第4話 やる気 と 自習

◇4◇


「……ふぉおふぁんだひょふぁ~? ……んっ、はぐ、んご……ふぁふぁら……んご、んっ……ふぁふぁふぇるふぁ――ふごっ! ~~~ッ」

「食事中にしゃべらない! ……はい、お水?」

「んぐんぐんぐ……ぷはぁ! ……ごめんなさい」


 あまねるとの過去を思い出していた俺。


 ――「そうなんだよな? だから、あまねるが」小豆に対する彼女達の行動を知っていたのなら、平然としていられるとは思えなかったんだよ。


 って、弁当を頬張りながら途中まで口にしていると、突然後頭部に衝撃が走るのと同時に、こんな言葉が聞こえてきた。

 俺が振り向くと、目の前にはムッとした表情の明日実さんがコップに水を入れて差し出しているのが映し出されている。

 コップを持つ反対の手をプラプラと振っているところを見ると、後頭部の衝撃は水平チョップだったのだろう。なんか痛そうだなぁ。

 ……実際には俺も後頭部が痛いんですけど、医者の不養生ふようじょうと言いましょうか。校医が怪我をしているので手当てをしてもらえなさそうです。

 俺は手当てしてもらうことを諦め、無言で会釈をしてコップを受け取ると水を一気に飲み干してから、彼女に色々な意味で謝罪をしたのだった。


「まったく……あんたが授業中なのに突然保健室に来て、お弁当食べるから机を貸せって言ってきたんでしょうが! ……他ならぬの頼みだから黙認してあげてんだから、綺麗に使いなさいよっ!」

「……ごめんね、ママ――おごっ!」

「……あんたみたいな常識知らずで生意気なガキを産んだ覚えはないし、私はまだ……もう少しだけ独身よ?」

「……」


 自分で俺のことを「息子」だって言ったくせにさ?

 素直に謝罪をしたら拳骨をもらっていた俺。理不尽だし、また吹き出しそうになっていたじゃないか。

 まぁ、弁当は水で飲み込んでいたから大丈夫だったけど。あと彼女の言葉は事実ではある。

 中学時代に俺を面倒見てくれていたから、俺が勝手に「もう一人の母親」だって思っているだけなんだ。

 きっと、かのはシリーズのビビオちゃんが『ファイトママ』を想う気持ちに似ていることだろう……。


 ――でも、これって立派な暴力ですよね? 訴えるぞ!

 そんな意味を含んで睨んでみたんだけど、彼女が自分の左手を眺めながら幸せそうな笑顔で呟いた「私はまだ……もう少しだけ独身よ?」の言葉に、文句を言えずにいた俺。


 俺は視線を彼女の左手に移していた。正確には、彼女の左手の薬指で蛍光灯に照らされて光り輝くシルバーのリングに。

 そう、彼女は俺達の卒業を待って、自分も独身を――『菜津賀なつか先生』を卒業するのである。

 そして晴れて来春には『江田こうだ先生』として入学する訳だ。いや、別に本人的には卒業も入学もしない。うん、苗字が変わるだけなのさ。

 それと関係ないけど、苗字が変わっても白衣の天使の呼び方は継続するだろう。そこは既に後輩に託しておいたので大丈夫だ。後輩達よ、頼んだぞ!


 とにかく、彼女の結婚は素直にめでたいと思う。喜ばしいことだとは思う。

 だけど、正直に言えば彼女が『婚約者である江田さん』と知り合ったのって、俺が中一の時。まぁ、交際を始めたのは俺が高校に入学した時なんだけど。

 もう高三の俺としては「まだなの?」って感じていたんだよなぁ。

 もしかして、あれかな……「不肖ふしょうの息子が無事に高校を卒業するまでは安心してとつげない!」ってことなのかな?

 いや、単に婚約者である彼が奥手でヘタレなだけだな。うん、俺は悪くない! 


 ……ああ、実は婚約者のことも知っているんだけどね、俺。

 恥ずかしながら俺がキューピッドになったようなもんだし。まぁ、自発的にキューピッド役を買って出たのではなく、黒歴史時代に俺の馬鹿な行動によって引き合わせたってだけだから、思い出すだけで恥ずかしいんだけどね。

 本当、引き合わせた頃。彼女にはさんざん苦労をかけていたからなぁ。幸せになってもらいたいと願っている。

 そんな理由で……ご祝儀しゅうぎ代わりに『暴力に対して言おうとしていた文句』も、お弁当と一緒に頬張る俺なのであった。

 いや、明日実さんの幸せじゃ胸もお腹も膨れないからね。まずは自分のお腹を満たすことに専念するのだった。

 

 そう、ここは保健室……だからそばに明日実さんがいるのだけれど。

 明日実さんが普段使っている机を拝借はいしゃくして、お昼に食べ損ねていた弁当を食べているのである。まぁ、だから机の上にボロボロとこぼされたら大変だから怒ったのだろうけど、いきなり後ろから叩かれたから吹き出しそうになっちゃたじゃないですか。小豆の作ってくれたお弁当がもったいないでしょ!

