紫音、UMP45の経緯について驚く
天野さんの安全運転で羽田空港の駐車場に着いた。途中で、スピードを上げるんじゃないのか? と不安に思っていたけれども、そんな事をしなかったので本当によかったと思っている。
そして、羽田空港の中に入ってPMC本部へ向かう通路の途中で、リュークさん立ってが待っていたのだ!
「アマノくん、リトアくん、それにシオンくん、お帰り!」
「おう」
「ん? アマノくんがちょっと不機嫌そうだね。何かあったの?」
「何もねぇから、気にするな」
天野さんはそう言うと会議室がある方へ向かって歩き出す。その様子を見たリュークさんは、リトアさんに近づく。
「なにかあったのかい?」
「ええあったわ」
「え、ホントッ!? 何があったの?」
「シオンくんがね。私達とはぐれている最中に、最後のファミレスの勝手に入って行ったの。
そこで土竜の1人に会って、シオンくんが今手に持っている銃をオーバーホールするのと、それ用のマガジンを渡す代わりに、ファミレスの中にある品物は全部渡す約束をしちゃったの」
「そうなんだ。でもそれだけの事だったら、怒らなくてもいいんじゃない?」
「実はその中に、あの3人が貯め込んでいた弾薬があったの。アマノはそれをタダで渡しちゃった事が、気に入らないみたいなのよ」
「あぁ〜・・・・・・」
リュークさんは納得したような顔をすると、僕に顔を向けて来た。
「シオンくん、今回の事は気にしなくても大丈夫だよ」
「えっ!? でも、あれだけの数の弾薬があれば、お金が浮くって・・・・・・」
「まぁそれはそうなんだけどね。他人が何処で買ったのかもわからない弾薬を使うのよりも、自分達がここで買った弾薬の方が、安心して使えるからさ」
「そう・・・・・・ですか?」
「そうだよ。っと、そんな事よりも、アマノくんを追いかけよう」
僕はリュークさんに手を引っ張られる様にして、会議室の方へと向かう。すると、扉の目の前で天野さんの声が聞こえて来たので、僕達は止まってしまった。
「・・・・・・というわけだ」
「そうか・・・・・・あの3人はダメだったのか」
「ああ、もしかしてアンタも佐島のヤツに?」
「俺は金を貸してない。だけれども、アイツに金を貸したヤツらがなぁ〜・・・・・・可哀想に思えてならないんだ」
そうですよね。お金を貸していた本人が亡くなってしまったら、貸していた人達は困りますもんね。
「ああ、そいつらは、アンタのところに行かないと思うぞ。親じゃあるまいし」
「だといいんだけどなぁ〜。ざっと12人は貸していたみたいだからなぁ」
「俺が佐島から聞いた話じゃ、6人って言ってたぞ。アイツ嘘吐いていたのか?」
「ああ、12人も貸しているって正直に言っちまったら、 返す気があるのか、コイツには? って怪しむだろう?
だから半分の6人って言っていたみたいだ」
「・・・・・・そうか」
天野さんは呆れた顔をしていた。
「まぁ今回の依頼達成料は、振り込んでおくからな。ほら、先に領収書を渡しておくぞ」
「ん、どうも。ってかお前ら、いつまでそこで突っ立っているつもりだ? 入って来い」
天野さんに言われた通り会議室へと入って行くが、盗み聞きをしちゃったので、気まずそうな雰囲気を出している。
「全く、気づいているのなら、もっと早く声かけて来てもいいんじゃない?」
「キリのいいところでお前らを呼んだだけだ。それに普通に入って来ていれば、気まずそうにしなくて済んだんじゃないのか?」
「気まずそうにしているのは、シオンくんだけよ」
えっ!? 気まずそうにしていたの、僕だけだったの?
