第10話「40万km、電次元への挑戦」~ストーリー構想など~

・南極地上基地壊滅、休戦条約を建前にしたバグロイヤーの卑劣な騙し討ちに世間が反バグロイヤーの感情が高まってきている。最もそれは電次元側の人間を悪とみなすような風潮も高まっており、ニア達にとっては若干複雑な心境でもあった。


・その折、天羽院はエスニックらへ電次元を超えてバグロイヤーの総本山の奇襲作戦を提案していた。惑星ゲノムへつながるバグロイヤーの前線とのゲートを発見して、その穴めがけてファイナル・アポカリプスという巨大レーザー砲を一気に掃射するというものだった。エスニックはこの作戦が電次元の人々を一方的にせん滅しかねない内容であり、ゲートから繋がる惑星ゲノムの様子を探る斥候役が巻き込まれるだけでなく、二度と戻れない可能性もある事から人道に反する事と反対していた。


・その下りを玲也が知ると、アポカリプスによるせん滅は避けるとしても、戦争を早期に終わらせるには少なからず総本山を抑えることが大事ではないかとエスニックに意見する。彼の主張に対してハードウェーザーは電次元側にある次元間転送機によって、次元を超えた先で具現化することが出来るメカニズムなので、同じ電次元で具現化できるかわからないとの理由でブレーン博士が反対。アンドリューもお前らしくない、感情に走っていると窘める。バグロイヤーの騙し討ちによる殺りくの光景を目のあたりにして彼は冷静さを失っているのかもしれないのだと。


・玲也はその後落ち着こうとするも、町並みで電次元関係の追放運動、はては電次元との友好目的だった使節たちをこき下ろす運動まで行われている様子を見ると悔しさが胸の内からあふれ出そうになった。自宅に帰った玲也は父さんや散っていった面々の行いが無意味なのか、ニア達電次元の人々が地球を守るためにハドロイドとして共に戦っていることを世間の人々は知らない事を悔しがる。彼の様子を目のあたりにしてニアはあたしだって悔しいことを明かす。バグロイヤーにゲノムの人々が支配されて苦しんでおり、自分の仲間たちやポーも彼らに殺されたようなものだと……。


・さらにリンも珍しくニアと同じ電次元を超えてみることに価値はあるとのスタンス。オール・フォートレスに拉致された際に、電次元へつながるゲートらしき場所のデータを手に入れていたのだとも明かした。その場所はドラグーン・フォートレスから大分遠い月面にあり約40万㎞の距離。どうやら電次元ジャンプを併用して片道が限界かもしれないとの事。だがネクストなら、電次元ジャンプに必要なエネルギーが少なく、ゼット・チャージャーによるエネルギー回復を併用すれば往復できる可能性はあるとの事だった。


・玲也はこの作戦を密かに進めたいことを二人に明かした。ゼルガの騙し討ちは許せないが、それで電次元の人間を悪とみなす世間の風潮に対しては、ニアやリン、エクスとともに戦っている身からすれば耐えられない事だと。その様子にリンはともかくニアも素直に彼を称賛した。ただ自分も一緒に連れて行ってほしいとニアは頼むが……この作戦はネクストだけあれば出来ると玲也は考えていた。しかし彼女のバグロイヤーへの憎しみは強く、リンからも彼女の気持ちを汲んでほしいと頼まれる。これに玲也は確かに一人ぐらいなら有事に備えて同伴させるのも必要かもしれないと承諾。ニアは正直そこまで玲也がしようと思うとは考えていなかっただけに、少なからず今回は嬉しいと明かしながら、3人で作戦を成し遂げんと決意する。なおエクスもその話を後で知ってやはり同伴しようとするが、そもそも彼女の性格的に問題がありうる事、だれか1人は残さないと怪しまれるとの事で、一応後で事情を伝えたシャルともども留守番が決まった。エクス本人は凄い不満だったのは言うまでもない。


・そして定期パトロールの最中にネクストはトランスクロスを展開してドラグーン・フォートレスとの連絡を絶ちながら、電次元ジャンプを繰り返す。だが月を目前にしてヨハミ・アン率いる偵察部隊サーチャークローに見つかってしまった。バグアッパーの編隊が飛び交う中応戦するネクスト。楽々と片っ端から仕留めていくが、次元を超えてからの事態を想定するとバグアッパーを鹵獲して自分たちの機体として動かすことが大事ではないかとの事。その為コクピットを狙ってバグアッパーを機体の損傷を最小限にして稼働に支障をきたさないようにしなくてはならない。玲也はバグロイヤー兵へ投降を呼びかけると彼は躊躇するのだが、ヨハミが彼もろともネクストを仕留めようとした。間一髪回避するも、目の前のバグアッパーは彼により撃墜された。平然と部下を殺すヨハミのやり方に玲也はレミーの殺りくを思い出し、憤りを抑えつつもアサルト・ハーケンでコクピットを突き刺して彼を仕留める。


・だがこの戦闘でトランスクロスが破れ、シャルとエクスでこのことを隠し通せず、ドラグーン・フォートレスに自分たちが見つかってしまう。かといってこのまま引き下がったらこの作戦の意味がなくなる。ニアがバグアッパーのコクピットに乗り込んだ時、ネクストはビーグル形態で彼にけん引される形で、鹵獲したとバグロイヤー側を誤認させて月面へと接近。大気のある区域に到着するとネクストの電装を解いて玲也とリンがバグアッパーへ同乗。狭いコクピットの中なんとかゲートをくぐるバグアッパーだが、次元を超える時の衝撃は想像を絶するものであり、3人はコクピット内で意識を失ってしまった……。

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