 まぁ、大丈夫だったので、別にいいですけどね。

 

 では、なぜ俺が保健室にいるのかと言えば――。



 休み時間が終わるギリギリまでお手洗いにいた俺。

 小豆の悲しい声を脳内で再生していたこと。

 いや、生徒達に配られていた手紙の内容を知って、最近の小豆の言動に『彼女達』が関係していると疑っていた。

 小豆とあまねるへ向けられていると思っていた『火の粉』。

 でも、さっき廊下で会ったあまねるの態度からは知っている素振りを感じられなかった。

 つまり、小豆にだけ集中していることなのだろうと考えていた俺。

 あくまでも自己解釈の範囲でしかないが、可能性は十分あると思う。


 ……もしかしたら、そんな俺の不確定な恐れが、脳内で小豆の悲しい声として再生されたのかも知れない。

 もしかしたら、小豆は既にそんな想いを抱いて助けを求めているんじゃないかって、な。

 辛くて悲しくて涙を堪えながら笑っているんじゃないかって、さ……。

 

「――ッ! くそったれ……しっかりしろやっ、霧ヶ峰善哉! ――くっ!」


 小豆のことを想い、俺の心に再び冷たい風が吹き荒れようとしていた。

 だけど、もう、俺は自分を襲う悲しみに負けていられない。逃げる訳にはいかないんだ。

 だって俺が小豆に「許して」なんて言わせてしまったんだから。許しを請うのは俺なんだから。

 結局「守ってやる」なんて言っておいて、守れていなかっただけなんだ。

 俺は鏡に映る自分を睨みつけながら叫ぶと、両手を自分の頬へと力強く叩きつける。

 お手洗いに響いた甲高い音と頬に走る痛みで脳内の声を掻き消していた俺。


「すぅー。はぁー。……よし! 俺は負けねぇ……いいか? お前なんかには負けねぇ! あいつは絶対に俺が守ってやる。俺があいつを笑顔にさせてやる。だからお前は殻に閉じこもって、そこにいやがれっ!」


 そして深呼吸をした俺は、鏡の中で俺を睨む自分に向かって言い放つ。別に二重人格ではないけどさ。

 それまでの弱気な自分を鏡の中に閉じ込めて、強気な自分が表に出てくるような。

 そんな自己暗示をかけていたのだと思う。

 小豆のことを絶対に守ってやれる、強い自分になる為にな……。


「……さぁて、教室戻るか! ……あ? ……」


 気分をふるい立たせて、勉学へのやる気を出していた俺。

 うん、今まで勉学にやる気を出したことはないんだけど。授業中に小豆のことでやる気を出しても不完全燃焼するだけだからさ。周りに迷惑がかかるので却下しておいた。

 とは言え、せっかく奮い立たせたんだし、たまには勉学にやる気を出しても怒られないと思うのですよ。

 ほら、「学生の本分は勉強だ」と言う言葉の素晴らしさや効果も――

「この世のすべてをそこに置いてきた」と、死刑される直前に言い放っていた某海賊王の財宝と一緒に眠っていることだろう。だから探し当てた海賊には財宝なのだと思う。

 まぁ、俺は海賊ではないので探し当てたことがないから、その言葉の素晴らしさが理解できないのですが。

 レプリカ程度の言葉を疑似ぎじ体験してみるのも、学生ならではの楽しみと言うことで許される遊びなのだと思います。


 そんな訳で勉学に擬似やる気を出していた俺は、教室に戻る為にお手洗いを出てきた。

 その瞬間、俺の鼓膜に授業の開始のチャイムが聞こえてくる。す、少し長居ながいをしすぎたようだな。

 今から頑張っても遅刻は確実なので、のんびりと歩き出す俺。なんとなく、やる気が薄れていく感覚に陥っていたのだった。

 って、俺のやる気のやる気低っ! もっと頑張れよ、俺のやる気のやる気!

 まぁ、アニメを視聴していたら臨時差し替えで、国●中継になったようなものかな。

 それは出ないわ……無理言ってごめんな、俺のやる気。深夜に国会●継なんてないけどさ。


「……ととのいました。……やる気とかけまして~、香さんとあまねるの心とときます~。そのこころは~、どちらもスイッチが見当たらないでしょう~。……ぅぅぅ、おあとがよろしくないようで~」


 なんとか、やる気を起こそうと唐突に謎かけをしてみた俺。いや、授業中なので廊下に誰もいないから気が大きくなっていたのだと思う。それ自体が謎だけど。

 だけど余計に俺のやる気が出なくなっていた。当たり前だけど。

 まぁ、やる気は出なかったけど代わりにむなしさと悲しさが出まくっていましたね。だめじゃん!

