極上のチョコレート。さあ召し上がれ!

とかく大人になると、色々と角を削られて丸くなるものです。
いいことは多い。でもちょっと寂しいところもある。

泥より出でて泥に染まらず。
泥の蓮池に咲く美しい蓮の花のようなイメージ。
ちょっと変人なエリート主人公だけど、なんと真っすぐにすっくと咲くことか。
分かってるし、配慮できるし、底に強さのある優しさがある。

相手を想う。視点を相手側に置く。ひたすら相手の幸せのために行動する。
欲というのは自分本位。
それはそれでとても人間らしくて、それがあるからこそ人は熱を持って前に進めるものだけど。
ただ、この主人公はそれを超えてる。
だからこそ周り全てを巻き込んで、みんなを幸せに導いていく。
もちろん自分も含めて。

ピュアなんです。ひたすら澄み切って美しい。だからこそ引力がある。

大人になると色々と諦めがちです。そんなものだと動く前からやめてしまう。
それでいいこともある。ただそれって何か違うと思ったままだとしんどい。

この小説の登場人物はみな、スイッチを押す手前だったのかなと。
主人公がパチリと入れた途端に、全てが連鎖して一気に花開いた。

純粋で真っすぐ。美しくて時々コミカル。深みのあるビタースイート。
極上のチョコレート。さあ召し上がれ!

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