第12話「振り向くなニア!電次元に家はない!!」~ストーリー構想など~

・ドラグーン・フォートレスの接近に対して、ゼルガは自ら前線で指揮を執り月面の本部隊を率いて出撃する。ゼルガは玲也達が電装マシン戦隊へハードウェーザーらを転送させて脱出するまで、ゲノムへのゲートを死守しなければならない。そしてレジスタンスと手を組んでいることを隠し通すために、可能な限り本気でドラグーン・フォートレスと戦わなければならない。バグロイヤーに感づかれることなく、電装マシン戦隊を有利な状況へ立ち回らせるには……。


・その頃ゲノムでは転送計画が進行しており、玲也とリンはマックスとともにディエムへ急ぐ。別動隊の活躍でピエムでは3体のハドロイドの転送が完了したとの報せが入り、リンは自分たちもイチ達を救うことが出来ると希望を抱いていた。しかしその希望をあざ笑うかのようにバグラッシュ、バグデグレーの群れが襲い掛かる。デルタバックルの編隊がバグラッシュと応戦する間に3人はトレーラーでビエムへ急ぐが、バグロイヤー側の先遣隊が先に到達しており、あと少しの所でイチは彼らの手で転送されてしまう。リンはショックを受けて呆然としかける。だが玲也は彼女へ「弟を救うためだけの戦いではないはずだ」と叱咤激励。これは玲也が父を救うためだけしか考えていなかった過去への自戒の意味もあり、彼の言葉の意味に気づいてリンも我を取り戻す。


・マックスは転送装置の操縦を二人に託し、単身でバグロイヤー兵と応戦。何とかイチの後に転送されるはずだったハドロイドのカプセルをクレーンで回収する事に成功した。残り1体の回収も行おうとするが、そこに狼狽した様子でニアが二人の前に現れた。彼女はどうやら自分たちがハドロイドの転送を護衛せんと向かった所、交戦状態だったので斥候に向かっていたとの事らしい。玲也はマックスに別部隊が他にもいるのかと確認するが、その話は知らないとの事。ニアは一体誰についていったのかと思う所だが……。


・その時バグラッシュ・バイトが現れた。転送される予定だった1機も含めてディエムに控えていたハドロイド達が踏みつぶされた……この機体にレランとアルーラが搭乗している。どういうことかとニアは問うと彼らは傭兵だがバグロイヤー側に与していたとの事だった。自分たちはバグロイヤー側の仕事で得た金で夫婦の生活を営んでいる。この仕事が終わった後にニアを実の娘として迎えてもよいとアルーラが誘う訳だが、ニアは呆然として言葉も出ない。


・バグラッシュ・バイトによってディエムが壊滅へ追い込まれようとしている。ニアはこれ以上破壊してほしくはないとアルーラへ説得するも、レランは彼女にそれを言っても無駄だとの事。アルーラが元々ハドロイド化を前提とした、特殊冷凍睡眠処置の事故で大量の毒性エネルギーを浴びてしまい、ハドロイドにもなれず、生身でも子が産めない体になったという。その為自分はレランとの未来を奪われ、戦士としてハードウェーザーは人の未来を奪う禁忌の存在だとして、バグロイヤーのハードウェーザー狩りに加担していたのだ。


・そんな彼女に対してニアはデュアル・メメント・モリの電送装置を借りてブレストへ電装。自分がハドロイドだとの正体を明かす。ニアは孤児院が襲撃されて仲間たちを失い、この復讐の為にハドロイドとしての道を選んだ事、そうでもしなければ自分に未来が切り開けなかったかもしれない。リンだって弟を探すためにハドロイドになったのだと……説得を続けるニアには、彼女の母のような優しさを知っていたこと必死になっていた。だがアルーラは自分に欲しいのは“作られた子供“ではない。作られた子供は未来のない自分を見ているようで虫唾が走ると拒んだ。


「お前の親の事について俺では理解できないかもしれない、作られた事についても理解しきれないかもしれない。だが俺たちはこの戦いを終わらせるために今こうしてここにいる……!」


・その時玲也がリンを連れてブレストに乗り込んだ。最もニアに平手を打って親を信じないお前が突然親に飢えてどうしたと突っ込みを入れる訳で、ニアは父さん父さんといっているばかりのあんたに言われたくないとやはり返される。最も玲也は否定せず、それとこれとは別にこの戦いを終わらせたい為に今戦っている事、リンも弟への想いを乗り越えて今こうして戦っている。ニアも経緯は違えども今の想いは同じだと信じていると偽りなく打ち明ける。