 

「……あ、小豆……ふぅ~」


 なんとか小豆を思い出して、小豆の甘えた可愛い笑顔で回復していた俺なのだった。さすあず、さすあず。

 まぁ、小豆の場合は早急に壊れた心のスイッチを取り替えていただきたいところですがね?

 お兄ちゃんのスイッチが、最近小豆のスイッチの壊れ具合が正常なんだと勘違いを起こしているので……。


「……うーん……」

  

 とりあえず落ち着きはしたけど、やる気の出ない現状に悩んでいた俺。

 いや、やる気が出ないと困るんだよなぁ。別に勉学に対しては気にしていないけどさ。

 だって既に授業は開始されているのです。つまり重役出勤を決行することになるのです。単なる平社員ですが。

 そんな平社員が重役出勤などすれば教室の扉を開けた瞬間、注目を浴びることになるのです。

 更に言えば大半の生徒達の脳裏には、昼休みの『香さんの一件』がトレンドに追加されていることでしょう……さすがに数分前では誰も忘れてくれないと思うのです。

 要は、好奇な視線を浴びながらでは自分の机にすら到達できないのですよ、今のやる気程度では!


「……ふぅ……」


 そう判断した俺は一度立ち止り、軽く息を吐き出すとポケットから携帯を取り出していた。

 そして画面を操作して『スイカの画像』を探し出す。

 うむ、今度は心を躍らせる必要があるからな。スイカを眺めて英気を養おうと考えていた。


「……ほう……ほほう……ふむふむ……うほっ……うぉっ! ぅぉぉぉおおお……」

『~♪』

「……ぅぅぅ……ふぅ」


 だけど悲しきかな。

 ハード面については何もカスタマイズされていないとは言え、数分前にソフト面の完全アップデートが完了していたことを失念していた俺。うん、最終融合承認していたんだっけ。

 つまり、アズコンを認めている俺にとって『スイカの画像』は危険なのだ。公共の場ではな!


 なんと! 

 今まで標準装備されていたABSアンチロックブレーキシステム的なリミッターが、アズコンには当然だと言わんばかりに装備されていない。どんなリコール商品なんだよ!

 それどころか……同じABS表記の『小豆暴走システム』が装備されているのだ。って、詐欺じゃねぇか!

 まぁ、オーダーメイドみたいなもんだし周りには被害がないから安心だな。安心なのか? まぁ、いいや……。

 

 そんな状況である現在、学校の廊下で『スイカの画像』を眺めると言う行為。

 それは――天ぷら油の火災に水をかけるようなもの。やってしまいがちだが、決してやってはいけない行為なのである。何故ならば……。

 やる気を起こそうとしていただけのはずなのに、俺の心を合戦へといざなうのだから! 俺を「出陣!」へとり立てるのだから!

 そう、いざ行かん……お手洗いへ!