「それはそうとして、紫音くん。疑いをかける様ですまないが、キミは本当に1人でウルフを2体も倒したのかい?」
「あ、はい。本当です!」
僕がそう言うと、工藤さんは目をジッと見つめて来た。
「・・・・・・本当に嘘は言ってないみたいだな。それにそのUMP45を見た事あるぞ。確か、えぇ〜っと・・・・・・」
「山岸さんが亡くなる前日に、そこのガンショップで買ったUMP45だと思います。それを買った山岸さんは、ロビーではしゃいでいたのは、一昨日の事ですが覚えてませんか?」
声のした方へ顔を向けると、サラさんが会議室の出入り口にいた。
「思い出した。その様子を偶然見かけたんだったな」
「えっ!? それじゃあ、これってぇ〜・・・・・・僕、泥棒をしたって事になるんですか?」
ロッカーの中に丁寧に入れられてたし、それに188さんが新品って言ってたから、大事にしていたんだろうなぁ。
ん? でも、亡くなる前日に購入した。ってサラさんが言っていたよね? 何で亡くなった当日すら使わなかったんだろう?
「ああ〜いや・・・・・・色々とめんどくさそうな事になりそうだから、見つけたって事にしておこう」
「そうですね。それが都合がいいでしょう。
それと山岸さんの事だから、自分で買ったUMP45を、自分好みにカスタマイズしてから使おう。って考えていたんじゃないでしょうか?」
銃のカスタマイズ? ドッドサイトとか、グリップとかのパーツを付ける事だよね?
「そういえば山岸は、自分で銃を内装から外装までのカスタマイズをするのが趣味だったな」
「それで、自分ではどうにもならなくなったら、土竜達に頼っていると、ボクも聞いた事があるよ」
「うわぁ〜・・・・・・それって、土竜達からしてみたら、かなり迷惑じゃないの?」
「ああ、直せる状態だったらまだしも、どうにもならなくなった銃を持って来るから、困る時がある。 って聞いたな」
銃のカスタマイズの筈なのに壊しちゃうって、どんなふうなカスタマイズをしてんだろう?
「まぁなんにせよ、それはお前の物だから大事に使えよ」
「あ、はい!」
工藤さんがそう言うので、僕は自分が持っているUMP45事をこれ以上考えないようにしよう。
「サラ、お前がここに来たという事は、あの資料を持って来たんだな?」
「はい、工藤社長。こちらです」
工藤さんはサラさんから資料を受け取ると、僕達に配ってくれる。
「なんだ、これは?」
「最近物騒な事が起きているからな。この場を借りてお前達にも話をしようと思ってな」
「物騒? おいおい、銃を持ってドンパチをして、常に危険と隣り合わせなのが仕事のPMCだろ? 第一に賞金首の話だろ。ネットの方に掲載されてるんだから、ここで聞く必要がないと思うが?」
「そうよ! そうよ! 早く帰ってシオンくんの歓迎会をしたいんだから、これ以上無駄話して時間を潰したくないわっ!」
「リトアくん、キミは早く焼き肉屋さんに行きたいだけだよね?」
リュークさん、その通りだと思います。
「いや、そういう訳にもいかないんだ。例のPMC協会に入っているPMC達が、次々と亡くなっている事件について進展があった」
「「「ッ!?」」」
天野さん達が真剣な顔をしながら工藤さんを見つめる姿を見つめていた。僕は何がなんだかわからないので戸惑っていたが、工藤さんはそんな事御構いなしに話し始める。
「その資料に写っている3人組が、容疑者として出てきた」
慌てて資料を見ると、工藤さんの言う通り覆面を被った3人組が銃を持っている画像があった。
「その画像の写る3人は防犯カメラ映像を添付したものなので、少し荒くなっています。すみません」
「いや、大丈夫だ。しかし、今まで犯人の手掛かりが見つからなかったのに、よく見つかったな」
「はい、運がよかったのかもしれません。この画像の後にPMCのメンバーが襲われ、そのまま逃走されました」
「・・・・・・そうか」
「そして、この3人組に懸賞金が付く事になりました。詳しい事をその資料を読んで確かめてください」
「わかった」
天野さんはそう言うと、資料を折りたたみポケットの中へと入れる。
「気をつけろよ天野、いつ何処で襲ってくるのかわからない連中だからな」
「・・・・・・ああ、気をつける事にする。そろそろ、帰るとするか」
「やったぁ! 焼き肉に行けるわぁっ!」
「ダイエットをしようと思っていたけど、まぁいっか。シオンくん、行くよ」
「あ、はいっ!」
そう返事をすると、リュークさんの後をついて行くのであった。
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