引きこもり高校生のブンゴは、師匠「テキサスの荒馬・テリー」に救われる。師の教えを曲解したまま、ブンゴは裸で突き進む!
この主人公、「引きこもり高校生」なんて言うからヨワヨワしおしおのボクちゃんかと思えばさにあらず。とんでもない負けず嫌いで敵も味方も煽りまくり、脱ぎまくり脱がせまくり、悪霊やなんかを祓いまくるぶっ飛んだ男です。
他の登場人物も、風変わりな二つ名を持つ特濃キャラ。全員変人、だけどどこか憎めなかったり。
そんな彼らが巻き起こす破茶滅茶かつ壮大な戦いと、淡々と綴られる文章のギャップに脳が揺れます……が、読み進むうちに慣れてきて心地良ささえ覚えます。そして度々出てくる「全裸」という言葉に抵抗感が無くなり、いつしかブンゴの脱衣シーンを待ち望む自分を発見するでしょう。信念を貫く男の全裸には、力があるのです。
ところどころで何か深イイことを言っていたような気がしますが、怒涛のナンセンスに圧倒されて定かではありません。
とにかく、世に『退魔師』の作品は数あれど、それらとは一線を画した怪作。クセになる面白さです!
読者がまず目にするのは、次から次へと休みなく襲い来る波状攻撃!
攻撃してくるのは、敵だけではありません。
笑いが、不条理が、変態が、主人公・ブンゴを筆頭に読者を襲います。まさに聖剣「井上エクスカリバー」を振り下ろすがごとく。
読んでいるとだんだん感覚が麻痺してきますが、理性が崩壊しきったかのようなこの世界をそれでもちゃんと作品として支えきり、見事昇華させた作者の筆力には舌を巻きます。
全裸は偉大。全裸は無敵。
読み終わるころには、三美神のストリップに魂を抜かれ、鞭少女の鞭にからめとられ、気がつくと少年の全裸を讃えていることでしょう。
スカッと笑いたい、愉快なキャラクターに会いたいという方に、この上なくおススメです!!
登場人物たちは主人公のブンゴ君をはじめ、基本的には全員マジメなはずなんです。……はずなんですが、気がつけば裸になっていたりゲ○まみれになっていたりカオスなことになっています。
また、作者さまも非常にまともな方なはずなんです。構成力、読みやすい文体、キャラクターの心の機微を描く表現力。そういった文才に溢れる方が手掛けた物語ですから各回の冒頭はだいたい『あれ? 今回マジメな回か?』となるんですが、気づけばやっぱりカオスなことになっています。
それに、一読者の私も至極まともな人間のはずなんです。はずなんですが、この作品を読んでいると『退魔師たる者やっぱ裸になれないとなー』などとこの作品を読む以前ではありえないカオスなことを考えてしまうようになってしまいました。人はこれを『洗脳』と呼ぶのでしょう。誰か助けてください。
ただ、この作品を読み終えた方は全員私のようになってしまっていると思います。
愛すべきおバカなキャラクターたちが織りなす中毒性の高い物語なので、読まれる方には事前に覚悟が必要かと思います。
それこそ『裸になる覚悟』をもってお読みください。
私は責任取れないのであしからず。
コスプレは仮の姿。では普段の貴方の格好はどうですか?
多くの人が己の真の姿を偽り、本当の強さを誤認し、覚悟のないまま生きている。
これはそんな理を暗に仄めかす秘伝の書。
そう唆されて開いてみると魂消ます。
重厚な雰囲気を全身から醸し出すテリー組長が率いる『たましずめ組』
この退魔組織に引き入れられ、高校生活の傍ら退魔師としての修行を始める主人公ブンゴ。
このブンゴはまるで悪霊ホイホイ。
吸い寄せられるように次々と湧いて出る者全てが奇妙奇天烈。
読者としては『濃いキャラ頂上決戦(通称K-1グランプリ)』を観戦しているようでもあります。
兎に角アンダーグラウンドの根深さを見せつけられること間違いなし。
初めは弄ばれるように闘い方を知らなかったブンゴは本当の強さが自分の内にあることに気づきます。
身につけたその秘技はアレとアレ。
コメディタッチの文体とストーリーを紐解き、一枚二枚と脱がせてゆくと、いつの間にか、自分もやらねばならないような気になるやも知れません。
のうのうと生きてきた自分の方が奇妙奇天烈かも知れないと。
といった事を、構えず教えてくれる作品です。
ちょっとだけブンゴの恋愛要素も垣間見ることができます。
どうです? 魂消てみては。
主人公の二つ名は古の剣豪『疋田豊後(ひきたぶんご)』、自身に憑りついていた悪霊を祓ってもらったのをきっかけにいとこのテリー組長が創設したたましずめ組の構成員になります。ええ、ヤクザ組織ではありません。立派な退魔組織です。
もうね、テリー組長のパンチ力が半端ないんです。霊能力を持ち合わせてないのに堂々とした態度、威圧感。私はくぎ付けでした。彼はアメリカ帰りの凄まじい個性で豊後を導きます。
終盤は色々な組織との駆け引き。大丈夫、彼は負けません。脱ぐことが出来るものは強い。豊後はそのことを身をもって教えてくれました。
豊後は脱ぎます、そして吐きます。
命と尊厳をかけた戦いがそこにある!
自らを鎧うものを、全部脱ぎ捨てたのなら……
我々に残るものは、いったい何か。
……「裸」である―
この物語は、主人公、引田文悟が持ち前の霊能力を駆使して、あやかしやその類の輩を成敗していく勧善懲悪なストーリーに見せかけた、深淵たる「裸道」を説く人間曼荼羅である―
自らを背水へと追いやり、死中に活を求める崇高たる行為、「裸」……
読了後は、あなたもきっと、素のままの自分で市中に喝を唱える逸材となること請け合いですぞ!(条例は要確認
そして私は、幼き頃、最寄り駅にかなりの頻度で出没した、「全裸おじさん(靴と靴下だけ装備)」のことを痛烈に思い出したのだった……ごく自然な、凪いだメンタルで構内を闊歩していたあのおじさん……彼も今にして思えば「裸道」の体現者だったのかも知れない……(どうでもいい
と、とにかく、軽妙な語り口で、ツッコミも全然追いつかない速度で話はどんどこ進むから、置いていかれないように気を付けるんだからねっ!!(凍★土
えーっと、本作はギャグ的成分多めの心霊退治モノで不思議異能バトルモノです、多分、間違ってないはず……。
この曖昧な表現の理由は、読んでいただければ、お分かりいただけると思います。
作者様の独特なネーミングセンスや、キャラ造形センスにより、コミカルで軽快に読めつつ、展開に衝撃を受けたり笑えたりしつつも、時に考えさせられるものもある、そんなストーリーになっています。
ここぞというときに、主人公が脱ぐのも、回数を重ねると、「いつ脱ぐんだ、彼は?」になるから不思議です。
読者側を慣れさせている……その意味では恐ろしい小説なのかも!?
文字通り裸一貫で悪者と戦う彼は多分格好いい。
物語の登場人物が皆、単純な正義とか悪ではないところがいいのだと私は思います。