 そんな御旗みはたのもと、戦地へとおもむくがごとく、踵を返して再びお手洗いへと歩き出そうとしていた俺。

 でも、その瞬間。

 たぶん校庭では体育の授業があるのだろう。窓の外から「ピィーッ」と言うホイッスルの音が聞こえてきた。俺の視界に見えないはずの『イエローカード』が映し出される。

 そこで我に返った俺は恥ずかしさから、その場に座り込んでうめき声をあげていたのだった。

 うん、次やったら退場させられちゃうね。と言うより、出陣してたら一発退場だろうけど。


 ホイッスルの音で我に返った俺は、自分が『ナニ』をしようとしていたのかを思い出して愕然がくぜんとしていた。

 ま、まさか『スイカの画像』で暴走するなんて……と言う件についてはノーコメントですが。うん、いかにも『暴走をしたことがない』ように聞こえるからさ。

 それはさすがに「出陣に頻繁に加勢してもらっている」相棒に対して失礼だろう。

 だけど、学校で暴走……「学校のお手洗いで出陣をしようとするなんて」と、自分で自分に呆れていたのである。

 なんとか出陣背徳の誘惑を断ち切っていた俺。まぁ、その場にうずくまっていたので歩けなかったとも言えるけど。

 落ち着きを取り戻して軽く息を吐き出すのだった。


「えっと……ほうほう……え……あれ? って、おお……」


 俺は携帯を操作して、『女神』の画像に切り替えた。

 正直やる気が出るかは疑問だったけどさ。『ほっこり』するのが目的の画像だから。

 でも暴走するよりはマシかなって思って眺めていた。だけど。

 アズコンを認めた俺には、女神への感じ方ですら違っていたのである。

『ほっこり』して心を落ち着かせるのが目的の画像。それが、今は湧き上がるやる気を感じていた。

 そんな違和感に驚いた俺だけど、目の前の女神を夢中になって眺めていたのだった。


 まぁ、理由なんて簡単だろう。

 今、目の前に映し出されている画像は前から変わらない。変わったのは俺の気持ち、記憶、想い。そんなオプションが俺にやる気を感じさせている。

 そう、それまではかたくなに封印していた『小豆と一緒に眺めている女神』って部分の気持ちが加わって高揚感こうようかんを生み出しているのだろう。

 もちろん、俺自身が女神達にかれて好きになっているのは事実だ。求め続けるのも、俺が「そう望んでいる」からなのだ。でも……。

 まぁ、あいつはアニオタだからなのかも知れないけれどな。

 隣で女神達を眺める小豆の嬉しそうな笑顔。可愛いって喜んだり、悲しくて瞳を潤ませたり。頑張れって画面の向こうに応援してみたり。俺の好きなアニメで、俺と同じような気持ちでいてくれる一番近しい存在。

 そんな妹の一喜一憂を眺めながら、一緒にアニメの世界に旅しているのだ。同じ時を刻んでいるんだ。

 俺の好きな作品を好きだと思ってくれている。常に隣を歩いてくれている。二次元について熱く語り合ったりもできる。俺に知らなかった知識や想いや考えを与えてくれる。

「嬉しさは二倍、悲しみは半分こ」って共有の醍醐味を、小豆は俺に誰よりも与えてくれているのだ。


 だけど、小豆への愛情を認めていなかった俺は、無意識に女神への印象から小豆との共有部分を消していたのだろう。小豆から与えられている感情を排除していたのだった。つまり、俺一人の感情だけが女神へと向けられていた。

 アズコンを認めた今だから理解できるのかも知れないが。

 俺一人だけの感情で、湧き上がるほどに想いが膨らむことはないのである。

 

 その昔、一人で観ていた頃に好きになった作品のキャラクターだって今でも好きだけど。

 俺が女神だと思っている彼女達は、小豆と一緒に鑑賞するようになってからの作品のキャラクターだけ。まぁ、あの頃はそんなに心の余裕がなかったからなのかも知れないけどな。


 結局、さ。

 確かに俺が好きになった作品を、アニオタの小豆が好きになったんだけど。

 そんな小豆の嬉しそうな笑顔を眺めていて。妹が「好き」だと言ってくれたから。妹の幸せな笑顔が見れたから、そんな作品の中の彼女達を愛せたのだと。女神だと思えたのだろう。

 俺にとってのアニメは……小豆との「楽しくて幸せな二人だけの時間」を与えてくれる、最高の異世界なんだと思う。

 もしかしたら、小豆がアニオタじゃなくてアニメにも興味がなかったら……俺もここまでアニメ好きにならなかったのかも知れない。いや、言い切れないけどね。

 だから、小豆との共有した想いが加われば、女神達への印象が大幅に上昇するのは当たり前なのだ。


 うん。俺ってアズコンだからさ……小豆が「好き」だと思っていると、無意識に自分の大好きスイッチが入っちまうんだよな、きっと――


「って、いや、ちょっと待て……は? いや……え?」


 女神達を眺めながら、やる気の出た理由を自己解析していた俺。

 だけど、自分で導き出していた答えに戸惑いの声を漏らしていたのだった。


 いや、だってさ? 小豆が好きなものが大好きになるってことはさ?

 別にアニメだけとは限らないんじゃないかって思う。そう、小豆が好きな人達だって対象なはずだ。

 つまり、小豆が好きだから……俺も香さんとあまねるが大好きになったのではないかと考えていた俺。

 いや、もちろん二人を愛していると言う感情が、俺自身の惹かれている部分なのは事実だ。俺自身が彼女達にれているからなのだ。ちゃんと自分の意志は持っているし、自分の気持ちを尊重しているだけなんだ。

 まぁ、さすがに……そんな根本的な部分まで小豆主導だなんて考えられないしな。だったら最初から俺には小豆しか見えないはずだし、さ。 


 だけど、アズコンを認めた直後から俺に芽生えていた感情。

 あまねるを愛していると認めた自分。

 香さんの行動に無意識に告白をしたくなっていた自分。

 そんな二人に対して、確かな今までの感情からの変化を感じていた俺。

 いや、俺がアズコンを認めたのって、二人への感情の変化があってからなんだけど。

 たぶん俺が捏造をしようとしていた言葉を遮って飛び出していた本音が、既にあの時点で認めていたって証拠なんだと思う。と言うより、これも蓋をしていた感情に過ぎなかったってことさ。

 認めたことにより、俺が愛しているって感じている二人への想いに、「小豆自身も好き」だって感情が上乗せされたのだろう。だから俺にも制御できないくらいに想いが膨らんだのかも知れない。

 

 だけど、さ?

