだ。ナウラを伴侶に迎えたい。本来は生家に結納をする事が仕来りと聞く。妹君と里自体に品を供したいと考えている。」


シンカが話すとアルラは和かに笑みを作った。


「ご丁寧に有難うございます。姉がお世話になっております。」


声音も軽快でナウラとの落差にシンカは驚愕した。

4人の妻達も驚愕に眼を見開いてアルラを見ていた。


話には聞いていた。ナウラの妹は周囲に可愛がられていたと。

確かに愛想が良い。

初めはシンカに対し何らかの疑念を抱いていた様だったが、直ぐに利がある相手と判断したのだろう。


そういう相手には愛想を良くする。そういう事なのかもしれない。


「明日俺の親族40名が式の為に到着する。エンディラの民皆に周知をお願いしたい。それと、今晩寝泊りする場所を借りたい。」


「ふむ。ではナウラの生家、アウラの家に泊まれば良い。空きはあるな?」


「はい。大丈夫です。」


アルラは微笑みながら告げた。

長の家を辞してエンディラの里を歩く。

辺りを見渡すシンカにアルラが話しかけて来た。


「疑問なんですけど、姉で大丈夫ですか?」


言葉は柔らかかったが悪意を感じた。


「問題ない。何が大丈夫では無いのだ?」


苛立ちを押し殺して尋ねた。


「何って、何を考えているか分からないじゃないですか。」


そう言われてシンカはアルラの顔を見る。


「怒っているぞ。」


「・・え?」


何を言われたのかアルラには分からなかった様だった。


「分からないのか。ナウラが怒っているぞ。悪口など言わぬ方が良いのではないか?」


「何・・え?姉さん、怒ってるんですか?」


「・・・ええ。何故怒らないと思うのですか?」


敬語で話し合う姉妹。奇妙な光景だった。

きっとアルラは幼い頃から親に敬遠されるナウラを下に見ていたのだろう。


会話もあまりなかったのかもしれない。

不愉快だった。


ナウラはシンカに寄り添って袖をそっと掴む。それを好きにさせる。


「貴女が私をどう思おうとそれは貴女の勝手です。ですが私の伴侶に敢えて悪意を吹き込む事。それは御導きを穢す行為ではありませんか?」


「・・・あ、え・・・」


ナウラの表情に変化は無い。

それでもシンカには分かる。ナウラは今嘗ての鬱屈した感情を捨て去ろうとシンカの袖を握りつつ勇気を振り絞っているのだ。


「私の夫に近付くなっ!貴女が里で薄ら笑いを振り撒いている間に私は身も心も預けられる人々に出会いました!貴女は一生心の中で人を小馬鹿にして愛想を振りまいていればいいのです!そんな巫山戯た心根の者に御導きなど下りません!」


大きな声だった。シンカにすら信じられなかった。

その叫びは周囲でちらほらと此方を伺うナウラの同胞達の耳にも届いた。


興奮に耳が赤く染まり、鼻息も荒い。

そんな様子も彼等には分からないのだ。

エンディラの民はナウラに向き合わなかったのだ。


変わった者は集団の中で浮いてしまう。

それは仕方のない事だろう。目立つ者は阻害されやすい。


だがその者が悪い訳では無い。


ナウラは真面目だ。そして情緒豊かで人の痛みを感じる事ができる。


そんな優しい娘が人に好かれぬ生涯を歩む筈がない。シンカはそう思う。


4年前、シンカはナウラをたまたま助けた。其れを良き出会いとして誼を得て結ばれるに至った。

だがもし、別の者と誼を得ていてもナウラはその者と親しくなっていただろう。


人の価値は多種多様だ。あるところで何者に成れなくとも、別の場所でも同じとは限らない。


ナウラはシンカの家族となり森渡りの一員となった。

彼女の将来の生真面目さ、直向きさがあれば一族には直ぐに認められるだろう。


ナウラが大きな声を出す所を見てシンカは驚いた。

それはアルラも同じだったのだろう。暫し硬直していた。


それは彼女にとって、とても労力のいる事だったはずだ。

袖が破れるのでは無いかという程強く握り締められていた。

シンカは小さく震えるナウラの背を撫でた。

女にしては大柄な背中だが、今は小さく感じた。


「・・・・・」


そんなナウラとシンカの遣り取りをアルラは唖然としながら眺めていた。


「妻の帰郷が歓迎されていないと言うのなら我等は村の外で野営をさせてもらう。式も同じく村の外で此方の親族だけで執り行う。此処に来たのはけじめをつける為であり認めてもらう為では無い。・・では。」


