目指すな日本一! -北の国動物園物語-

作者 偽教授

57

22人が評価しました

★で称える

レビューを書く

★★★ Excellent!!!

丸山動物園という、北海道のとある動物園を舞台に物語は幕を開けます。

動物園は、動物好きが集まる、注目するだけのものではありません。
巨大エンターテイメントであるそれは市の「顔役」「目玉」となりうるものであり、北海道の町の歴史に直結することに、意外性を感じました。

この作品の魅力は素晴らしい語りにあります。
また語り手も魅力的な存在であり、どこか、不思議なファンタジーを感じさせます。

★★★ Excellent!!!

誰しも一度は訪れたことのある動物園。
身近で親しみのある動物園の、今まで知らなかった舞台裏に興味津々で、最後まで引き込まれながら読みきりました。

旭山動物園と円山動物園、それぞれが違った目標を目指しながら、見事に変革と再生を成し遂げていく過程がとてもドラマチックです。

地道な試行錯誤、斬新なアイディアと果断な実行、それらの変革を経て、過去から現在の動物園の姿につながっていく。
言葉通りの「神の視点」と、人の視点で交互に語られるその動物園の歩み、歴史と今を、肩肘張らずに楽しく読めます。
経営についても勉強になりますし、エンタメとしても楽しめる秀作です。

読み終わって、久しぶりに動物園に遊びにいきたくなりました。

★★★ Excellent!!!

神々が地上を訪れるときには、獣や鳥の姿をとる。
人間は神々の化身を狩ったり捕ったりすることで、
その恵みを受ける。故に獣も鳥も敬うのだという、
アイヌの死生観には心を惹かれる人も多いだろう。

このエッセイの語り手は、アイヌ的に言えば神だ。
カパチリカムイ。日本語で言うなら、大鷲の神様。
彼女はかつて、渡りに失敗して人の子に保護され、
円山動物園で生きた。今は、まあ……魂、である。

サブタイトルに「北の国動物園物語」とある通り、
円山動物園と旭山動物園、2つの動物園が語られる。
主軸は日本一を「目指さなかった」円山動物園で、
旭山動物園の革命は、その好対象として描かれる。

一時は廃園の危機に陥った公営動物園の再起とは?
何が起こり、何が足りず、何を見つめ直したのか?
新聞記事や議事録やインタビュー記事等をもとに、
スパイスの効いた軽妙な語りで再構成されていく。

私は2009年の夏に旭山動物園に行ったことがある。
「檻の中の動物かわいそう」教育を受けた世代だ。
エッセイで扱われる出来事や世相にいちいち納得。
舞台裏はこんな風だったんだなと、勉強になった。

2009年夏の旅行では当然ながら札幌にも滞在した。
円山動物園にも行ってみればよかった、と思った。
もう1人の語り手である高校生の「ぼく」を通じて、
札幌における円山動物園の立ち位置がよくわかる。

鳥が好きな人、特に大鷲が好きな人。
ぜひ読んでほしい。
大鷲のバーサンが素敵だから。
バーサン、今回は相手を噛み殺さないようにね。

★★★ Excellent!!!

北海道のふたつの動物園の再生をテーマにした、とてもすんなり読めるエッセイです。

すんなり読めるのですが、エッセイの語り手は一筋縄ではない癖のある人物。人物というか大鷲、大鷲というか神様、神様というか語り手なのです。

「日本一を目指さない」ってどういうことだろうと読み始めたら、気付けば最後まで読んでいました。結構お堅いことや、具体的で退屈な数字が出てきたはずなのに、すっといけるのは凄いことです。

北海道のふたつの動物園の歴史と、語り手の好ましいお話と共に、この不思議に読み切ってしまう不思議な感覚をぜひ、体験してみて下さい。

★★ Very Good!!

北海道が大好きなので、どうかな? と読んでみたところ、札幌や動物園の歴史が大変分かりやすくまとまっていました。語り手が「大鷲」なのもよいアイディア。

ここから先、どんなふうに話が盛り上がっていくのかとても楽しみです。
期待を込めて★2つ。