第34話 姉と友達 3

 突然のことにビクリ、と体が跳ねた。心音がばくばくと、鼓動が早まる。



「な、なによ急に……」



 携帯電話とは急な連絡をするためのものである。



 電源をつけてなにが起きたのか確認すると、佳奈と愛梨沙から同時にメッセージが届いていた。



 ロックを解除しメッセージを中身を確認する。



 内容は、あまねを心配するものだった。



『今日、途中から顔色悪そうだったけど大丈夫? なにかあったらいつでも相談してね。あまねと私は友達なんだから。体に気をつけてね』



『こんばんは。体調が悪いのか、なにか悩み事があるのかは私にはわからないけど、もし困ったことがあるのならいつでも相談して。私とあまねの仲よ。それと、近頃物騒だから気をつけなさい』



「二人とも…………」



 ――あたしは馬鹿だ。



 あたしには心配してくれる友達がいる。



 それなのにあたしは自分のことばっかり考えてた。最低だ。



 そんな大切な友達の輪から外れるなんて、敵になるなんて、そんなの嫌だ。



 二人からのメッセージはあまねに勇気を与えた。



 あまねは素早くフリック入力で、二人に『ありがとう』と短い返信をする。



 ――心は決まった。



 まだ自分の気持ちに決着はつけきれていない。まだ未練も残っている。いざ犯人を目の前にしたとき、どうなるか分からない。



 だが、今の気持ちを必要ないものとして切り捨てることはできない。だってこの気持ちはきっと、すごく尊いものなはずだから。



 明日暮斗と話してみよう。



 そう決め、顔に希望の色を滲ませるとあまねは服を脱いでシャワー室へと向かっていった。

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