口を開閉させて硬直するアルラを尻目にシンカはナウラの背を押し促して村から出て行った。

シンカたちを追える者は居なかった。


その晩、シンカ達は煌煌とした火を起こし6人で宴を始めた。

鳥を仕留め捌いて持参した調味料をかけて焼き、酒を飲んだ。

漂う芳香は穴に篭ったエンディラの民達は口に湧いた唾を嚥下した。


楽しそうな話し声、笑い声が時折風に乗って届くのを布を寝台に横になりながら布を被り、聞こえないふりをした。


分かっていたこととはいえ落ち込むナウラだったが、5人はいつもの様に触れ合う事で次第に忘れさせ、最後はナウラ自身酔いで全てを忘れて赤茶けた台地の上で大の字を描いて眠るに至った。


翌朝、西の方角から十数羽の大山鷹が人を乗せて飛来する。

シンカの親族達は村に入る事なく式の準備を始めた。


ナウラは持参した真っ赤なエンディラの婚礼衣装を着込み、ヴィダードがナウラの手脚に悪霊よけの泥の紋様を描いた。頭、首、手脚に付けられた細かな細工が動く度にぶつかり心地よい音を鳴らしていた。


シンカは詰襟の長衣を着込んで森渡り達が立てた幕舎の中に入る。そこでは本来ならナウラの親族がシンカを出迎える筈であったが、替わりにカヤテ達がシンカを出迎えることとなる。


ヴィダードが素焼きの壺をシンカに手渡す。

これをシンカは床に置き、経を纏った左足で粉砕した。


これには新郎が苦難を乗り越える為の力があるか見せる意味合いがある。

壺が割れると胸から上が二人掛かりで広げられた布によって隠されたナウラが現れ、手に持った花輪を手渡した。


シンカはそれを首に掛けた。

これによりエンディラの掟では正式に結婚が決まったと見做される。


そうして正面の祭壇に導かれると顔の前でカヤテが起こした火を灯した香炉をかざされる。

火の精霊に幸運を願う儀式だ。


続いてシンカは目隠しをされる。時が来るまで新郎は新婦の顔を見てはならないのだ。

森渡り達の視線を感じた。

過去にエンディラの民と婚姻した森渡りは存在しない。

初めて目にする儀式に知的好奇心旺盛な森渡り達は釘付けの様だった。


そしてヴィダードとリクファに連れられて目隠しされたシンカの隣にナウラが立った。

そして到頭シンカの目隠しが外された。


ナウラの美しさは良く知っている。

しかし普段しない化粧で目を縁取り、艶やかに口紅を差した姿は目に新しい。

美しい被り布の下から覗く黒翡翠色の瞳がじっとシンカを見つめていた。

首にかけていた花輪を交換する。お互いが永遠の伴侶となった。


互いの首にかけていた巻き布の端が結び合わされると互いの手を取り合う。

そしてゆっくりと2人で踊り始めた。


激しい踊りではない。ゆったりとした水の流れを連想させるもので床に置かれた月桂樹の葉を幾度も踏み、互いに食べ物を与え合う事、互いに強くなる事、裕福になる事、喜びも悲しみも分かち合う事、親と子の面倒を見る事、生涯共にある事、生涯友人である事を願い、誓う。