 それって、「小豆のことが誰よりも好きだから」ってことによる相乗効果だってことなんじゃないかな……。二人よりも小豆を愛しているって証拠なのかな。

 二人には申し訳ないが、二人への感情の変化を受けても小豆への愛情には何も変化を感じていない。

 それは暗に「小豆の与えてくれる幸せが俺の本当の幸せ」なんだってことを意味しているのだろうか――


「いやいやいやいや……冷静になれ、俺……って、教室戻るか……」


 変な方向へと進んでいる俺の思考を食い止めるべく、頭を左右に振りながら自分に言い聞かせる俺。

 これは、きっと『スイカの画像』の後遺症こういしょうなのだろう。だから暴走した頭だから、暴走した答えが導き出されたのだと考えていた。こんな考えは冷静になれば消滅するだろう。

 そんな風に結論づけていた俺は、冷静になる為に……滝にでも打たれる感覚で、勉学に没頭ぼっとうする為に教室へと歩き出すのだった。うん、勉強すれば確実に冷えるからね。


 これは『スイカの画像』の後遺症。暴走した頭で導き出した答え。

 そんな風に考えていたから、俺は気づいていなかったのだろう。

 今、胸の中に渦巻いている感情が、俺の『本当に望んでいる幸せ』なのだと言うことを――。

 

◇5◇


「……さて、と……すぅー、はぁー。……よし! ……」


 自分の教室の前まで戻ってきた俺。当たり前だけど、廊下は静かだった。

 教室の扉に手をかけた俺は、その場で目を閉じて深呼吸をする。

 中に入るのに恥ずかしがってはだめだ。一気に謝って自分の席へと駆け抜ける必要がある。

 脳内でシュミレーションを終えた俺は、決意を固めて一気に扉を開くのだった。


「――遅刻してすみませんでしたっ! ……は?」


 扉を開けて頭を下げて一息で謝罪した俺。顔をあげた俺を迎えたのは――


『本日は明日の遠征ライブに備えて十四時の新幹線に乗る必要があるので 自習!』


 黒板の大きく書きなぐられた文字。教科担当の先生の直筆だった。って、おい!


 うん。うちの高校の先生は意外とアニメの声優さんとかアニソンシンガーさんのファンが多い。

 そして教科担当の先生と他数名の先生が推している声優さんが明日、地方でライブを開催するのだ。

 もちろんライブの話は知っていたんだけど。

 基本それぞれの声優さんや声優ユニット、アニソンシンガーさんに数名単位でファンがいる我が校の教師陣。

 そして、土日ともなれば毎週のように全国各地で複数のライブが開催されている昨今。

 近場であれば当日に会場に向かえば済むのだろうが、遠征ともなれば前日から向かうことになる。

 それだって本来ならば、仕事が終わってから向かうべきところなんだろうけど。

 まぁ、うちって公立なんだけど周りの学校と足並み揃えていないのですよ。

 当たり前のように半ドンで出発しちゃうんですよねぇ。

余所よそは余所、うちはうち……同じ設定なら足並み揃えず、中身で勝負!」が我が校の校風なのだ。いいのか、それで?

 とは言え、教師陣全員がすべての望むライブに参戦することなんてできない。そこは当然だよね、お仕事なんだから。

 生徒ほったらかしで何人もの教師が早退とか……生徒達が「俺達も連れてけー!」って暴動が起きるだろう。

 俺達、金なし時間なしな生徒達には推しのライブツアー全会場参戦――通称『全通ぜんつう』どころか遠征すら、夢のまた夢なのだからさ。

 そこで、先生達同士で話し合って交代でライブに参戦しているのである。まぁ、全通は無理だとしても、地方遠征のライブ自体には参戦してはいるのですよ……俺も先生のポケットマネーで連れてけー!