「俺が言えたことではないが、自分のパートナーの手綱はしっかり握れ!」

「俺がアルーラをその身にさせても言える事か……⁉」

「それでハドロイドを殺してよいというのか……!?」


・かくしてブレストとバグラッシュ・バイトとの対決が始まる。バグラッシュ・バイトはバグレラの上半身と合体させたバグラッシュのカスタム仕様であり、上半身は単独で飛行することが可能。これによる分離戦法を繰り出されてなかなかブレストの攻撃が当たらない。カウンター・ハンマーで飛行するバグレラを地面にたたきつけようとするが、バグラッシュからのアンカークローがカウンター・ハンマーのワイヤー部分に絡みつき、これによってブレストがうつぶせに転倒。電次元フレアーを封じられた状態でバグラッシュに馬乗りされて、首元めがけてビームファンガーが突き刺さる。アンカークローを地面に食い込ませて固定している為ブレストは身動きが取れない。この状態でバグレラが上空からランサーを投擲して引導を渡さんとしていた。しかしバイトクローを突き出してランサーの軌道を変えることで逆にバグラッシュの頭部にランサーを貫通させることに成功した。これにより機能を停止したバグラッシュをバイトクローで持ち上げて脱出するブレスト。致命傷をレランが負った事にカルーラは激昂。もう一方のランサーでブレストに突撃をしかけるもブレストは刺さったランサーごとバグラッシュを持ち上げて彼女めがけて投げつける。皮肉にもバグレラのランサーがまたもバグラッシュに突き刺さりカルーラは絶句する。


「お前が作られた子供がどうなろうともと思うならば、生きている相手ならばどうだ……!!」


 怒気を静かに発しながら玲也がカルーラへ吠える。追い打ちにカウンター・ジャベリンを2機めがけて投擲し、貫通した2機は地上へと墜落して爆散した。だが休む間もないとマックスは現在月で電装マシン戦隊とバグロイヤー前線部隊の攻防が繰り広げられており、ゼルガは月から撤退する姿勢でいることを知らされる。ゼルガが電装マシン戦隊の為に戦力を温存しつつ撤退する狙いだが、その為に惑星ゲノムへ通じるゲートをそのままにしておくわけにはいかないとの事らしい。玲也はまだ戦力差がある中で本部隊との激突は時期尚早、また地球側から電次元への反感も強いだろうと理解してマックスのゲート爆破工作を承諾。その前にデュアル・メメント・モリと回収したハドロイドを連れてゲノムから去るのだった。玲也は何時か父を救い出すこと、リンは弟を見つけ出すことを誓いながら、そしてニアは自分でも親の愛に飢えていたことに気づかされ玲也の父を探そうとする思いを少し理解していた。だが玲也がそれよりもこの戦いを終わらせる思いで動いている様子から今はともにその為に戦おうと改めて決意する。


・月面ではイーテストとリキャストが互角の勝負を繰り広げていた。リキャストはデュアル・メメント・モリを失っていながらも隙の無い動きを見せており、アンドリューはその隙の無い動きを敵ながら見事だと評していた。その折にブレストが帰還した。デュアル・メメント・モリをけん引している様子に気づき、リキャストがデストロイ・ナイファーを投げつけてバイトクローを断って奪回。リキャスト・バーストとして電次元ソニックとデストロイ・メルトレーザーの一斉掃射とともに戦線を離脱。彼は殿としてオール・フォートレスと一番隊を月から撤退させることに成功したのだ。


・玲也が電次元へ向かった事は電装マシン戦隊内の極秘事項として扱われることになった。最もアンドリューは帰還した玲也に鉄拳制裁する。ニアとリンは自分たちも同罪だと彼を擁護すると、アンドリューは「俺はおめぇのやったことを否定するつもりはねぇ」と玲也が電次元へ向かった事自体は間違っていない選択だと評し、実際4人のハドロイドを転送させた功績は大きいとの事だった。だが電次元へ向かう事を独断かつ不確かな方法で挑んだ為に、電装マシン戦隊が大規模な軍事行動を起こさなければ彼を救うことが出来なかったと指摘。それだけの迷惑を周囲にかけたとしてケジメの為に一発殴らないといけなかったのだ。最もアンドリューは「次やるならもっと上手くやれ」と励まし、処分について極力軽減されるよう全力を尽くすと約束した。玲也は自分の軽率さを反省し、バグロイヤーを退ける為、父を救うためには耐えて力を蓄えることも大事だと改めて思うのだった。


・その頃玲也が回収したカプセルから一体のハドロイドが目覚めた。だがそのハドロイドの名前はウィン・スワン……玲也が殺めたポーの姉だ。

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