第11話「月は地獄か!?ドラグーン・フォートレス発進せよ」~ストーリー構想など~

・玲也とリンが意識を取り戻すと、彼らはマックスが率いる反バグロイヤーのレジスタンス勢力に保護されていた。彼らは自分たちがバグアッパーに搭乗して電次元へ漂流した訳だが何故レジスタンスの面々が自分たちを仲間と直ぐみなして受け入れているのか。どうやらバグアッパーに通信機が取り付けられており、その通信機からは何とゼルガの声が……どうやら自分たちが電次元へ向かった事を既に知っていたようで、その上でマックスへ彼らの保護と協力を要請していたらしいのだ。


・そして目の前のマックスはゼルガの腹違いの兄で、表向きゼルガの打倒とともにバグロイヤーへの抵抗を続けているが、ゼルガの打倒はバグロイヤー側にゼルガが彼らへの犯行計画を看破されないようにするためのカモフラージュだという。そもそも側室の母を持つ自分と異なり、正当な世継ぎとしてアージェスの当主としてバグロイヤーに対して、民を守ることと今後の反乱に備えて力を蓄えることを選んで屈したという。マックス曰く自分ならば真っ向から立ち向かっていたかもしれないと自虐めいた様子で語った。


・そもそも玲也達が何故電次元へ向かったのかマックスは問う。玲也は地球側で反バグロイヤーの機運が高まっており、ハドロイド達も迫害されようとしている危機から戦争を早期に終わらせたかったとの事で、冷静さを欠いていた行動ではないかとも少し躊躇する。マックスは本拠地を突き止めてもゼルガからの報告のデータを見る限り、現在の電装マシン戦隊では戦力の差が歴然。早まっても無駄だと厳しい現実を告げる。それだけでなく彼が秀斗の息子だとの事もゼルガから聞いていたようだが、彼らはレジスタンスへの技術提供で積極的に動き回っているが、その消息は自分たちも正確にはわからないとの事。


・電次元へ飛んでも得られるものはないのかと、玲也は落胆しそうになるがマックスは焦っていると視野が狭くなるとの一言。その時に備えて力を溜めることが必要であり、実際地球側に新たなハドロイドが送られるとの情報を知る。今度のハドロイドについてニア達よりスペックは若干劣るもののコストや生産性を優先したタイプであり、戦力差を埋める足掛かりになるかもしれないとの事。現在ディエム、ピエムの2拠点で同時に計画が進行しており、合計6体が転送されるこの計画を護衛する作戦が進行しつつあったという。リンはこの計画に対してダメもとで弟・イチの行方が分からないかとマックスに問う。データリストに彼らが目を通すと、どうやらイチがディエムにいるとの事らしい。これにリンは驚きを隠せない。バグロイヤーに襲撃された際に既にハドロイドになった弟はその点を狙われて拉致されていたのだが、彼はレジスタンスの活躍で奪取されていたとの事。リンはイチと再会して一緒にドラグーン・フォートレスへ帰りたい胸の内を明かし、玲也も彼女がその為に今まで戦っていたと、彼女の心情を汲んでマックスに作戦へ自分たちも協力する条件で彼女をディエムに向かわせてほしいと頼む。マックスは少し考えたがリンへ弟と再会して戦いが終わるわけではないと心得ているかと確かめた上で、彼女の心境に変わりはない事から承諾するのだった。


・最もハドロイドとして有事に備えてハードウェーザーを展開する必要があるかもしれないとマックスは気づいた。この事に玲也は電次元でハードウェーザーは展開できないのでは?と尋ねると表向きはそう通っているが、ゼルガが次元間電装機を太陽系へ1基持ち出している為可能だとの事。だがハードウェーザーをゲノムで展開するとバグロイヤーにゼルガが怪しまれる可能性があるため本当非常時に限られるとの事。また電装についてレジスタンス側がゼルガの元へ送ろうとしていたデュアル・メメント・モリの2号機を使えば可能だとの事。トレーラーにデュアル・メメント・モリを積載してピエムへ向かう事になる玲也達だが、自分たちがゼルガの力を借りなければいけないかもしれない状況に若干複雑だった。ゼルガは本当に信頼してよい人物だろうか……。


・その頃、ニアはレランとアルーラの夫妻に保護されていた。ゲノムへ飛んだ衝撃でニアは弾き飛ばされて行き倒れになっていたようで、彼らに対してニアは孤児院での虐待に耐えかねて逃げ出したのだと偽る。この事に対して二人は親身に接しており、特にアルーラはまるでニアを妹のように、そして娘のように見なしていた。最初は彼女たち二人に合わせる様子だったが、この漂着したこの家が孤児院の近くにある事をニアが気づいた。ゲノムの家で平穏な暮らしが送れるのは何時以来の事か……。そしてレランとアルーラはゲノムで傭兵として生計を立てているとの事。彼らはバグロイヤーへの反抗運動を続けているのだろうか……ニアは自分の正体を明かそうとするも、その彼らがまるで普通の親のような様子でいる目の前の光景に対して、なぜか明かすことが出来なかった。どうやら深夜に仕事があるとの事でニアは自分も同行してよいかと尋ねる。これに二人は快諾しており、それまで体を休めなさいとの事。ニアは枕元でママ……と呟く。だが彼女の脳裏には幼いころ自分を捨てて姿を消した母の後ろ姿が思い浮かび、涙で枕元を濡らしていた……。


・一方ドラグーン・フォートレスではネクストが消息を絶った場所から月面にゲノムへの入り口があることを突き止め、玲也達の救出計画を発動する。表向き月面のバグロイヤー前線部隊の本拠を奪還すると発表し、天羽院らバーチュアスグループの支持を得た。最もそこまでの大義名分がないと玲也を救出することが出来ない状況にアンドリューは余計なことをと愚痴りながらも、玲也が強敵と感じたゼルガとの戦いへ念入りに準備を進める。また玲也たちを救出して電次元ジャンプで帰るには距離と燃費の兼ね合いから、ドラグーン・フォートレスを直接前線へ向かわせる必要があるとの事。本来フォートレスは大気圏内外でプレイヤーたちの転送を繋ぐ中継地点としての役割があるが、有事に備えてバトル・フリート、いわば戦闘形態に変形することが出来るのだ。かくしてビャッコ、フェニックスからの援軍で派遣されたディエスト、ダブルストとともに月面へと向かう。

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