 つまり明日が先生の参戦日だったのだろう。

 まったく、知っていたら慌てて戻ってこなかったのにさ……いや、特に慌てていませんでしたけどね。謝って損したな。


「――遅刻してすみませんでしたっ! ……いいよね?」

「ああ、うん……えっとぉ~、先生が来たのって予鈴前だしぃ、すぐに自習って書いたらぁ、教室の中を見ないで出て行ったから大丈夫だと思うけどぉ~? ……んっ?」


 黒板を眺めて呆然と立ち尽くしていた俺だったが、先生がいないことに気づいて、もう一度教室内に向かって頭を下げながら声をかける。うん、今が自習だからなんだけど。

 先生がいない場合は、クラスメートが了承してくれたら遅刻じゃなくなるからさ。もみ消しと言う手段だね。

 とは言え、先生の直筆が黒板に書かれているので、授業開始時に先生がいたのなら遅刻と認定されているのである。俺的には別にどっちでもいいんだけどね。

 なので確認のつもりで扉に一番近い席の女子――『芹澤せりざわ』さんに声をかけた俺。

 彼女はアヒル口をしながら人差し指を顎に当てて、少し遠くを見つめながら答えてくれた。どうやら出席チェックはしていなかったようだ。

 彼女の言葉に安心していた俺の目の前に、白魚のような彼女の右手が手の平を上にして差し出される。

 きっと、口止め料の請求なのだろう。


「そっか……はいはい……」

「……うふふふふ~♪ ……ありがとう、もういいよ?」

「うん……」


 だから俺は返事をすると……両手で彼女の右手をマッサージしてあげるのだった。ほら、俺のマッサージは身内に好評だからさ。

 いや、自分で言いふらしたのではなくて小豆が宣伝していたのだ。

「お兄ちゃんのマッサージはすごいんだよぉ~♪ もうねっ! ……『コスモ』レベルなんだよぉ♪」とかなんとか……。お前は何を口走ってんだよ!


 コスモとは……某秘密なラノベ原作のアニメ作品。

 有数の財閥のお嬢様。そんな彼女には秘密があった。それは彼女がアキバ系だってこと。

 

 ……なんとなく、あまねるを思い出したが彼女はリアルなんで関係ないな。あと別に公言しちゃっているから秘密でもないし。先に進めよう。

 

 彼女の秘密を偶然知ってしまった主人公が、彼女と秘密を共有しながら交友を深め、愛を深めていく。

 そんなアキバ系ラブコメ作品である。


 そして姉や姉の友人にしごかれて家事全般をこなす彼。マッサージ能力にもけていた。

 ある日、彼の友人にマッサージをしてあげたところ。

 その友人に「キングオブスケコマシマッサージマスター」、その英語の頭文字を取ってコスモと命名されたそうだ。まぁ、スケコマシである時点でお察しください……。


 当然と言えば当然なのか。小豆の『コスモ』を理解できる我がクラス。

 その瞬間にクラスの女子の好奇な視線が集中する。って、いや、コスモは小豆じゃなくて俺だよ?

 そりゃあ、小豆の手でマッサージしてくれるなら、まさに小宇宙クラスの嬉しさだろうけどさ。俺にふれられるなんて最悪でしょう? 

 ちゃんと手を洗っているんで間接にもならないしさ。

 なんで彼女達はこんなに興味津々な表情をしているんだろう。理解できないな。

 目の前の光景を苦笑いを浮かべて眺めていた俺なのであった。


 そんな風に好奇心の視線に疑問を覚えていた俺だったけど、彼女達は恥ずかしくて誰も頼もうとしなかった。

 その時に「あっ、じゃあ……私、してもらってもいいかなぁ~?」と言い出した勇者がいた……それが芹澤さんだったのですけど。まぁ、単なる興味本位だろうけどね。

 お願いされたことだしと、覚悟を決めて彼女の背中にふれようとしたら。

 目の前で大粒の涙をためて、必死に泣くのを我慢している小豆の姿が映し出されていたのだった。

 それなら「最初から口走るなよ!」と言いたいところだったが、双方ともに居心地が悪くなりマッサージは中止されたのである。


 ところが、予告を観てしまうと本編が気になるのは仕方のないこと。まぁ、完全な予告詐欺なんですが。

 そんな理由で、小豆のいない時に。

 小豆の言葉が真実だったら恐いと感じたのだろう。完全な誇大こだい広告ですけどね。

 手だけのマッサージを求めてきた芹澤さん。軽くマッサージをしたら嬉しそうに喜んでいた。セクハラって訴えられなくてよかった……。

 そして、そんな彼女を見ていて、小豆のいない時に手だけのマッサージなら問題ないと判断したのだろう。それ以降は他の女子も普通に求めるようになっていたのだった。

 だけど周りの男子がマッサージをする俺達を眺めながら……俺に向かって指の代わりに剣山でツボを押すような突き刺す視線のマッサージを与えてくるので、正直断りたいんですけどね。

 滅多にふれることのできない……小豆とあまねると香さんを除く。JKとのスキンシップに断りきれない変態DKの俺なのであります。


 マッサージに満足してくれたのか、彼女は満足そうな笑顔でお礼を言ってきた。

 だから俺は彼女に声をかけて、自分の席へと歩き出すのだった。 

 

「……あ……ふぅ……」

 

 無事に何事もなく席に戻った俺。まぁ、自習なんで集中する視線がなかったのである。

 戻ってきた俺の机の上には巾着袋に入った弁当箱が置かれていた。

 きっと香さんが片付けてくれたのだろう。食べかけで飛び出してしまっていた弁当箱。わざわざ片付けてくれたことに心の中で感謝をしてから、弁当箱をロッカーに入れに歩き出す。

 一瞬だけ俺は振り返り、黒板を眺めてからロッカーに向き直って続きを考えながら歩いていたのだった。


 

