第85話 戦闘服
「終わりましょうか。」
部長さんのいつもの台詞で部活は終わりを迎える。
「はーい。(✕6)」
今日から、一人多い。
そして、ブリーフィングルームへと。
「練習試合決まりましたけど、[アレ]どうしますか?」
副部長さんが皆にふった。
「[アレ]って何だ?」
久しぶりの八束先輩には、全く話が見えない様だ。
「だから、[アレ]って言わないで具体的に。」
美星先輩が当然突っ込んだ。
「ほら、日向さんの衣装よ。他校行くなら必要なんじゃない?」
小南先輩が説明した。
「そうですね…。」
部長さんが少し考え込み、
「日向さん。」
こっちに来た。嫌な予感しかしない。
「は、はぃ…。」
「お友達のツンデレお嬢様に、この前のイベントの衣装借りられないかしら?」
ドキィィィィィ! し、正体バレた!? 心臓が飛び出るぐらい焦った。
「む、無理じゃないですかね。他でもイベントやるみたいだし…。」
誤魔化せるか?
「そうですか…。」
残念そうだけど、あの衣装はヤバい。
「部長。他で使ったものはどうかと…。」
と、副部長さん。
「そうね…。ちょっと付け加えれば、全く違う感じになるかと思ったんだけど…。」
「じゃあ、この前の世紀末女子高校生でいく?」
小南先輩、あの衣装は駄目でしょう。
「いえ、あれは操縦に障害が出ますから…。」
「とりあえずは、片方の目にカラコン入れて、オッドアイにするとか…。」
百地先輩が私の横にいた。
「おーっ。それだ!」
小南先輩が賛同した。
「コンタクト入れた事ないです…。」
「慣れないコンタクトは、目に負担がかかります。」
美星先輩は、眼鏡っ娘だけあってコンタクトの事も分かってる。
「う~ん、どうしましょう。」
部長さんを筆頭に皆が考え始めた。
「あの、あの…。」
「何かアイデアですか。日向さん。」
「普通が良いんですけど…。」
「えっ。」
なんで驚くんですか、部長さん。
「やっぱり、普通が動き易いです。」
「そうね…。動き難いと駄目ね。」
また、少し考え込んだ部長さん。
「残念だけど、今回は無しでいきましょう。」
助かったでいいのかな?
「八束さんも、日向さんの衣装考えてあげてください。」
八束先輩にも部長さんはふった。
「おう、任せとけ。凄いの考えとくよ。」
いや、普通が一番だと思う。
「日向んってお友達にツンデレお嬢様いるのか…。」
「好敵手(ライバル)だって。」
小南先輩が笑いながら八束先輩に答えた。
「設定凄いな。流石、転生者って事か。」
って笑った。
せ、設定って何ぃぃぃぃぃ! 私の心の叫びは、誰も聞いてない。
「あっ、忘れるところでした。」
部長さんが、自分の学生鞄から紙の束を取り出した。
「一人一部ずつあります。」
渡してくれたのは…『練習試合のしおり』って書いてある冊子だった。
「よく読んで忘れ物無いようにしてください。」
「は~い。(✕6)」
皆返事はしたが、冊子に夢中だった。
「今回も、部長手作りですね。」
美星先輩がページを捲(めく)りながら聞いた。
「はい。毎度の事なのですが、行く学校によって内容が多少異なりますから。」
「はい、部長!」
と、小南先輩が右手を上げた。
「何ですか、小南さん。」
「おやつは300円までですか?」
お約束の質問だ。
「おやつは…、ダイエットの敵なので無しです!」
新しい返し方を目の当たりにした。
「と、言いたいことろですが、糖分補給出来るぐらいは許可します。」
「ヤッター!」
皆が喜んだ。
「では、帰りましょう。」
「は~い。(✕6)」
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