儀式は此処で終わりだったが最後にナウラに突然両手で頭を固定された。

強烈な力で引き寄せられて接吻をされた。


聞いていたエンディラの婚姻の儀にこの様な物は無かったはず。

大方自分の時にカヤテの式の様な接吻が無い事に不満を抱いていたのだろう。


シンカの弟妹達が挙って手にしていた赤い花びらを野次とともにシンカに投げつけた。


調子の良いリンドがマルカ産の小さな撥弦楽器で陽気な曲を弾き始め皆も思い思い管弦楽器を取り出して合わせて演奏をはじめた。


同じく嫁入りしたアレタやジーンがナウラの手を引き用意していた宴席へ連れ出した。

30人以上が楽器を演奏しながらそれに続いた。


用意された豪華な料理を取り分けていると甲高い鳴き声と共に竜が空を飛びながら近づいて来た。


エンディラの里の中では悲鳴が起こっている。

シンカは酒を一杯引っ掛けると手を上げて皆を見回して一礼した。


己の砥木の弓を取るともう一杯酒を干して矢をつがえ狙いを定めた。


飛竜だ。

赤鱗竜。広げられた翼は20尺に及ぶ。


食べ物の匂いにつられた飛竜に向けシンカは矢を放った。

強力過ぎる短弓から放たれた矢は異様な弓鳴りと共に射られて飛竜の頭部を破砕した。断末魔すら無く赤鱗竜は墜落し、そのまま赤茶けた大地に赤い染みを広げた。


拍手に合わせて一礼をする。

エンディラの民達は村の囲いの内側で唖然として見ていた。


再び演奏を再開し、宴会が始まった。

賑やかな演奏に美味そうな食事。

時折現れる魍魎は誰かが酔いながら排除し、滞る事なく結婚式の宴会は続けられた。


エンディラの民は宴の際は良く踊るのだという。

それを知っている森渡り達は陽気に踊り出した。

自分達の知る様々な曲を変わりがわりに奏で、それに合わせて踊る。


踊りが下手な者も上手い者も傍目を気にせず踊り、疲れれば酒を飲んで休むと繰り返していた。


シンカとナウラも改めて踊りを踊った。

よくわからなかったが、ナウラに手を取られ促されるままに踊った。


踊りなど踊った事は無かったが、ナウラはシンカを巧みに誘導してなんとか形になっていた。楽しかった。


「私にもシンカに教えられる事があるのですね。生きる事に役立ちはしませんが。」


ナウラは彼女なりの笑みを浮かべた。

それを見てシンカは嫌な事など全て忘れ去って仕舞えばいいと思った。


「こうして踊った事を俺は忘れないだろう。お前との記憶の積み重ねがきっと俺の心を強くするのだ。」


脚を動かし腰を抱きながらそんな事を話した。

此方の様子を伺うエンディラの民達の視線は豪華な食事に対しての羨望に溢れていた。

しかしシンカも、リン家の面々も嫁を虐げる者達に声を掛けてやるほど慈愛に満ちてはいなかった。


全員が見せつける様にナウラを褒めそやしエンディラの民達にその様子を見せ付けていた。


シンカは宴の最後、日が暮れて松明の明かりに照らされる中ナウラに頼みごとをした。

ナウラは快く引き受けた。


シンカは持参していた六弦琴を持ち、リンドに巨大な四弦の楽器、大提琴を持たせ、リンカに打楽器を打たせる。


そうして曲を奏で始めた。

ナウラは赤字に細かい細工を施した衣装をはためかせ、ゆったりと回りながら踊り始めた。


優雅で美しい踊りだった。

ナウラの美貌も相まってナウラの周囲だけが崇高で侵し難い空間のように感じられた。


そんな光景を音楽を奏でながらシンカは目に焼き付けていた。


気持ちが昂り、何故か泣きそうになった。

目が潤むのを堪えて弦を鳴らす。

シンカの旋律とリンドの低音、リンカの律動。何れも高い技術力で奏でられて調和していた。


それに合わせて踊られるナウラの舞も皆に感嘆の息を吐かせる物だった。


一曲演奏して儀式は終わった。


宴が始まった時は昼だったが、日もすっかり暮れていた。全てが終わると彼等は薬を服用して酔いを覚まし、匂いを消し、宴の痕跡を全て焼き尽くして去って行った。


エンディラの民は己らの態度で失った食料の事を惜しんだが直ぐに忘れて就寝した。


彼らはそうして過ごして来た。

己らの枠組みの中にある者を見つめ、そこからはみ出す物は受け入れず迫害する。


ナウラは生まれ持った性質で枠組みの中から弾かれてしまった。

仕方がない事なのかもしれない。エンディラの民には余裕が無い。

日々を繰り返すだけで精一杯なのだ。


けじめはつけた。

シンカはそう思う。

ナウラに良くない過去が蔦の様に絡むなら、それを引きちぎったのが今日という日なのだ。


そして自分の隣に、カヤテ達の中に、リン家の輪に己の居場所があるのだとはっきり伝える事が出来たと思う。


上手く出来ないこともあった。

エンディラの民達にナウラの素晴らしさを伝え認めさせる事が出来なかった。


彼等がナウラを受け入れない事は直ぐに分かった。

力が足りず申し訳無いと思った。


しかしナウラの横顔はすっきりとしたものだった。

故郷と決別する事となったのに憂いは無い様だった。


長い歴史を持つとはいえ森渡りもシンカも人間だ。

解決できない事は色々ある。


それでも好きな者が、家族が幸せであるならそれでいい。

家族はどんな宝にも劣る事はない。

そんな事を思わせる一日だった。



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る