 元々の校風があったからなのか。

 おおやけにしていなかった『隠れオタク』として市民権を得ていなかったアニメファン達に、市民権を与えたのが、あまねると彼女の御両親、そして小豆の存在だったのである。

 二人が受験をすると決めた直後。あまねるの家から多額の寄付金が舞い降りた我が校。

 ……まぁ、ぼくたん子供なんで「公立高校で寄付金とかって受け取ってもいいの?」とか言う、大人の事情なんてわかんないので割愛。

 

 元々名だたる財閥だったこともあり、運営陣は非公式ではあるけど御両親のことを「我が校の筆頭理事」だと周知している。ぼくたん子供以下略。

 そして、そもそも御両親は「娘がアニメを好きになったから」アニメを認めたのではなく。

 最初からアニメが好きな御両親なのである。つまり彼女は最初からアニメに囲まれて生活していたのである。


 ――これは「お兄様」と呼んでくれてから……正確には「おにいたま」と呼んでもらえる二人っきりの時に聞いた話。

 生まれた時からアニメが傍にある環境で育った彼女。

 当然、自我に目覚めるまでは当たり前のように、何も疑わずにアニメと一緒に成長していたのである。

 ところが初等部に入学して。

 周囲から「アニメは害悪」だと洗脳されていたのだろう。よくある話だな……。


 ただ、彼女はアニメそのものを悪だとは思っていなかった。まぁ、アニメに罪はないし、大好きな御両親の好きなものを悪だなんて思わないだろう。

 うん、俺だって、あの頃……親父達を憎んでいたけど親父達の好きなアニメまでは憎めなかったしな。

 だけど彼女の場合、俺とはまったく違う考えを持っていた。まぁ、頭の中身が全然違うしさ。


 そう、彼女は――


「い、いえ、おにいたま? あの頃、アニメとは……お父様やお母様のように、きちんと人生経験を積み重ねて自立をし、物事の分別がつけられて、真摯に作品を受け止められるような大人がたしなむものだと思っていたのですぅ……」

「……へ?」

「なので、私のような親の過保護のもとに育てられている、人生経験のとぼしい未熟者が、気安くアニメにふれることが愚かなのだと感じていたのですよぉ……」

「……えっと、それって、小豆に怒っていたのってさ? アニメそのものに嫌悪感を抱いていたんじゃなくて……」

「はい、お恥ずかしながらぁ……小豆さんが『まだアニメに見合うだけの資格を有していないのに』当たり前のようにアニメにふれているのが許せなかったのですぅ……」

「……」


 と、こんな風に考えていたらしい。

 そんな彼女の考えに、開いた口が塞がらなかった俺。いや、別に彼女を馬鹿にしたのではなくて。

 同じような環境に育っていたはずの俺とあまねる。

 もしも俺だったら、まず真っ先にアニメを布教した親父達を恨むね。

「あんたらのせいで俺が馬鹿にされたじゃないか!」ってさ。そしてアニメから遠ざかるのだと思う。

 だから純粋に彼女の思想の高さに驚いていただけだ。……なんで、こうも違うんかね?

 ああ、旦那様達と親父達の違いなんで俺は悪くないのか。そう言うことにしておこう。


 と、そんな感じで開いた口が塞がらなかった俺だったけど。


「……あ、あ~ん? ……」

「……あむっ……あっ、おいしい……」

「本当ですかぁ? お口に合ってよかったですぅ~♪ ……頑張って作った甲斐かいがありましたぁ……」

「え? もしかして雨音さんの手作り?」


 何か勘違いしたのか、目の前の彼女が恥ずかしそうに顔を赤らめながら。

 お茶菓子として用意されていたマカロンを摘むと俺に餌付けをしてきた。

 口の中に広がる甘さに、思わず口を閉じることに成功した俺は、咀嚼して飲み込んでからマカロンの美味しさに驚くのだった。

 そんな俺を眺めて赤い顔のまま嬉しそうに言葉を紡ぐ彼女。そんな言葉に思わず聞き返していた俺。

 彼女は俺の言葉を受けて、誇らしげに「はい♪」と頷くのだった。



 つまり、御両親は最初からアニメに親しんでいるのである。

 そんな「我が校の筆頭理事」である御両親の影響か。二人が入学する前年の三学期から、アニメの浸透が我が校に始まっていた。うん、基礎工事だね。

 ある意味「我が校の筆頭理事」からの理不尽にも思える影響を受けた我が校だったが……。


「校風に、でっかい風穴開けてやるんだからぁ!」


 と、某ラノベ原作のアニメ作品のヒロイン。

 とある武力探偵を育成する学校の生徒である主人公とパートナーを組んだ、名探偵の末裔である彼女。 

 そんな彼女に声を当てているのがツンデレの代表とも言える女性声優さん。

 一部では「彼女の産業」とも呼ばれるほどのレジェンドが紡ぐ、ツンデレ彼女の名台詞のように言い放っていたのである。

 って、校風と風穴をかけたのかも知れないけれど自分で開けたらだめでしょ!

