第9話「いつわりの休戦条約」~ストーリー構想など~

・玲也達はドラグーン・フォートレスへ脱出する事に成功した。これにシャルやアンドリュー達は安堵するものの、肝心の休戦条約についての懸念が残されていた。天羽院や国連に半ば押し切られる形で承諾してよかったのかと……。その折にコイとカプリコフから通信が入った。ビャッコ・フォートレス付近に謎のコンテナと遺体が散乱しており、それを調べると解放される予定だった使節の面々と一致するとの事だった。この事態に玲也は慄いた。休戦条約は罠だ……!と


・その予感は不幸にも的中した。南極地上基地に現れた輸送船にはバグリーズが積載されており、彼が一方的に地上基地を破壊する。このだまし討ちに高官たちは激昂してゼルガへ問うも、ゼルガではなくサーディーに通信は繋がり、「バグリーズが捕虜たちに代わって潜伏していたのに気づかなかった。会談の終了時間が終われば責任をもって処分する」と白々しい返事しかなかった。PARの兵士が報復に攻撃をしかけようとするが、バグリーズは別のコンテナへと身を隠す。そのコンテナには惑星ゲノムの人々……それも四番隊の生き残りたちが縛り付けられていた。レミーは彼らが自分の出世には邪魔だと、サーディーと共謀して自分の盾代わり、さらに地球人が彼らを殺戮する様子をバグロイヤー側に見せる蹴ることで、彼らの怒りや憎しみを刺激して戦争の泥沼化を図っていたのだ。


・このままでは南極地上基地が壊滅し、バグロイヤーに南極が支配されてしまう。バグロイヤーの大気圏内進出を回避するため玲也はクロストで南極に降り立つことを決意。ゼット・フィールドを展開して地上基地や四番隊の面々が捕らわれたコンテナを守りながら、バグリーズの進軍を阻む。もし攻撃を仕掛けたら自分たちが処分されてしまうと防戦一方のクロストだが、一方会談の終了時間が過ぎてしまえば今度は自分が始末されてしまうと南極を制圧できれば自分の勝ちだとレミーは焦る。そこで四番隊の面々ごとコンテナに仕掛けられたリモコン爆弾を起爆。この爆発に巻き込まれたクロストのゼット・フィールド発生装置が破壊されてしまった。


・南極が危うい……クロストが身を挺して南極地上基地を守ろうとしたその時、リキャストが参上した。彼の放つデストロイ・レールキャノンがバグリーズを粉砕、だが終了時刻までまだ時間があり、この責任を取るかのようにリキャストは自爆して果てた。だが玲也は目の前のリキャストがゼット・ミラージュによる実体のある分身を爆破した芝居に過ぎないと見抜いており、実際ゼルガは遠隔操作でデュアル・メメント・モリを実体のある分身に連結させてあたかもリキャスト・バーストとして戦っているように見せかけた上でその機体を自爆させてあたかも責任を取って死んだと見せかけていたのだ。玲也はゼルガはこの戦いを終わらせようと自分たちを騙して、地球への侵略の糸口をつかもうとしていたのではないだろうか……レミーはともかく、この謀略に利用された四番隊の面々は全滅、PAR南極地上基地もほぼ壊滅の状況に追い込まれた。休戦を望んでいた天羽院が自分が浅はかであり、バグロイヤーを断固として叩かなければいけないと訴える様子に、玲也は内心彼に対して複雑ながらも今はゼルガへの憎しみに駆られていることを認めざるを得なかった。


・一方ゼルガは再度話し合いの場を持とうとするも、騙し討ちの件から誰も取り合ってくれることはなかった。彼は出来る事ならばあの時自分がそこで死を選びたかった。自分が課した条約で自分が裁かれた方がよかったのではとも……だがまだ自分はここで倒れる訳にはいかないのだと諦める訳にはいかなかった。穏やかな物腰ながら、彼は前線の司令官の立ち位置で泥沼化した戦争を終わらせなければいけないと決意を新たにする……。

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