教会の崩壊
私、メラニアがこの村に来る前の話。
私は『世界救世』の旅に出ていた。
リーダーである妹で自称聖女、私から見れば悪女の『キャミィ』、聖女を護る騎士団という名の取り巻き数十人、聖女の身の回りの世話係数名で旅をしていた。
因みに私は世話係の一番下。
何が悲しくて妹の服の洗濯をしなきゃいけないのか・・・・・・。
夜は、妹は取り巻き達と甘い夜を過ごしている。
正直言ってもう我慢の限界だった。
宿も一番下のクラスだし、街に入れない時は妹達はテントなのに私は野宿。
火の番が必要、って言ってるけど私の仕事ではない。
とにかく雑用の日々だった。
しかも誰も褒めてはくれないし、馬鹿にされる。
世話係も妹に対して不信感はあるが直接は言わず私にあたってくる。
私にあたられても困る。
とにかく、もうこのメンバーと旅するのはもう嫌だ。
最近は取り巻きの一部がいやらしい目で見てくるし、貞操の危機を感じている。
そんな疲れきった夜の事だ。
『メラニア、見えますか?』
「・・・・・・女神様ですか?」
教団が崇拝している平和の女神『リア』様が姿を現したのだ。
声は聴こえる事はあるけど、姿を現すのは珍しい事だ。
疲れてボーッとしていた頭が一気に覚めた。
「女神様、何故此方に?」
『貴女に朗報を持って来ました。明日、魔王が倒されます。』
「えっ!? それって・・・・・・。」
『えぇ、この旅も終わりです。ですから、メラニア貴女は離れなさい。』
「は、離れても良いんですか?」
『えぇ、今までは魔王の力が強く私が関与する事が出来ませんでした。ですが魔王が倒される今なら漸くこの愚か者達に直接罰を与える事が出来ます。』
実はリア様は結構早い段階で教会を見限っていた。
そして、自らの手で教会を崩壊させる事を決意していた。
当然、私は知っていた。
その日が来るのを待ち望んでいた。
そして、ついに来たのだ、この日が。
すぐに私は自分の荷物を纏めてこっそりと抜け出した。
『メラニア、貴女は魔王を討伐した勇者の元で過ごしなさい。』
「あの、リア様。妹達はどうなるんでしょうか?」
『この者達は何人かは魔獣の餌になるでしょう。残った面々も教団本部と共に罪の業火の餌食になるでしょう、て言うかします。それだけの事をしたんだから当然の報いです。』
うん、怒ってる。
笑顔だけど怒ってる。
まぁ、今までは私のお陰で魔獣やモンスターの襲撃を避けて来たんだから、これからの旅はかなり大変な事になるけど頑張ってね。
正直、教団や妹、両親に対して愛情なんてこれっぽっちも無い。
私は容赦なく捨てる事が出来た。
こうして私はパーティーを抜けて村にやって来た。
教会がどうなったかは、村に向かう旅の途中で知った。
妹達は魔獣の襲撃に遭い世話係や戦士数人は餌となった。
妹と残った面々は教会本部に命からがら戻ってきて、信者の前で報告会を行ったが、そこにリア様が現れた。
平和の女神とは思えないぐらいのキレッぷりで、教会幹部や妹達を糾弾の末、火の海にした。
それにより幹部や妹、両親、私を蔑ろにしていた者達は跡形も無く灰となったらしい。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます