古式ゆかしく呪術とは、すなわち呪い、祓い、身を雪ぎ、穢すという行為によって成り立つものだ。
わかりやすく言えば、藁人形と釘がなければ丑の刻参りはできないということである。
呪術には手順が必要で、それがときに儀式と呼ばれるものである。
この作品はそれを、見事に現代の形に昇華している。
式神を放つには銃弾を射ればいいというのは、これ以上なくわかりやす縁の結び方だ。
何より見どころなのは、木製の巨大ロボット──槐兵だ。
軽量級でありながら、その迫力はすさまじく、作者の筆力もあって脳内ではとんでもない戦闘シーンが再現される。
加えて、作品のテーマの一つに樹というものがある。
樹木とは歳を経るものだ。
歳を経たものにはおのずと神が宿るのがこの国の考え方であり、藁人形などの形代も、もとをただせば木製である。
そうだ、本来死者の国を、我々はこう呼んだではないか。すなわち──根の国と。
現代において呪術を昇華させ、その上で巨大ロボ戦闘までやってのける。
まさに、現代呪術戦の看板に偽りなしの作品である!
まず初めに、よくここまでSFロボットと呪術を上手く融合させたなぁと思います。
今作における『呪操槐兵』というロボットが何故人型しているのか、それは呪い人形を拡大解釈させた物だからとか。ロボットによくある武装が呪術道具に因んでいて、それでいて違和感を感じさせないとか。こういった設定を書くなんて本当に凄いとしか言いようがないです……。
そして人に見えないロボット戦というのもユニークで、人目に晒されながら戦う物とは一味違った緊迫感が感じられる。これもまた単なる設定だけに留まらず、今作における重要なキーパーソンになっているのもまた見事。
褒めているだけになってしまってますが、もうそれが言えません! 本編の内容はぜひとも読んで確かめて!