 まぁ、この台詞が出てくる時点で、時既におす……遅しなんだけどね。全員がヒステリアモードだろうから……。

 ただ、理不尽云々うんぬんと言ってはいるが、実のところ御両親が強引にアニメを浸透させたのではない。

 寄付を申し出て学校へ訪問した際、「より良い学生生活の一環に、アニメと言う素晴らしい文化を若い者達にも理解を示す環境を加えていただきたい」と懇願したらしい。

 その話を聞いた校長先生が――

「ほほう……時雨院様はアニメに素晴らしいお考えをお持ちのようですな? かしこまりました。その申し出、我が校を代表いたしまして、私が責任をもって実現をお約束いたしましょう!」

 と宣言して有言実行した……まではいいんだけど、肝心な『より良い学生生活』の部分を完全度外視した、アニメ環境突貫工事を実行していたのだった。だめだろ……。

 

 なお、校長先生は。

 年頃の娘さんがアニメが好きで「肩身が狭くなって、既に女性陣からペット以下の扱いにまで下がっている」家庭内孤立を解消しようと、日々アニメを勉強中の頑張るお父さんなのであった。

 つまり、アニメに好意的な学校の校長だと知れば娘さんから「へぇ~、パパ逆にすごくね?」とイメージアップに繋がると思ったのかも知れない。そして娘さんと会ったことなんてないので、彼女の口調なんて知らないけどね。

 だからこその、全面的な協力だったのかもな。


 そんな理由から。

 ある意味突貫工事のように思えた浸透ではあったが、内側から大きく風穴をあけて風を迎え入れたおかげで、二人が入学する時にはアニメ関連の専門学校レベルのアニメ環境となっていた。ごめん、それは嘘。

 仕事でも勉強でもないから普通に公共施設規模のアニメファンの部屋とかアニメ専門店みたいな環境かな。つまり、やりたい放題なのである。


 だいたいアニメ関連のイベントを考慮して学校の行事が組まれたり。

 テストなんかは担当教科の先生の推しだとか好きなアニメについて。

 テスト自体に作品の設定だとか台詞だとかが反映されていたり。

 手書きのイラストとかが書かれていたり。

 生徒側も熱く語ったり、イラストとか小説などの二次創作とかをテスト用紙の裏に書いておけば赤点だけは回避できたり。

 お昼の校内放送がアニソンだったり。番組改編直前には新アニメの紹介をしたり。 

 一番凄かったのは、先日二年生が実施した校外学習。

 とあるクラスは担任の推しである声優さんのライブがあるとかで、クラス全員で会場推しをしていたそうだ。

 会場推しとは文字通り、ライブではなく会場を推す。

 要はライブに参加せず、グッズなどの物販にだけ参加すること。

 なんとそれを、クラス全員……制服の集団が物販列に並んだのだと言う。


 さすがに現場のスタッフさんは慌てて担任に声をかけたらしい。


「す、すみません……ここは●●と言う声優のライブの物販列なので、博物館はあちらになります」とな。

 

 うん、会場の隣に博物館があるんで間違えたと思ったのだろう。俺でも思うからな。

 すると担任はスタッフさんに困惑した表情で訊ねたのだ。


「えっと……制服での会場推し、及び、物販待機は禁止事項でしょうか?」とな。


 担任の言葉で察したスタッフさんは、苦笑いを浮かべて納得するのだった。

 まぁ、俺もくわしくないんだけど別に制服での会場推し、及び、物販待機は禁止されていないはずだ。基本禁止しているのは学校側だろうしさ。

 

 そもそも、なんで下級生の校外学習を俺が知っているのかと言えば。

 まぁ、俺のTLに情報提供してくれるお友達が多数いたからなのである。

 そりゃあツイートしたくもなるわな? ライブ物販会場に制服の集団が並んでいれば。

 数名は画像添付してあったんだけど、画像を覗く前から我が校だって理解していた俺。いやいやいや、こんな学校が他にある訳ないだろ?

 とりあえずライブ会場からクラスを特定していた俺。二年生でファンなのは、その先生しかいないからね。特定班の助けもいらなかったのだった。

 翌週、俺はそのクラスに向かい……後輩達にお話を聞かせてもらったのである。実に有意義な時間だったな。

 あと、会場に設置されていたガチャガチャでダブった缶バッチとかも恵んでもらえたし。素敵な後輩達だね。

 こんな学校なんで……あまり華美な装飾は校外的な面でさすがに校則違反なんだけど、持ってくる分や制服の裏地に三個までなら許可されている缶バッチ。けっこう恵んでもらえてラッキーだったのである。

 やっぱり情報はこまめにチェックをするべきなのだと、実感していた俺なのであった。


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